ファンドレイジング道場

民間非営利組織（NPO)や社会起業家のファンドレイジング（資金調達）についての考え方、アイデア、事例などを発信しています！

コミュニティ・ビジネスをはじめようとする人のために、公開オークションというのがあるのをご存知の方も多いと思います。

「オークション」といっても、サザビーズとかがやっている、絵画とか有名人の愛用品を「競り市」のように落札するようなものではありません。地域社会に福祉向上に役立つような事業を企画している人が、集まった市民の前で自分の事業企画を発表し、起業にあたって足りないものや支援してほしいことを呼びかけて応援者をつのるものです。そして、出席した参加者が、それぞれ、「私は資金を支援しよう」「私は、宣伝を手伝おう」という感じで応援表明するものです。

最近は、地方自治体も地域の活性化を目的として、コミュニティ・ビジネスの活性化に関心を持ってきていますので、自治体が主催してこうしたオークションを開催するケースもあります。

例えば秋田県のNPO法人あきたNPOコアセンターが開催している公開オークションのケースを見てみると、数名の起業志望者が、コミュニティ・ビジネス起業を目指す想いや事業プランを提示して、支援を呼びかけます。１００名を超える市民は、次の応援内容から、自分にあったものを検討します。

�〇餠癲覆覆鵑箸い辰討皀泪諭爾�ないと）、
�⊂貊蠅箏�材（例えば、福祉サービス系事業では、活動場所や作業所を借り上げる経費をいかに抑えるかが課題）、
�Ｆ散颪箋〆�(パソコンやコピー機代もばかになりません）、
�は�働力（ボランティアなど）、
�ゲ湛�・販売・PRなどの業務協力（以外と見過ごされがちですが、新興企業・NPOにとって、情報やサービスの流通チャネルが無いことが結構ネックになります）、
��情報提供やアドバイス（様々な専門知識や経験のアドバイスが必要です）

公開起業オークションは、「お金集めの場」と誤解している方もいるかもしれませんが、むしろ、「経営資源あつめの場」と捉えたほうが良いように思います。実際、集められているお金としては、数十万円から、多くて１００万円程度のものが多いのではないでしょうか。

しかし、これからNPO法人を立ち上げようとしている人や、既存のNPO法人のひとつの活動を「社内起業」的に事業化しようとする場合、こうしたオークションを活用することの効果は、お金や支援者、活動場所や社会とのチャネルを得られるだけではありません。公開起業オークションでは、自らの行おうとする活動を、全く背景経緯を知らない市民に非常に限られた時間で説明します（WWBジャパンのオークションでは、発表者に与えられる時間は5分間だけです）。そこで、即、出席者の評価が返ってくるわけですので、発表する側も、自分の事業プランについて、初めての方にもわかるように、「何故この活動が必要なのか」「活動の結果何が変わるのか」ということを説明し、「支援したいと」言わせるような発表をしないといけません。また、発表者のキャラクター、立ち居振る舞い、信念や情熱といったものも、参加者のイメージ形成に大きな影響を与えます。

こうしたプロセス（修羅場）を踏むことで、出店する起業家そのものが成長し、その後の活動に勢いをつけることができるようになります。NPO的な活動は、ともすれば「いいことだからやって当然」とやる側も感じがちです。これは裏返すと「いいことやってるんだから支援してよ」という気持ちにも繋がりかねません。しかし、支援者に「成る程これは面白い（効果がありそうな）取り組みだ」と感じさせ、かつ、「この人なら信頼して支援できそうだ」と信じさせるようなコミュニケーションに常に気を配っているNPOのリーダーがどのぐらいいるかというと、残念ながら、それほど多くは無いというのも実情です。

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ファンドレイジングの５つのRというのを聞いたことがありますか？

The right person asking　
the right prospect
for the right gift
for the right program
at the right time
in the right way

というのがそれです。「適確なやり方で、適確なときに、適確なプログラムのために、適確な寄附を、適確な潜在的な寄付者に、適確な人が頼む。」というような感じです。

これは、ファンドレジングのキーエッセンスをうまく説明した標語だと思います。

私が、この５つのRの中で日本社会のファンドレイジングで注目しているのが、冒頭の”The right person asking"（適確な人が(寄附を）頼む）というところです。

先日、世界の貧困をほっとけないキャペーンのコアメンバーの方にお話を聞く機会がありましたが、皆さんは、あの、ホワイトバンドのCMをご覧になりました？サッカーの中田とか、坂本龍一とか、若い人に人気のミュージシャンとか（名前が出てこなくてすみません）が、白黒映像で順番に出てくるやつです。

あのCM効果で、なんと日本でも４００万個のホワイトバンドが売れたそうです。あのケースは、出演した有名人のファンがかなり買ったようですが、これなんかも、The right person askingの好例でしょう。

