ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: 戦略思考の中期計画

週末、飛騨高山にいっていました。雪がこんこんと降り注いでいて、久しぶりの飛騨高山だったんですが、今回は飛騨に拠点を置くあるNPOさんにお伺いして、中期計画策定について都合四時間ばかり講義とファシリテーションを通じて中期計画の内容の強化のお手伝いをさせていただきました。

個別のNPOでのお手伝いの内容を基本的にこちらでは書かないようにしていますので、詳細は申し上げられませんが、いやー、とっても「熱い」4時間でした。地域に根ざしてやる活動って、ホントいいですね。地域社会の一人ひとりのおじいさん、おばあさん、おじさん、おばさん、子どもたちの「顔」を感じながら、そこに達成感や感激にある活動って、本当にいいなあ。それでいて、「飛騨発で日本全体に影響を与えられるモデル」という端緒も感じられるところがなおいい。

中期計画づくりって、いろんな団体のお手伝いをしていて思うんですが、結果として中期計画ができることが大切なんじゃなくて、中期計画づくりのプロセスを通じて、自分たちの活動の素晴らしいところを再発見して、元気づけられるところが一番大切な気がするんですよね。

これって、アメリカで学んだStrategic Planningとはとっと重点感が違う気がします。あっちは、もっと「戦略性や競争性」みたいな合理的な議論がされていました。でも、やっぱり日本社会で計画を考えるときって、そうした合理的なもの以上に、チームでの一体感とか共感って大事ですよね。そうしたものが生まれてきて、「ああ、いい組織と仲間の中にいるなあ」と感じて前に進むためのエネルギーが沸いてくる。そうした状態を実現するために、目指すところを明らかにして、自分たちを再発見するというための中期計画があるんだと思います。

日本のNPOで中期計画をちゃんとつくっているところが少ないのは事実です。そうした状態に、「まだまだ日本のNPOは計画力も努力も足りない」という言い方をされる中間支援組織の方にもお会いしたことがあります。

でも、要は、NPOの皆さんにとって、「日本型NPO中期計画」のいいところがまだ共有されてないだけなんじゃないかという気がしてきました。あるいは、アメリカ型の合理的・戦略的中期計画をつくらないかんというのがピンとこなくて、そうでなくても日本型でいいという代替案を誰もきちんと示していないというような。

飛騨で感じたのは、「中期計画の議論を通じて、もっと社会も自分たちも幸せに、一体感を持とうとするNPOのスタッフの皆さん」の姿の素敵さでした。

今回、こうしたプロセスをファシリテートさせてもらえたことって、とってもうれしかったです。

雪の中の熱い議論。忘れられなくなりました。

29日は、夜にあるNPO団体の経営幹部の方10名ほどにお集まりいただき、経営の課題の抽出などのワークショップを行いました。

午後6時過ぎから始まって、終わったのは10時になりましたが、いろいろな経営課題が抽出でき、実りの多い時間となりました。

今年も、本業の国際協力でもいろいろありましたが、最後はNPOの経営についてしっかり考える時間で終えられたというのも、今年一年の最後の仕事としては「らしい」形で締められたかなという気がします。

この1週間は、私も家内も風邪をひいていて、このブログの更新もとぎれがちになりましたが、なんとか風邪も抜けてきて、元気になってきました。

30日に、1月20日の寄付フォーラム2007の配布資料と講演内容を詰めて、今年は1月8日まで完全オフをいただこうと思っています。1週間、完全に仕事も何も忘れて、家族とゆっくり過ごそうかと思っています。

今年は、いろいろ突っ走ってきたなあという感慨がありますが、この機会に、しっかりエネルギーを充填したいと思います。

土曜日は、とてもいい天気でしたね。

この日は、ある国際協力NGOの中期計画策定のためのワークショップを一日かけてやっていました。

千代田区の富士見会館の会議室だったんですが、この会議室、窓が大きくて、いい風の入るところでした。

土曜日のワークショップは、次のような構成で行いました。

_甬遒涼羇計画のレビュー(既に、過去に2回の中期計画を作っていましたので、それをレビューして、実現できたこと、出来なかったことを見ていきました。あらかじめ事務局長と支援者1名で非常に分かりやすい資料を用意していていただいたので、「前の3年間の大きな流れ」と「次の3年間の位置づけ」のようなものをしっかり共有できました。)

