ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: 融資・出資型のFR

先日の新聞報道でもでていましたが、大和証券が途上国向けのワクチン購入資金を手当てする債権「ワクチン債」を3月中旬から個人向けに販売するそうです。

債権は2年物の南アフリカランド建てで、格付けも最高ランクのAAAを取得し、総額210億円を売り出すそうです。

こうしたワクチン債の販売は日本でも初めてだそうですね。

この「ワクチン債」のメカニズムは、予防接種を推進する国際機関である国際金融ファシリティ(IFFIm)が起債でワクチンを購入して途上国へ無償で援助するというもの。債権の返還資金は、先進国を中心に各国政府がIFFImに出資するという形での各国の寄付金で補うというもの。

2006年にも欧州で10億ドル(1100億円)相当の債権が発行されているそうです。

今回この起債で5億人にあらたに予防接種が可能になります。

このメカニズム、途上国の予防接種のお金は今すぐにでも必要となるわけですが、各国の政府の援助資金は逼迫しています。そこで相対的に低利の起債をすることで、社会責任投資に関心のある法人や個人の資金を集めて、まずはワクチンを無償援助し、期間をかけて各国政府の寄付金(償還しない出資金)をIFFImに入れることで返還していこうというアイデアです。

こうした「出資」という感覚で社会に貢献するという選択肢が、今の日本では少しづつ広がりを見せています。このワクチン債の売れ行き、注目してみていきたいと思います。

「地元振興の資金」として注目され、地方自治体が住民向けに発行してきた「ミニ公募債」の売れ残りが目立ち始めたそうです。(日本経済新聞報道)

このミニ公募債、2001年に群馬県がはじめて売り出したそうですが、2006年度は122自治体が総額3513億円を調達したそうです。これまでは即日完売も珍しくなく、多くは福祉施設や公園整備などの事業資金にあてられているようです。

こうした「公募債」の発行という発想は、実はNPOでも、事業主体の団体にとっては潜在力のある資金調達方法といえます。担保物件がなく、金融機関からの融資が受けにくい場合に、社会的公益性を訴求して、NPO自体が公募債を発行するという考え方です。

日本社会では、自分のお金の「稼ぎ方」はみんな気にしますが、「使い方」については実は余り考えてこなかったのではないかと思います。教育でもそうしたことは余り教えてくれない。

ですので、自分の欲しいものを買うか、貯金するかという選択肢しか長年なかったということなんだと思います。

そういうなか、株式に投資する人が増えてきました。そして、もうひとつの流れが、「地元をよくするために投資しよう」「社会貢献事業に活かそう」というタイプの「使い方」です。いきなり、全額寄付とはいかなくても、「投資」としてなら、余裕資金を活かして社会貢献してもよいと考える層が増えてきているという印象です。

こうした流れを加速するためには、やはり小中高校でのフィランソロピー教育や、「お金の使い方」を教える教育がとても大切になってきますね。


4月13日の日経産業新聞に、渋谷の会社員女性2人が、「ファーストブルーLLP(有限責任事業組合)」を7月に立ち上げ、企業のCSR活動の支援を行うという記事が出ていました。

この取り組み、興味深いのが、ファーストブルーが世界銀行などと世界の若者の教育・自立支援に使う基金を設立。参加企業はイメージカラーである青色を使って開発した商品やサービスの売り上げの一部(2−3%)を基金に寄附する仕組みです。

企業が本業を通じて無理なくCSRを推進できるというのがポイントになっています。

初年度はメーカーなど8社の参加を目指すというこの試み、なかなか面白そうです。
ファーストブルーLLP自体は、記事によれば昨年11月に2人の日本人女性会社員が設立したそうです。インターネットで検索してもまだ十分な情報は得れないんですが、今後の取り組みに注目していきたいですね。

実際のLLPの設立手続のフローと株式会社の設立手続きのフォローの比較が、経済産業省のHPに掲載されていました。結論的には、LLPだと、登録料6万円、10日間。株式会社だと設立まで概ね20日間必要。登録免許税は資本金の7/1000、となります。

【LLPの設立】

組合員による組合契約の作成

出資金の払い込み
現物出資の給付

組合契約登記申請

組合契約の登記の完了
設立まで概ね10日間必要。登録免許税:6万円
【株式会社の設立】
発起人による定款の作成

公証人による定款の認証

株式発行事項の決定

発起人の株式引き受け

株主の募集
株式の割当

資本金払込
現物出資給付

(検査役選任)

創立総会

取締役・監査役の選任

取締役・監査役による設立手続調査

設立登記申請

設立登記完了
設立まで概ね20日間必要。登録免許税:資本金の7/1000

やはり、フローとしても、LLPの方が簡便な印象はありますね。

LLPについては、まだ新しい制度なので、もう少し分析してみますね。

平成18年3月時点の経済産業省の発表では、設立された270に満たないLLPのうち、2名の組合員で設立されているのが約40%、3名が20%となっています。大半のLLPは、「共同事業」を行うという前提からも、業務遂行や意思決定を組合員全員で行うという制度上の考え方からも、少人数の組合員構成となっています。また、設立した人の約28%が経営コンサルタント業となっていて、ソフトウエア開発が約19%で続きます。