ここまで大規模な事例でなくとも、「誰がメッセージを出すか」「誰が頼むか」というのは、非常に重要な要素であるといえます。日本社会は、ありとあらゆるところでゆるやかなグループを形成しています。そうしたグループには、必ずオピニオンリーダーであったり、取りまとめ役の人がいるものです。そうした人の行動様式や判断は、そのグループの構成員の行動様式に大きな影響を与えることがあります。

こうしたオピニオンリーダーを通じた口コミ的ファンドレイジングとして、ブログを通じた口コミファンドレイジングの成功例もあるようです。ブログというのも、ネット上の同じ問題意識を持つ筆者と読者のグループですので、筆者が当該寄附行動を支援することで、そのブログのファンが影響を受けるといったことはあるようです。



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昨日、第一歩として、同僚の中で、市民社会との連携に関心の高いNさんにWorkplaceGiving（職場における給与天引き型の寄附）の導入についての相談をしました。

話ているうちに色々発想が盛り上がり、単に給与天引き寄附を実現するだけではなくて、いくつかのしかけを組み合わせると面白いのではという話が出てきました。

第一に、公開起業オークションのアイデアを取り入れて、集まったお金の助成先を決定する際に、助成を希望するNPOの方に、Workplace Givingに協力した職員全員の前で5分プレゼンをしていただいて、その場で職員がプラカードで支援するか否かを意思表示するようにして、助成先を決定するというもの。普段デスクワークもたくさんやっている職員にとっては、生のNPOのリーダーのパッションを感じてもらうことで、「支援したい」という気持ちや支援した成果のイメージを持ってもらえる効果があります。

第二に、私の職場（職員は１３００人くらいですが）には、海外経験や特殊言語能力のある人間が沢山いたり、経理や総務的な能力のある人材も多いので、東京ソーシャルベンチャーのコンセプトのように、資金支援のみならず、人的な支援も上記のオークションのプロセスを通じてコミットしていくことが考えられます。
私の職場は、国際協力関係なので、海外には現場がありますが、なかなか国内ですとデスクワーク中心で実感のある仕事がしにくいのが実情です。そうした「飢えた」気持ちを国内のボランティアで充足させるフローを作っていくのもいいなと思いました。

また、Nさんが調べていただいて、アメリカンファミリーがworkplace givingを日本でもやっていることも分かりました。

さらに組織内での営業活動を進めて、案を練っていきたいと思います。

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昨夜、小川郷太郎在デンマーク大使と会食をする機会がありました。小川大使は、以前私の上司だった方ですが、大変な人格者で、いろんな方に慕われており、かつ、とても腹のすわった方で、久しぶりにお会いできて、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。

おのずと、話はデンマークの話題となりますが、デンマーク社会は、非常にゆきとどいた高福祉社会であるというのが多くの方の一致した見方のようです。すこし事実関係で見ますと、デンマークの税制は高福祉高負担の方針をとっていて、所得税は国、県、市町村に支払いますが、それを合わせると最高累進税率で６７％、平均でも５０％であり、たとえば、２０万円の所得のある人は確実にその半分の１０万円は税金として支払うことになるというシステムとなっています。

そうした高負担を前提として、デンマークの行政は実際に「ゆりかごから墓場まで」が実現されているといえます。もともとこの「ゆりかごから墓場まで」というスローガンはイギリスでおこったものですが、現実には北欧諸国で実現されているといえるでしょう。確かに税金は高いけれど、子どもの教育費や老人福祉さらには医療に金がかからなければ、生活は決して困難とはいいがたいようです。デンマークの社会福祉と医療経費の公共負担率は８０％で他のヨーロッパ諸国と比べても際立って高いといえます。ちなみにイギリス４１％、ドイツ２６％、フランス１７％、オランダ１７％となってるそうです。

改めて、ヨーロッパ社会といってもいろいろあるなあと感じます。こうした高福祉社会でのNPOセクターの機能というのは、一般的には第一に、行政サービスの質を向上させ、無駄をなくすためのチェック機能としての役割、第二に行政サービスの下請け（委託）型でのサービスデリバリー機能としての役割というのが重要となります。

「人間の尊厳」と「義理人情」
もうひとつ、デンマークをはじめとする欧州社会の話となるといつも出てくるのが「人間の尊厳」というものに対する価値観です。日本社会と欧州社会の最大の違いは、「人間の尊厳」を社会的にトッププライオリティにおく価値観とするか、おかないかにあるようい思います。日本は、「恥の文化」ともいわれるとおり、「他者に迷惑をかけない」「自らの属する共同体の均質性を崩さない」「義理人情・仁義」ことが「人間の尊厳」ということより優先されている社会であるように感じることがよくあります。これは、アジアの農耕型社会では、比較的観察されやすい現象であるといえます。

行政が福祉サービスの大部分を担う場合、行政は「社会全体に共通の価値観」をある程度前提に政策決定しますので、どうしても日本型社会では、個々人の「人間の尊厳」を尊重した取り組みにはなりにくいという側面があります。特に障害者福祉において、デンマークや北欧社会は日本と同様に行政主導ですが、実際の内容やコンセプトの側面で非常に違いがあるのは、そうしたこともあると思います。