⊆,呂匹鵑蔽羇計画を作るかというテーマで少し話しあいました。
 私のほうから、中期計画の基本的構成と他団体の事例をご紹介し、このNGOにとっては、どんな形の中期計画がよいのか、今日の議論でどこまでのレベル感で骨格をまとめるのかという点を確認しました。
 中期計画の骨子も、「重点課題整理型」にしたり、「到達点明示型」にしたりといったいろんな方法があります。アクションプランの作成も、3年間のそれぞれに取り組むべきアクションを取りまとめるやり方もあれば、1年目と2・3年目という2段階で記載する方法もあります。
 この会の場合ですと、「到達点明示型」「1年目+2・3年目型」でいくことに決まりました。

グループに分かれて、3年後のありたい姿を議論しました。
 国際協力事業
 国際交流事業
 国内理解促進活動
 組織・財政基盤強化
  の4つの切り口を設定し、第一グループは国際協力と国際交流の事業について、第二グループは国内理解促進と組織・財政基盤強化について議論しました。
 
 1時間後、各グループの議論結果を相互に発表して質疑応答を行いました。

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 のプロセスで出てきた課題や到達点の記述は、どうしても内部関係者にとっての課題の羅列となりますので、外向きのメッセージとしてはなかなか魅力が無い。そこで、最後にゴールイメージを「○○を実現したい」というキーワードにすべて置き換えてもらいました。各グループには、最終的に外に公開するということを念頭において、魅力的なワーディングを選ぶように意識してもらいました。

 この1日ワークショップを通じて、団体として3年間で重点的に取り組むべき方向性がしっかり共有できたように思います。「なんか、もう半分は実現できた気がするな!3年後はスゴイことになってるぞ!」という高揚感と一体感が醸し出されるというのが、こうした中期計画策定プロセスのポイントですよね。

昨日のトヨタのケースって、とても示唆に富んでいますよね。

多くの企業や行政組織って、「昨日よりは少しましになろう」という漸進主義にとらわれているところがとてもたくさんあります。

漸進主義では、想像力も知恵もあまり要りませんし、自分の経験や能力の組織内評価の前提もあまり変わりません。

他方で大躍進主義とは、高い目標を掲げて、それに到達するためのプロセスを次に考えるというアプローチです。

組織がどのような行動に出るか、どのような知識を求めるか、そのような発想をするかは目標の大きさと直接関係がある(P&Gグループ副社長 ジョン・オキーフ)

ジェネラル・エレクトリック社は、組織的に「大きな目標」を「ストレッチゴール」と呼んでいるそうです。

同社では、
「ストレッチゴールは、仕事の効率をあげるための人工的な刺激剤だ。ストレッチゴールを掲げることで、「型」にはまった従来の考え方から抜け出せる。」としています。

思い切り高い目標をかかげ、それを達成するための最も有能な人材を集め、アイデアをあらゆるところから募る。すなわち、できることはすべて行うというモードに組織をもっていくために「高い目標」を設定することが成功の秘訣なんだということです。

トヨタといえば、今日、世界を代表する自動車メーカーですが、現場の発想での改善を行うということを通じて生産工程の合理化や競争力強化に活かした会社であるということに異を唱える人はいないでしょう。

トヨタの「カイゼン」ということについて調べていて、興味深いなと思ったのは、トヨタのカイゼンの根幹のルールに、

「問題の原因を『ヒト』に求めてはならない」

というのがあるそうなんです。

すべての問題には原因があります。しかし、それをそのヒトに帰属させてしまった瞬間に、それ以上の考察ができなくなってしまいます。結局は、「注意しようね」「がんばろうね」「育てようね」で終わってしまう。

