昨日の、フェアトレードタウン宣言の話の続編です。

日本の国際協力NGOで、フェアトレード事業を大々的に行っている団体にシャプラニールというNGOがあります。この団体の行っている「クリフトリンク」という活動を見てみると、バングラデシュやネパールで作成された様々な製品が揃っていて、なかなか魅力的なラインナップです。

この事業、ファンドレイジングの観点での、「事業収入」としてみるとどんな感じとなるでしょうか。

HPで公開されている2004年度の財務関係資料によると、シャプラニールのフェアトレード事業の収支は次のようになります。

○収入　51,925,374円
●支出　52,660,338円

これだけをみると、事業単体では70万円の赤字となっています。

ただ、更に詳しくみると、支出内訳は、

原価　　　　17,442,266円
販売費　　　12,566,705円
一般管理費　22,651,417円

となっています。

フェアトレード事業単体を見ると、「公正な価格で取引する」とのコンセプトを踏まえて、恐らく原価（製品の仕入れ値）は高めにならざるを得ないわけですので、通常の「物品販売事業」のように、「できるだけ安く仕入れて、高く売る」ということにはならないわけです。フェアトレード自体のコンセプトとしても、余り大幅に利益がでるというのもうまくないでしょう。

他方、ファンドレイジングの視点からみると、事業単体としては70万円の赤字となっているのでは魅力が無いという見方をする人もいるかもしれません。

しかし、ここで着目する必要があると思うのは、この事業を行うことで、一般管理費の2千2百万円が捻出できているという点ですね。

また、フェアトレード自体、私が見ているところ、シャプラニールの活性化や会員･支援者とのつながりを強化や新規開拓をするうえで、大変役立っていると思います。通常、そうした会員や支援者とのつながりの確保や維持には、通常、相当程度の人件費などのコストがかかりますので、そうした機能を併せ持つフェアトレード事業を行い、単体でほぼトントンに持っていっているということは、ファンドレイジングの基盤強化の観点から非常に有効なアプローチだと思います。

フェアトレードについては、「第３世界ショップ」という組織もいい活動をやっています。

フェアトレードショップの運営もそうですが、これからはじめようとする方向けの講習会もやっているようです。