ファンドレイジングについても、こうした社会的価値観の違いを踏まえて行う必要があります。日本では、「義をみてせざるは勇なきなり」とか、「受益者は自分の仲間(身内)である」というイメージ、或いは「同業他社もやっている」というような共同体的均質意識が寄付等の行動動機につながることは多くありますが、「人間の尊厳」だけで勝負するのがなかなか難しいなという印象です。

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先週、「NPOマネジメント・リソースセンター」というホームページを開設しました。アドレスは⇒www.npocenter.org

アメリカでNPOマネジメントやファンドレイジングについて学んでいたときの経験や日本とインドネシアやアメリカのNPOに関わっていく中で感じたことをベースに日本のNPOを経営する方々が経営の改善を考えるうえで役に立つ情報を共有する「場」としていければと思っています。その中では、例えば「NPOマネジメント連続講座」のように、理事会運営やファンドレイジング等の経営上の主要テーマについて、連載形式でマネジメントの基本的な考え方について除法提供したり、アメリカ時代に行ったNPOセクターの各国比較研究の紹介等を行っています。

まずは、アメリカのNPOマネジメント事情のような話が中心となりますが、おいおい色んなノウハウ情報を発信していきたいと思っています。

ご意見等いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

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先日のSVTのセミナーで、(財）日本フォスター・プラン協会の方のお話を聞いていて、すっかり考えさせられました。

フォスター・プランのチャイルドスポンサーシッププログラムというと、耳にされた方も多いと思いますが、１９３７年のスペインの内戦時代の里親制度に端を発し、今や全世界で１０５万人のスポンサーを得て、世界45ヶ国を対象として支援事業を行う世界トップクラスのNGOとなっています。このプラン・インターナショナルの日本事務局は1983年に設立され今でも5万人を超えるスポンサーが支援し、年間で37億円もの資金を集めています。この資金規模は、日本に拠点を置くNGOとしては最大規模であるといえます。

継続平均8年間！
私がまず、お話しの中で驚かされたのは、平均で8年間という、スポンサーの継続率にあります。これは、国際協力NGOの会員や支援者全体で見ると、驚異的な数字です。また、年間収入の37億円の７５％は個々人のスポンサーから集めています。これは、所謂法人や財団の大口支援ではなく、個々のスポンサーからの小口支援が5万人分あるということですから、この資金調達プロセスでの社会的インパクトは非常に大きいといえるでしょう。

そのプランの方の話では、支援者がプランでのチャイルドスポンサーシップを継続しているモチベーションとして、�〇匐，燭舛箸亮蟷罎里笋蠅箸蝓↓�45ヶ国という支援対象国の多さ、�８獣亘�問を希望すればかなえられること、�い海泙瓩奮萋以鷙陝↓セ餠發了氾咾�明確、�Υ麌躪欺�の対象となる、��毎月の自動引き落としが可能、�┘ぅ戰鵐箸篳拔�会の開催をあげていました。これを聞いていて、改めて、「なんとあたりまえのことだろう」ということを感じました。こうしたことをきっちりと丁寧に行うことの重要性を改めて感じました。

もちろん、フォスタープランというブランド力は非常に大きいものですが、それだけで5万人もの人々をひきつけ続けることは出来ないでしょう。

ここで、どうして日本フォスタープラン協会は、そこまできちんと支援者のフォローをできるのかを考えました。やはり、日本フォスタープラン協会自体の基本的な活動目的が支援者の確保とメンテナンスにあり、多くの国際協力NGOのように、直営で海外事務所を運営管理し、事業を企画実施することが主目的となっているわけではない（そうした役割は英国の本部や地域統括事務所が負います）ということが影響していると思います。日本事務局のオフィスの中心的な志向がおのずと「支援者にいかに満足してもらうか」ということを追求するものとなっていることが、きめ細かさの組織的追求につながるのではないでしょうか。

To do or not to do, that's a problem
多くのNPOでは、自らのミッションの実現のための事業運営と支援者のケアーという２つのイシューの間でどちらにどれだけウエイトを置くかで常に悩んでいるのではないでしょうか。日本に限らず、アメリカや途上国のNPO組織の中でも「現場（受益者）志向」と「国内支援者ケア志向」の２つのテーマの中で、組織内の資源配分や意思決定の調整に難航したりするケースをよくみかけます。そうしますと、ファンドレイジングとか支援者ケアーを徹底してやろう！ということには中々ならず、限られた経営資源はできるだけ受益者に向けようということになります。

「ファンドレイジングはきちんとやるえきことをきちんとやりさせすれば成功する」というのが基本哲学です。しかし、いかに限られた時間と人員と予算でそれを「行うか」というは本当に悩ましい問題ですね。