トヨタのカイゼンは、これをヒト以外の科学的・合理的要因にまで掘り下げようとするところにそのキーがあるように思います。

他方、ある本で、こんなフレーズも見つけました。

改善主義に浸っていると、他をまねた商品やつくり方、安全な戦略、「よそに比べて悪くない」という精神構造につながり、今日のような波乱含みの状況では生き延びることができない。(トヨタ幹部発言)

カイゼンは大切ですが、日々のオペレーションのカイゼンにばかり気をとられていると、大きな躍進をとげるような発想が出てこないという、トヨタ自身の警鐘でもあります。


日曜日は、とてもいい天気でしたね。

今日は、所沢の航空公園に家族で出かけました。航空公園には、日本の航空発祥の地ということで、航空機の博物館(所沢航空発祥記念館)があります。いろんな航空機が展示されていたり、フライトシュミレーターで遊べたりするので、長男がとても好きな場所です。

今日は、その博物館で上映されているI-MAXの40分くらいの映画を見ました。


タイトル:「愛と勇気の翼」(上映時間約40分)

1930年代の郵便飛行のパイロットの物語。南米の雪山に不時着したパイロットが家族や仲間の愛に支えられ、奇跡的な生還を遂げるまでを描いた作品です。

いやー、1930年代って、郵便物をはじめて飛行機の定期便で送ろうということが始まりつつあったころなんだそうです。当時は、セスナ機程度の一人乗りの飛行機で、アンデス山脈を越えてヨーロッパからの郵便物を届けるというのが、常に生死と隣り合わせの事業だったようです。

この実話でも、郵便飛行のパイロットは、社会的な英雄として描かれています。

この主人公を見ていて、ある言葉を思い出しました。

「人生の目的は、目的のある人生を送ることである。」(出典不詳)

自分の目的は何なのか、その目的の目的は何か、を常に追いかけ続けるということの意味を考えさせられました。




経営学の大御所、ミンツバーグ氏が、いいことを言っていました。

「戦略を練るとき、ほとんどの人は論理と分析の能力に富む左脳を使う。その結果、理屈に合わない代替案を排除するので選択肢が少なくなる。戦略づくりには、もっと直感や創造性に強い右脳を動員する必要がある。」

これは、まさにそのとおりだなと感じます。

NPOにとって経営戦略を練る時、現状から合理的に完璧なロジックを組み立てて戦略を考えたとしても、ある意味、本当の「戦略的」な思考となっているとはいえません。

なるほどと感じさせる、さすがのミンツバーグの言葉です。

先日、ある国際協力を行っているNGOに頼まれて、6名のスタッフの皆さんに、中期計画の策定方法などについて2時間半ばかりご説明をしました。

その団体自体は、今は中期計画をとくに作ってないんですが、いろいろと事業上の転換点にきていて、今後の方向性を定めようということを考えているところでした。

スタッフの皆さん、とても魅力的でやる気の感じられる方々で、こちらもアドバイスのやりがいがありました。

こうした中期計画の策定って、団体の状況や特性に応じて、実はいろんなやり方があります。一応、フルスケールの中期計画策定プロセスを理解したうえで、そのプロセスの持つ本質的な役割が分かれば、その団体にとって最も費用対効果が高いアプローチが見つけられると思います。

どういった中期計画が正解ということはなく、外部環境を徹底的に分析したり、新しいビジネスモデルの構築まで念頭においた中期計画もあれば、論点を整理してまとまただけのものもあります。

その団体の置かれている状況と割ける時間との兼ね合いで、最適な策定プロセスを考えるということが大切なんだと思います。

そのNPOの皆さんと話し合っていても、もうひとつ大切な要素が、「いかにして理事会をその気にさせるか」という点です。最初から理事も中期計画づくりにやる気満々であれば問題ありませんが、「ウチはボランティア団体なんだからそんなことまでしなくても」というような意見が出てくるケースもあります。

「最適の中期計画策定プロセスをどうやって見つけるか」というテーマも重要なポイントだと再認識した一日でした。

いい中期計画を持つことは、信用力強化や組織力強化につながり、ファンドレイジングをうまく進めるうえでの大きな推進力になることは確かです。そうしたことについては、今度企画している「NPOマネジメント基礎講座(11月8日 夜 東京で開催)の「戦略思考の中期計画」という講座でもまとめてご紹介したいと思っていますので、お時間のある方はぜひどうぞ。

