ファンドレイジング程、一般化しにくい分野は無い様に思います。百団体あれば、千通りのファンドレイジングの方法があるでしょう。個々の団体のファンドレイジングの方法には、団体の個性、主張、ミッション、といったものが色濃く反映されてくるところです。

　他方で、逆説的ですが、ファンドレイジング程、ノウハウの蓄積と共有化が進んでいる分野もこれまたないのではないかというのが、私がアメリカで見てきた印象です。NPOが社会に認められ、資金源を確保し、良いサービスをニーズのある人々に届けるためには、最も重要な活動がファンドレイジングであり、その認識はどのNPOにもあるためでしょう。

　インディアナ大学のThe Fundraising Schoolは、ファンドレイジング訓練に定評があることは、前々回ご説明しましたが、そこの所長のTimは、「ファンドレイジングはマジックじゃない。（彼のスクールで教える）ファンドレイジングのプロセスをきちんと理解して使いこなせば、どの団体でも必ずファンドレイジングで成功できる。」と豪語していました。彼らの提唱するファンドレイジングサイクルのエッセンスに少し触れますと、�‐�手先のｱｲﾃﾞｱではなく、組織そのもの、業務そのものの見直しまで含めてファンドレイジングを考えること、�⊆尊櫃法峇麌佞鬚�願いする」という行為は、ファンドレイジングサイクルの15段階の14番目であることを理解すること、という哲学にあります。つまり、「いきなり、寄付をお願いしたって、寄付が集まるわけが無い。」というところから始まり、「じゃあ、寄付をお願いする前に何を準備するか。」と考えていったら、先にたくさんやることがあったということのようです。このファンドレイジングサイクルは、15段階のプロセスで構成されていて、自分が関わった日本や途上国のNPOの状況を見て見ると、ほとんどすっとばしていきなり寄付（１４段階目）をお願いしていたこともあったかなあという印象がします。ホップ（寄付して欲しいプロジェクトについて、寄付のお願いを文章にする）、ステップ（寄付してくれそうな人を考える）、ジャンプ（寄付のお願いを郵送する）くらいでやっていたというといいすぎでしょうか。

　ファンドレイジングサイクルでは、マーケット（寄付者）の要求は何なのかの特定、プログラムのケース・ステイトメント（プログラムの実施によって、何がどう変わるのかということを具体的に記した文書）の作成、ニーズ・ステイトメント（今回の寄付が、何故必要なのか。具体的にそのプログラムのどこをどのように進捗させ、結果はどうなるのか。）の作成、ボランティアとの連携プランの検討、ファンドレイジングプランの作成、主要寄付予定者の寄付見込みの検討等が行われます。