結論はありませんが、ひとつだけエピソードを。私の友人の経営コンサルタントがレンタルの雑巾やモップを扱うフランチャイズチェーンに加盟して、地域でナンバー１になった方から聞いた話です。そのチェーン店では、加盟して少し頑張れば誰でも月の手数料収入が20万円くらいにはなるそうです。そのころというのは大変忙しいらしく、一日中が配達仕事になり、新規開拓の時間がなくなります。そこで10万円のパートを雇おうと誰もが考えます。そこで、「売り上げを30万円にしてから10万円のパートを雇う」と考えるのが通常ですが、それではその会社は伸びないことが多いようです。「２０万円のうち、１０万円のパートを雇って、自分の時間をつくり新規開拓する。そこで30万になったらもう1人を10万でやとっていく。そうすると50万円の売り上げすら見えて来る。」そういう発想で売り上げをどんどん伸ばしたそうです。
（「独立開業マニュアル」岩波アクティブ新書　辻井啓作著から）

この先行投資的発想は、NPOのファンドレイジングでも有効ではないでしょうか。


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本日参加したSVT（東京ソーシャルベンチャーズ）のネットワークミーティングでは、多くの方々と知り合うことが出来て、大変有意義でしたが、その中で、改めて日本の社会におけるファンドレイジングを支える風潮をつくっていく必要性を強く意識しました。

このブログも、そういう観点から作っているわけですが、それに加えて、やはり日本企業にWorkPlace Givingの文化（習慣）を定着させていくことが必要だと感じました。

私がアメリカ滞在中に働いていたCommunity Sharesは、地元の企業や官公庁、学校の人事部と協力して、毎月の給料の一部を天引きしてもらって寄附金として集め、地元のNPOに助成するという事業だけを行っていました。地元の１８０の企業や行政機関や大学が協力し、クリーブランド市だけで1億円以上を集めていました。

アメリカでこうしたWorkplace Givingのガリバー的存在であるUnited Way（UW)は全米で３０００億円以上を集めますが、UWはオハイオ州だけでも、1000社以上の人事部の協力を得て資金調達を行っていました。

日本では、何故かこのWorkplace　Givingの習慣が無いんですよね。アメリカよりもよほど企業（組織）社会であるので、定着すれば、非常に大きなキャッシュフローを生むと思います。

そこで、決意表明です。

これから、私の働く組織（従業員は、正社員で１３００名くらいいます）で、このWorkplace Givingを導入するため、全力を尽くします。具体的には、人事部と協力して、職員の希望者の毎月の給料から、一口１０００円づつ天引きさせていただき、集まった資金を社会に貢献するNPOに支援していく枠組みを構築します。

果たしてうまくいくのか。やってみないと分からないこともありますが、まずは、有志職員で実行委員会を立ち上げて、組織内で１０％（１３０人）の同意を取り付けて人事部側に制度導入を働きかけるというように取り組んでいきたいと思います。

日本ではまだまだ新しいコンセプトであるworkplace givingをまずは私の組織から。
このブログでも、この取り組みが日々どう進むのか、報告していきます。

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今日は、東京ソーシャルベンチャー（SVT)が主催するネットワークミーティングに出席しました。SVT自体は、アメリカのシアトルで始まったSocial Venture Partnersをもでるに、ビジネスや社会分野での専門性を持った個人が出資してファドを作って社会的な起業の支援を行うもので、私も、アメリカのクリーブランドにあるSocail Venture Partersの顧客開拓イベントに出席した際に、そのユニークなアプローチ（1人５０００ドルを「出資」して社会的な起業やNPO活動を支援する形をとる）に非常に興味を覚えたことを思い出します。

今日のネットワークミーティングのテーマは、「ファンドレイジング＝「共感」を「お金」に換える仕組み」ということで、非常に興味深い３つの団体がプレゼンテーションを行っていました。

発表していたのは、まず、国際協力分野では、この10年間で驚異的な成長を遂げたピース・ウインズ・ジャパン（PWJ)。www.peace-winds.org/jp/main/index.html

次に、一大ブームとなっていた「ホワイトバンド」を広めた「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」。www.hottokenai.jp

そしてチャイルド・スポンサー制度をコアに、年間37億円の資金調達を実現している（財）フォスタープラン協会。www.plan-japan.org

それぞれの経験談は、ファンドレイジング・スキルの観点から見るととても興味深い成功事例であり、苦労談ということがいえます。日本でのファンドレイジングにあたって、一般化（スキル化）できそうなお話も多々ありましたので、追々ご紹介させていただきますが、本日の成功事例のケーススタディを通じて改めて確認したことは、「ファンドレイジングはマジックじゃない。やるべきことをきっちりとやることが大切」というThe Fundraising School のTimothy L.Seiler校長の言葉ですね。

ファンドレイジング道場としては、この「やるべきこと」が何で、それを限られた経営資源（人員や資金、ブランド力）の中でどう「やる」か、ということを追求して明らかにしていくことの重要性を改めて感じました。




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ここまで、各国比較において、非営利セクターの成長を左右する１０の要因について見てきました。これらの要因は、多くの場合、複合的に関連していますが、試しに、私が長く滞在して、NPO分析を行ってきたアメリカとインドネシアと日本との比較で、この要因を照らし合わせてみるとどういうことがいえるでしょうか？