最近、読んだ本で、いいなあと思ったのが、「決断の本質」(英治出版)という本です。

この本、原作はペンシルバニア大学のウォートンスクール(MBA)の発行ですが、著者は、戦略的意思決定の領域で知られている、ハーバード大学のマイケル・ロベルト教授です。

この本、「まーどーせ、ハーバード大学の教授やし、きれいなフレームワークでも示して語るだけの役に立たん本やろ」というくらいのつもりで読み始めたんですが、いやはや、結構いけてます。

非常に具体的で、意思決定の隘路をうまく語ってくれている本だなと感じました。なんか、「痒いところに手が届く」というか。

「意思決定はプロセスである」というのが、著者の基本的なメッセージです。しかし、皆さんもご経験のとおり、プロセス重視で関係者をたくさん参加させて、決断に時間がかかることって多いじゃないですか。そのところをどないすんねん!と聞きたくなると、その次にプロセスを管理するリーダーの役割が具体的な視点で語られていたりして、なかなか参考になる本です。

大手書店で平積みになっていますので、是非、ご一読をオススメします。日本のNPOマネージャーの立場で見ても参考になるところアリという感じがします。

今日は、中期計画の基本的な「型」みたいなお話を少し。

「戦略的」であるかどうかは別にして、一般的な中期計画の策定プロセスをまとめると次のようなものになります。私がアメリカでNPOマネジメントを学んでいたときに用いたフレームワークも基本的には次のような感じです。

〜澗離廛蹈札垢粒猟
 あらゆる意思決定において、最も重要なテーマは、「誰を参加させるか」という点です。中期計画策定においても、最初の段階で、「誰」をコアの検討メンバーにするのかということを決めなければなりません。
 それにあわせて、全体のスケジュールをその検討メンバーでしっかり共有して、全員のコミットメントを得ておくことがこの段階では重要です。
 

▲潺奪轡腑鵑肇咼献腑鵑虜導稜А3年後、5年後に達成したいことは?)
 中期計画をたてようという団体であれば、ミッションとビジョンは既に持っているケースが多いですので、それを再確認するというプロセスをここで加えるのが一般的です。この作業をどの程度やるかは、その団体のおかれている状況によって変わります。3年後、5年後に目指すべき到達点のイメージが検討メンバーでしっかり共有できていないときは、ここでかなりしっかりとした議論をするのがいいように思います。
 しっかり共有されているなら、ここは、さらっといくときもあります。

F睇環境と外部環境の分析
 とどのつまりは、適正な経営判断は、NPOでも企業でも、自らの持つ経営資源と外部のニーズや競合関係をしっかり把握することから始まります。このプロセスって、ともすると、簡単に済ませたくなるところです。特に「もう十分分かっている(頭の中に入っている)から、改めて分析しなくてもよい」というマインドセットに陥りがちです。ここでのポイントは、「掘り起こし効果」と「共有効果」にあると思います。分析で自らの経営資源に改めて気づくことがあります。こういったものが「掘り起こし効果」。そして、この分析のプロセスを検討メンバーで共有することで、「組織の置かれている環境」について、検討メンバーでしっかり共有することができるというのが「共有効果」です。皆が、何を大切に思って活動しているのかというあたりも、改めて確認しておきたいところです。ここでよく使われるのがSWOT分析です。この分析ツールを使わないといけないということはありませんが、全体像をつかむのには便利なツールではあります。

だ鑪的重点課題の抽出
 その次に、「何が向こう3年間の課題か」を抽出します。SWOT分析をやっていれば、その分析をベースに、「強みを更に伸ばし、弱みを克服するアプローチとは」といったカタチで議論を展開していきます。
 SWOTを使っていなくても、上記の分析過程で検討メンバー間でしっかりとした状況認識が共有されていれば、取り組み課題の絞込みは比較的スムースに進みます。
 
