ＮＰＯの活動の財源がどこからもたらされているかについて、アメリカでサラモン（ジョンホプキンス大学）が調査した結果があります。この調査では、１９７７年と１９９７年を比較している点で興味深いですね。各ＮＰＯの収入内訳は、ＩＲＳ（Internal Revenue Service:日本の税務署ですな）に報告義務がありますので、それを集計するとＮＰＯ全体としての収入内訳がわかります。
ちょっとご紹介しましょう（対象は公益活動を行っているＮＰＯ（所謂５０１ｃステイタスを有している団体です）。

１９７７年
��Fees and Charges（日本でいう事業収入）：４６％
��Government（政府助成・委託など）：２７％
��Philanthropy（ここでは、寄附などの収入）：２７％

１９９７年
��Fees and Charges：４７％
��Goernment：３３％
��Philanthropy:２０％

この数字、直感的に気になるところが２点あります。

ひとつは、アメリカは寄附文化の社会として知られ、寄附収入がＮＰＯの主要財源と思われていますが（アメリカ人でもそう信じている人は多いですが）、事業収入というのは、全体で見ると半分に達しています。この数字、アメリカの公益型ＮＰＯに含まれる範囲が広いという側面もありますが、私もアメリカのＮＰＯ関係者に数多く関わるなかで、この「事業型収益」をあげていこうという人は、実感値としては相当多くいるという感じがしました。

もうひとつは、７７年から９７年にかけて、さぞかし寄附の文化が成長したであろうと思うわけですが、実際に、寄附収入の比率は下がり、政府の支援の比率が増えています。

これは、ＮＰＯの社会的認知が高まり、政府が業務委託化を進めているという証左でもあるのですが、やはり、直感とはズレのある数字といえるでしょう。

やはり、ファンドレイジングを考える際には、事業収入や政府の支援と寄附金収入のポートフォリオ・バランスを考慮に入れることの重要性を再確認しました。