　かつて私がアメリカで各国比較研究をしていた時の分析の結果だけご紹介します。
（なお、ここでは、各国の比較の視点から、それぞれの要因が＋（相対的にNPOセクターにポジティブ）、△（平均的でどちらともいえない）、−（相対的にNPOセクターにとってネガティブ）という形で整理しました）


非営利ｾｸﾀｰの成長を支える10の要因 １０の要因の適用状況
　　　　　　　　　　　　　
１．経済的要因 　　　　　　　　米　＋/ イ△/ 日＋
2．法体系要因 　　　　　　　　米　＋/ イ−/ 日−
3．個々の法律要因 　　　　　　　　米　＋/ イ−/ 日−
4．政策的選択要因 　　　　　　　　米　＋/ イ−/ 日−
5．需要側（多様性）要因 　　　 米　＋/ イ＋/ 日−
6．供給側（社会的動機）要因１　　　米　＋/ イ＋/ 日−
7．供給側（競合関係）要因２ 　　　　米 ＋/ イ＋/ 日−
8．文化的（宗教的）要因 　　　　米 ＋/ イ＋/ 日−
9．営利ｾｸﾀｰ要因 　　　　　　　　米　＋/ イ＋/ 日−
10．歴史的要因 　　　　　　　　米　＋/ イ−/ 日−

この表の内容についての個々の分析についての詳細は、後日www.npocenter.orgでも紹介していきますのでそちらをご参照ください（ちょっと長くなりますので）。

ここでのポイントは、上記の表のように、アメリカという、NPO大国として知られている国は、１０の要因の全ての項目で＋の評価をすることができます。他方、インドネシアでは、宗教的要因や民族的多様性の要因等では＋ですが、法体系や政策選択（中央集権的な国家体制を長年とってきていた）の視点ではマイナスが出てきます。

他方、日本について分析すると、経済的要因以外ではほとんどマイナスがつくことが分かります。私の実感値でもそうですが、相対的にみて、日本では、非営利セクターの成長について社会的、制度的、歴史的にディスアドバンテージが多くあるということがいえると思います。

ファンドレーザーの視点から、この状況をどのように理解すると良いでしょうか。私の理解では2点あります。第一には、実は、詳しく見ていくと、ひとつひとつの要因は、時間をかけて克服可能なものが数多く含まれています。ですので、こうした各国の違いや日本のユニークさを理解しつつ、ひとつひとつの課題を克服していくことが
まず重要です。「日本社会が成熟していないから・・」という言葉で寄付が集まらないことを嘆いていた方を見たことがありますが、その言葉を因数分解するとこの10の要因の克服ということになると思います。

第二には、ファンドレイジングを行う際や外国のファンドレイジングスキルを日本に導入する際には、こうした背景の違いをきちんと理解する必要があるということです。各国の歴史や文化にあったやり方というのが必ずあると思います。

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要因その６：供給側（Supply-side）要因１
　非営利セクターの成長にコミットする人のモチベーションの源が国によって違うという要因もあります。それは単なる経済的要因のみならず、自らの一家の名前を社会認知して欲しいとか、社会的ステータス、政治的影響力や宗教的な動機付けによります。非営利セクターの成長に貢献することで得られるこうした「目に見えない利得（intangible benefit）」が社会的にどのように認知されているかで、人々が非営利組織を立ち上げたり、寄附をしていくといった行動に影響を与えるという視点です。更に、そうした社会認知は、世代を超えて社会に形成されてきているものであるので、容易に変えることは難しいといわれています。例えば、伝統的に非営利組織のリーダーとなることが政治的な影響力行使と関連する社会とそうでない社会では、非営利セクターの成長に大きな差異が生じてしまうということがいえます。

要因その７： 供給側（Supply-side）要因２
　この供給理論を別の視点から整理しているサラモンのような学者もいます。彼らは、宗教間の競合関係が激しい社会ほど、非営利セクターの成長が著しいという分析結果を発表しています。米国のように、キリスト教の各派が狭い地域で信者獲得のための競合関係にあるような社会では、それぞれの宗派が競い合うようにしてチャリティや地元社会の福祉向上に努めようとします。その結果として、地域社会における非営利セクターが成長してくるということがおこる訳です。日本では江戸時代の檀家制度がこうした競争を抑制してしまったところはあるかもしれません。