ダ鑪課題の優先順位づけとアクションの検討
 このプロセスはとても重要だと思っています。 
 「戦略とは捨てることなり」といった有名な経営学者がいますが、必ず考えないといけないことが、「何を最優先でやるか」逆にいえば、「何を最優先でやらないか」を決めることです。
 「最優先でやる」とは、必ず2月以内には着手して、毎月必ず進捗させるというような類の内容となります。
 私が好んで使う表現は、「石にかじりついてでもやりたいこと」は何かということを明らかにするというイメージです。

 最後に、この中期計画を理事会なりで承認してもらって、分かりやすい形で世の中(会員など)にも提示していくということですね。

 できれば、検討メンバーが、そのまま、中期計画の実現委員会(個人的には、「実行委員会」よりも「実現」がすきですが)を構成して、各主要課題について、定期的にフォローアップしていくような流れが良いかと思います。

 上記が、基本形です。武道の「型」みたいなものですね。
 実際には、その団体のおかれている状況、ニーズ、時間軸などに応じて、ウエイトの置き方、アプローチの仕方は変わってきます。
 小さい団体の場合、フルスケールでのプロセスは大変ですので、「ここは!」というところだけに力を入れると、いい中期計画につながることが多いと思います。
 

今週、2つのNPOの中期計画の話について、相談を受けました。

ひとつは、数億円規模のNPOで、もうひとつは3千万円規模のNPOという、全く違う規模の団体ですが、丁度これから中期計画をつくろうということで、色々と検討されているところでした。

その過程で感じたことですが、「中期計画」って、NPOで活動をしていると、「つくらなきゃ」という気にさせられますが、今一度、「一体何故中期計画をつくるのか」を考えて見る必要もあるかもしれません。

「そりゃ、経営を考えたら、中期的な方向性なり、アクションプランがないとだめだろう」という声も聞こえてきそうです。経営学的(常識的)には、そのとおりで、中期的な方向性についての組織内同意があり、向こう3〜5年間で何をやろうかということがはっきりしている方が、毎年その都度活動内容を考えるより効率的であることは間違いありません。

しかし、ここで「何故、中期計画をつくるか」を私が「何故」考えたいかというと、経営資源が少なく、内外の環境がしょっちゅう変化するNPOにおいて、「本当に今、中期計画をつくる必要がありますか?」ということを、まず、しっかり自問する必要があるという意味で、考えて見たいのです。

実は、立ち上げ時や勢いのあるときには、意外と中期計画のようなものがなく、毎年「これだけはやろう!」という合意があるだけで、どんどん事業が展開するときもあります。中期計画をつくって、一安心みたいになって、ファイルにしまわれてしまうこともあります。

中期計画って何なんでしょう。

私の今の理解は、中期計画は、単に3年後に向けての各事業や部門のアクションがまとめてあるものではないんです。中期計画は、

「その策定のプロセスを通じて、組織内の経営資源を再評価し、数年後の組織として実現したい状態のイメージ(ビジョニング)をステークフォルダーで共有することで、組織の一体性を高め、組織のイメージ(信用力)を高め、かつ戦略的な経営資源の集中投下を可能とする、パラダイムシフトのきっかけとなるもの」

というイメージです。キーワードは、「策定プロセス」自体の重要性、「ビジョニング共有」の重要性、「パラダイムシフトのきっかけ」というあたりです。

中期計画をつくるということをきっかけとして、組織が新しく生まれ変わるような刺激を生むというのが目標です。其の刺激が、組織に活力を与え、信用力や魅力を増すということです。


こないだ、あるNPOの運営会議で、とても嬉しいことがおきました。「前回(6月)の運営会議で今回(8月)の運営会議までに、これとこれをやる」と決めていたんですが、それが全て実現!できたんです。

「なにをあたりまえなことを」といってはいけません。実は多くのNPOにとって、会議で決まったことを、着実に実現させる。ということは結構難しいことなんです。

今回のケースでは、数えて見るとなんだかんだで17個の実現対象事項がありました。実現したのは、その全ての17個プラス1個の計18個。プラスの1個は、次々回(10月)の運営会議までに実現する予定だった中期計画のレビューが先に出来てしまったというものです。