要因その８：文化的要因
　幅広く認識されている要因のひとつが宗教的要因による非営利セクターの成長の格差でしょう。「非営利組織はしばしば強力なイデオロギー　−特に宗教の−　影響を受ける。価値観との整合性が、方法論的整合性を超える。価値観や宗教的伝統が、非営利組織の規模と形態を規定するといえる。」（DiMaggio & Anheier 1990）といった見方は90年代前半まで良く見られ、現在においても一定の評価を与えられているともいえます。確かに、寄附という行為やボランティア、チャリティーといった行動様式は、優れて本人の利他的な行動規範や価値観から導き出されているものであり、宗教的なものからの影響からは無関係ではいられないとうのは事実でしょう。しかしながら、よく単純化されているように、キリスト教型社会であることが非営利セクター成長にとって決定的に重要な要因であるかという点については、様々な異論があります。例えば、「要因�　廚埜正擇靴拭峽从囘�理由」との関連で非営利セクターとキリスト教社会を見ると、現段階では、経済成長を達成した社会が世界的に数少なく（所謂「先進国」という整理では、キリスト教系の国以外では日本のみであり）、一般化して結論づけるには余りに事例が限られていると言えます。

要因その９：産業的要因　
　社会における営利セクター（ビジネスセクター）の果たす役割によって非営利セクターが規定されるという考え方もあります。ハンスマンは、当該社会において、通常の契約機能が消費者に対して十分な監督・チェック機能を提供しえず、その結果として、社会に契約についての一定の不信（distrust）が存在する場合、非営利セクター成長の要因になると指摘しています。サラモン等は、これをTrust Theoryと呼びました。一例をあげれば、日本においては、企業が行政機関の比較的強い指導監督下にあることから、国民も、企業が提供する社会サービスに対して一定の信頼を置いているという状況があります。

要因その１０：歴史的要因
　個人乃至社会が市場に依存するか、非営利セクターに依存するか、或いは政府に依存するかは、事実上、個人乃至社会の自由な選択の結果として決断されているものではなく、過去の歴史的経緯や発展のパターンといった社会が共有する過去の経験に基づき規定されているという考え方があります。ディマジオ等は、非営利セクターの性格は、市場の変化に即応しなければならない企業(営利)セクターや国民・議会への説明責任を有している政府セクターの性格に比べて環境変化に対応した変化が緩やかであるとしています。そのため、長期間かけて形成された社会的認識に基づいて形成された非営利セクターは、同じ「社会的認識」と言う目に見えない（それだけに明確に判別し難い）相手の変化により、少しづつその性格を変化させていくともいえます。


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世界各国のNPOセクターの成長度合いを左右する要因が１０あるのではと先日いいました。実は1970年代くらいから、世界各国の数多くの学者がいろいろとNPOの各国比較から、何故違いが生じるのかについて、論文を発表しています。私は、アメリカで一度、こうした過去の文献をいろいろ読み込んだ時期がありました。その結果、私なりに整理したのがこの１０の要因です。

今日は、まず、最初の5つの要因を列挙します。

�〃从囘�要因
　どこまでいっても、やっぱり経済が成長して、社会的中間層（要は余裕のある人たち）が育ってこないとNPOセクターは育ってこないということです。この議論は70年代から言われ続けてきました。しかし、最近では、社会的中間層が同程度に成長している国同士でも、NPOセクターの成長度合いに違いがあることから、他の要因に対する関心が高まっています。

�∨‖侶詫廾�　
　国家の法体系は、Common Law系（英国、米国等）とCivil Law系(ドイツ、フランス等）に分かれます。Common Law体系国では、NPO的組織の存在は、自然権として扱われていますが、Civil　Law体系国では、国家がその存在を認めたところから正式に存在しているものとして扱われます。一般的に、Common Law体系国の方がNPOの法人としての活動が容易であるといわれています。日本はCivil Law体系国といえるでしょう。

�８帖垢遼［�要因
　上記�△箸皀�ーバーラップしますが、個々のNPO法の規定の要因もあります。これは、アメリカのように病院や大学、市民組織まで含有したひとつのNPO法の骨格を有している国もあれば、日本のようにそれぞれの法人特性に併せて、別の法律が多数存在して、監督官庁も多数あるような国もあります。どうしても、法律が複雑化すればするほど、意欲やる新規事業者の参入を阻害する等の悪影響はあるでしょう。また、税制（寄附控除等の免税措置）も重要な要素です。

�だ�府の政策選択要因　
　特に政府の福祉政策がどのようなものであるのかということは、NPOの成長に大きな相関関係があるという指摘が多くあります。所謂「福祉国家」では、市民への社会サービスが行政から多く提供され、かつ税金が高い傾向がありますので、その分、NPOセクターへの資金流入や社会の期待値が減るというものです。ただし、これには、アメリカの1920年代のThe Great Society政策で政府が福祉支出を急増させた際にNPOセクターが成長したという結果が説明できないという批判もあります。The Great Society政策では、福祉支出が大きくとも、それを政府が直接使うのではなく、NPOセクターを通じて社会に還流させたことが影響しているといわれています。

�ゼ�要側要因（多様性要因）
　社会を構成するひとびとが多様であればあるほど、NPOセクターの成長の余地があるという説です。アメリカがその好例ですが、構成員が多様であるために、政府が一律で行うサービスで、その多様な構成員を満足させることが出来ないため、コミュニティのニーズにあった社会サービスをNPOが担っていくという構図になります。単一民族型社会では、行政の画一的サービスでも構成員の大多数が満足する可能性があるため、逆にNPOセクターが育ちにくいということもあります。

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日本とアメリカは社会も文化もまったく違った国です。例えば社会が考える「公正」というものの価値観も大きく違うように思います。

米国は、上位1パーセントの家族が保有する財産が下位９０％の家庭の財産を上回る国であり、ビルゲイツの個人資産だけで米国の下位４０％の家庭の資産を上回るのです。これは狩猟民族としての名残りでしょうか。競争による勝者と敗者の存在を基本的に前提とする社会です。ある国際世論調査が明らかにしているとおり、アメリカ、カナダ、ノルエー、ﾌｨﾝﾗﾝﾄﾞといった国は、「自由」を「平等」よりも価値の高いものと認識している反面、日本、イギリス、スペインでは、「平等」を「自由」より価値の高いものと認識しています。

米国は、国の成り立ちからして、欧米の硬直した社会から脱却して来た移民たちが作っていますので、「政府」特に「中央政府」が嫌いです。反面、自分達のコミュニティーをとっても大切にする傾向があります。

こうした社会の価値観や慣習といったものが、ファンドレイジングの前提にどのように影響を与えるのかというテーマは、長いこと私の心を捉えて離しません。「日本社会はキリスト教が浸透していないから」という言い方をする人がいます。それは、果たして日本のファンドレイジングの困難さを説明するに十分な理由といえるでしょうか？

私は、アメリカのARNOVAという、ボランティア学会長をしていたDavid Hammackという歴史学者に師事していたころ、彼のアドバイスを受けながら、日米やｲﾝﾄﾞﾈｼｱの比較をしつつ、各国のNPOセクターの成長を規定するものが何かについて研究したことがあります。

その要因は１０に分けられるというのが私の考えです。その１０の要素が全て揃っているのがアメリカでほとんど無いのが日本です。フィリピンやインドネシアは中間くらいという感じです。この要素が揃っている社会ほど、NPOセクターの成長は容易であると思います。

明日以降、この１０の要因についてご紹介します。

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　今、あるNPOのファンドレイジングの改善のお手伝いをしています。今日はそのお話を少し。

　その団体が行っている年末の募金キャンペーンがあり、昨年10月ごろから、私もそのキャンペーンにアドバイスをするようになりました。例年は、120万円程度を集めるキャンペーンですが、ここ数年は、少しづつ寄附金額が減少する傾向に歯止めがかかっていないという状況でした。

　事務局のスタッフとも何回か現状分析や打ち合わせを行ったうえで、今回は下準備としての潜在的寄付者への働きかけや、顧客のニーズをベースとした、「ライフスタイル提案型」（お金ください型ではなく）のリーフレットの作成、ファンドレイジングイベントの開催等の絞り込んだいくつかのプログラムをかみ合わせてやってみることとしました。

　同団体は、スタッフ1名半の小所帯であり、限られた時間の中で、また、スタッフも年末は事業関連の業務が多忙な状況がありましたので、出来ることはおのずと限られていました。そのため、昨年までのキャンペーンから、私の見るところ、最も費用対効果の高いと思われる（要は事務局スタッフの手間を極力増やさずにやれることに限って）部分のみを進化させて取り組んでみました。

　先ほど申し上げたとおり、例年、120万円くらいを年末募金キャンペーン全体で集めている団体ですが、その結果、今年は、1月中旬段階の中間報告値で倍増の256万円を達成することに成功しました。1月末までに、特定の寄付グループ向けにもうひと仕掛け働きかける予定で、今回は、とりあえず300万円（２．５倍増！）という目標をクリアしたいと考えています。

　今回のキャンペーンは、寄附金額増という直接的効果以外に、その団体のボランティアも含む支援者・関係者の再ネットワーク化という側面でも成果を出すことも出来たことから、やることは絞り込みつつも、ピンポイントの取り組みで幅広いインパクトを与えられるファンドレイジング・キャンペーンとなったように思います。

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「パレートの法則」というのをご存知でしょうか？

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート（Vilfredo Federico Damaso Pareto）が発見した法則で、「全体の8割の数値は全体を構成する2割の要素が生み出している」という法則です。経済以外にも自然現象や社会現象等様々な事例に当て嵌まるといわれています。

ファンドレイジングにも、このパレートの法則はあてはまると思います。そうです、「2割の寄付者が全体の寄附額の8割を寄附している」という法則です。

実は、いろいろ見ている感じでは、大規模なNPOを除き、中小の団体では、むしろ「1割の寄付者が全体の寄附額の9割を寄附している」という実感値の方があたっているとすら感じられる時があります。

この認識は、ファンドレイジングキャンペーンを行うときの戦略策定上、とても重要な前提認識となります。

実際のところ、ファンドレイジングキャンペーンを行う（例えば「歳末募金」とか、「○○キャンペーン」とか）場合、たまたまそのキャンペーンの広告やちらしを見て初めて寄附する人が大口の寄付者となるケースはたまにあるかもしれませんが、宝くじにあたるようなものでなかなか期待することはできません。少なくとも、「戦略」的に思考するとすれば、そうした僥倖をあてにして計画をたてることは妥当ではないでしょう。