この「実現力」のある運営会議、5月ごろからのいろいろな取り組みの流れをうけてのことではあるんですが、具体的なポイントで気がついたことをいくつか。

何か具体的アクションを役割分担する場合、その関係者が一同に会せる日を無理しても設定する。
そのNPOの運営会議の場合、具体的な改善アクションを決めると、運営委員の誰かが主担当となって、具体的なアクションに着手します。今回、こだわったのは、そうした「役割を持つ」運営委員が必ず集まれる日に次回の運営委員会を設定したことです。ですので、会議の日時設定は2月以上前に行われていたことになります。理事会(運営会)の実現力の度合いと出席率との関係は明らかにあるように思います。

議事録は作成するが、1年間を通じて見れるアクションシートのような早見表も作成する
会議をやると、どの団体でも議事録などを作成します。しかし、実現力ある運営(理事)会のためには、アクションシートのようなものをエクセルで作成することをオススメします。これは、アクションのテーマ、具体的内容、次回の会議までの取り組み事項、担当者が書かれている表です。縦にアクションを並べ、右に具体的内容、次回の会議までの取り組み事項、担当者と伸びていきます。
ポイントは一覧性の高さと、継続的フォローアップの容易性です。
A4タテガミで書かれた議事録って、何回か会議を重ねると、何がどう進捗したのかがだんだん分からなくなってきます。

アクションシートは、当面取り組むべき課題が一覧になっていて、そもそも何が課題で、何時までに誰が何をするのかが書かれています。このシートに8月の運営会までにこれが実現した、10月までにこれに着手といったことを順次書き加えていくことで、出席者が同じマインドを持って取り組むことができます。

会議では、まず、このアクションシートを見ながら、達成状況を確認して「ひとつづつ潰す」という感じの議論をしていくと、会議運営がグンと実現力重視マインドになります。

NPOでの会議(理事会、運営会議)は、必ず堂々巡りをやります。これは出席者が非常勤の方が大半で、情報ギャップがあるために、背景をその都度説明しなおすためで、そこで既に決定したことを再度議論したりすることがよくあります。
とにかく、何が既に決まっていて、何に着手して、今回の会議では何を確認するとよいのかというのを、1年間、同じシートでずっとおっかけていくと、議論がぶれずにすむように思います。

企業でもNPOでも、あるテーマについて議論して決定しようというとき、どれだけ多様な意見を持つ人を集めるのかということを考えると、結構悩ましかったりします。一般論では、「いろいろな意見、価値観を持っている人、いろいろな能力経験を持っている人を集めて議論したほうが、創造的な意見がでやすい」ということがいわれたりしますが、現実問題としてはどうなのでしょうか?

確かに、イエスマンばかり集めて行われる会議というものが良いともいえませんが、ここで注意しないといけないことはマイケル・ロベルト博士のいう「認知的対立」と「感情的対立」の違いについての理解をもって会議運営を行うということです。

これは、具体的にどういうことかというと、「意見の違い」は一般的には「認知的対立」に過ぎませんので、認知的対立を会議で起こし、議論を高めていくこと自体は、プラスなんですが、どこかの段階で、それが「感情的対立」に陥ってしまうと、そもそもの会議の目的である、参加者間で共有するべき「決定された行動方針に対する高度のコミットメントやその理論的根拠への強固な共通の理解」が却って損なわれてしまうという考え方です。

そこで、会議をリードする進行役や上司の役割が非常に重要となってきます。議論をさせながら、感情的対立には絶対に踏み込ませないという配慮をしていくことが大切です。

今日から、新たに「戦略思考の中期計画」というカテゴリーを設けます。

最近、とみに、ファンドレイジングの成功はいかにそのNPOが「戦略的な思考」ができるかという点にあるように思うようになりました。

そうしたことから、「NPOにとって、戦略的な思考とはどういうことか」「人・モノ・金・信頼」が自然にどんどん集まってくるような中期計画とはどうやってつくっていく必要があるのか」「とどのつまりは実現しないと計画は意味がない。では、その実現力とはなにか」といったことについて、いろんな視点から語っていきたいと思います。



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