そうしますと、今まで一定額以上の寄附をしてくれた人とか、関係のある人とかが大口寄付者の候補者となりますし、あるいは今まで関係の無い人を対象とするとすれば、当然、その潜在的な寄附協力者に個別にアプローチしないといけません。

100人で100万円より、10人で40万円を目指す！
そう考えますと、例えば100万円を集めるキャンペーンとして、概ね100人が寄附してくれると考えますと、20人で80万円を集めること、即ち4万円寄附してくれそうな人の名前を20人リストｱｯﾌﾟする必要があります（単純化して説明しています）。しかし、あてにしている人が皆さん寄附してくれるとは限りませんので、普通、その3倍から5倍の名前を挙げておく必要があるでしょう。この作業の前提として、個々の過去の寄附協力者のデータや寄附特性、そして最近のコンタクト履歴の情報が整備されていることが必要です。

しかし現実問題として、大手NPOでないと、なかなか簡単に大口寄付可能性のある人を目標の5倍リスト化するのは難しかったりします。すると、むしろ良いのは、100万円のキャンペーンを成功させるためには、ファンドレイザーとしては、まず、少なくとも確実に寄附してくれそうな寄附協力者で半分（80万円の半分で40万円）の確保を考えることになるでしょう。

例えばこの事例では、10名、絶対4万円以上寄附してくれる人を確保するということをまず考えるということになります。

パレートの法則アプローチの効果
ファンドレイジングに非常に成功していたあるNPOでは、ファンドレイジングキャンペーンを開始する日の前には、とにかく潜在的な大口寄附協力者にあたりをつけて、4割程度は即座に確保できる見込みをたててからキャンペーンを開始するというやり方を取っていました。

このアプローチは、ファンドレイジングに奇跡は無いという哲学の下、極めてリアリスティックに計画作りをしている点が特徴的ですが、このアプローチの副次的効果は、次の2点です。

まず、「なんとなく」キャンペーンをやることがなくなり、日々の活動やコミュニケーションの中で、潜在的な寄附協力者情報を蓄積しておこうというマインドが醸成されます。

また、キャンペーン途中で、目標額の７〜8割程度に到達することが容易になり、その時点で「目標まであともう少し！」という形で、追加キャンペーンを打ちやすくなります。経験則的には、目標額の半分しかいっていないキャンペーンで「再度の寄附のお願い」をするよりも、目標額の8割程度が達成されたキャンペーンで再度のお願いを出した方がレスポンス率が高いといえます。

このパレートの法則型のファンドレイジング計画の立案方法は、細かくいうと更に色んなノウハウがありますが、またそのうちご案内したいと思います。


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国際協力NGOのファンドレイジングの主要ツールのひとつに、「里親」型の支援プログラムがあります。寄付者が、途上国の一人の子どもを支援するというコンセプトで、その子の顔写真とかが送られてきて、「ああ、寄付したお金はこの子の成長にいかされているのね」というのが実感できるような仕立てとなっている支援プログラムです。フォスタープランが国際的にも代表的なNGOですが、実に多くのNGOがこのプログラムを導入しています。

このプログラムは、自分の支援の受益者が具体的な個人として実感できるところがミソです。ミッション系の学校なんかでも、道徳教育の一環で、クラスで一人の子供を支援するようにしてたりします（私の中学もそうでした）。
　
　私は、ファンドレイジングの観点からは、日本社会では特にこのアプローチは効果的であるという印象を持っています。

　かつての国連高等難民高等弁務官として、UNHCRという国際機関のトップを努め、長年、世界中の難民問題解決に尽力していた緒方貞子さんは、数年前、新聞社のインタビューにこたえて、「欧米の国際協力は理念から入るけど、アジアの国際協力は顔を見てから始まる国際協力」であると断言していました。

　私も同感で、我々日本人には、どうも、知ってる人、仲間や親族はほっとけないという感情（もともと農耕民族でムラ意識が強いからでしょうか）は強くあるんですが、「人権（環境でも、貧困削減でも）は普遍的に重要であるから」というような理念的テーマでは、いまひとつ動きにくいというところがないでしょうか？　実際にNPOに関わっている人や寄付している方々のなかにも、「事務局長(理事）や受益者との過去の繋がりや縁」が寄付のモチベーションとなるケースは結構あるように思います。

　そのため、マス・ターゲットを対象としたファンドレイジングでは、いかに具体的な支援の受益者と寄付者とのリンケージ（受益者を自分のムラの一員（＝繋がりのある人）として）を寄付者にイメージさせられるかというのは、日本においては特にファンドレイジング成功のための重要な要素であると思います。

　ちなみに、里親支援制度についても、寄付金は、その子供だけのために使われるのではなく、その子の属するコミュニティなりの全般的な改善のために使われる訳ですので、「見せ方」というのはとても重要な気がします。
　
　
　

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