こうした全体像の中、公益事業として活用する方策については、どうしたものがあるかというのが、このブログの関心時です。調べて見ると、ハウジング・アンド・コミュニティ財団という財団法人が、大学の先生と協力して、千葉市郊外の古い「ニュータウン」で、地域活性化の取り組みを試行的にLLPを活用して実施しています。

これは、衰退して空き家が目立つ千葉郊外に立地する築後30年が経過した大規模郊外型分譲集合住宅団地において、老朽化し空家が増えた団地の住戸をLLPが借り上げ、シェアリング方式の学生用住宅として改修し、サブリースを行うという事業を実施しています。

目指すところは、居住者の高齢化が進む地域に学生が居住し、地域の活動に参加することで、地域全体の活性化につながることを期待するというものです。

このケースは、千葉市郊外のある団地の一軒を対象に、3人の学生に賃貸で貸すという形で実施する事業ですが、LLPを構成するのは、団地住民2名、不動産知識を有する大学教員と建築・財務知識を有する大学教員、そしてリフォームに詳しいまちづくりNPO(法人)の計5名が組合員です。

実際に空き室を提供するオーナーと空き家への入居者を募集したり借家契約の締結などの業務を遂行する「事業パートナー」については、組合員とはならず、それぞれの作業や提供資産に対する対価という形でお金が支払われることになります。

LLPの最大の性格ともいうべき、配当金の設定の仕方の柔軟性を活かして、団地住民は出資は0.5%ですが、配当金は30%となっています。これは、住民が住宅管理や居住者支援などの労力を提供するためで、それにみあった配当金を受け取ります。他方で、まちづくりNPOは、出資比率は24%ですが、配当については5%のみを受け取ります。これは、まちづくりNPOは、この事業を通じて、部屋のリフォーム業務を受注するメリットがあるためです。

こうした団地再活性化事業をLLPで行うメリットは、団地内の空き室解消という目的のみならず、其のプロセスを通じて団地の活性化を図るというコミュニティイビジネスに、住民、NPO、専門家が出資という形でコミットし、配当も受け取れるというメカニズムにあります。これらを全てボランティアベースで行うことは、もちろん可能ではありますが、「出資と配当」という明確なメカニズムを構築することで、長期的に維持発展しやすいものにしていこうという取り組みです。

また、配当金の設定の仕方を提供する労力や実質的に組合員がこの事業から得れるメリットを勘案して設定しているのも大きなポイントです。これは、株式会社とは違う、LLPのメリットといえます。

さて、今日は、平成17年8月から法制化された、LLP(有限責任事業組合)という、新しい事業体についてもご説明します。

基本的な特徴は、々柔員全員が有限責任である、損益や権限の分配が自由に決めることができるなど内部自治が徹底している、9柔員課税の適用を受ける、という、3つです。Limited Liability Partnership(リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)の略で、LLPといっています。

ちょっと補足説明しますと、昨日ご説明したLPSと違い、何よりも無限責任社員がいらないということが大きい特徴です。全員有限責任です。出資した分以上の責任は負いません。また、株式会社と違って、利益の配分や組織内の意思決定方法などは、組合員が同意していれば、いかようにも決められます。更に、構成員課税の適用も受けられます。これは、簡単にいうと、株式会社では、会社の収益に課税され、更に配当金を受け取った個人も課税されますが、LLPですと、LLP自体の収益には課税されません。この税法上の特典は結構大きいですね。

更に、抑えておくべきポイントとして、LLPは、LPSと違って共同事業要件というのがあって、一応、建前としては、「出資者(組合員)がみんなで一緒に事業をやる」というタイプの活動、即ち、共同研究やジョイントベンチャー、起業家たちのネットワークなどを想定しています。しかし、既に昨年末には、LLPを活用した投資ファンドも出てきていて、単なる出資組合としても設立されていますので、この共同事業要件というのは、なかなか実態としては法令でも解釈が難しい領域です。経済産業省も、農業やまちづくりでLLPを活用することも推奨しているようです。基本的には、「大抵の目的はOK」ということになるんだと思います。

あとは、意思決定については、原則として組合員全員一致の原則があります。実際には、組合員間で合意していれば業務・権限の委譲は可能ですが、株式会社で選任された取締役と社長ほどの意思決定の迅速性が確保できないことも想定されます。

施設を改修なり建設なりして、そのあとのオペレーションで収益を生む構造の事業を行うNPOや公益法人にとっては、LPSやLLPを使って、「○○ファンド」を立ち上げ、その資金で建築・改修コストを捻出するという枠組みは考えられますね。

基本的には、LLPの方が有限責任であり、目的も自由度が高いですので、これからの公益活動にとっての出資の募り方としては、こちらが適当なのかも知れませんね。

NPOにとっての資金調達を考える際、株式会社形式以外にも、有限責任組合(LLP)や投資事業有限責任組合(LPS)をつくるという手段もあります。

コミュイティバンクなどでもLPSを活用しているところもありますし、先般ご紹介したちよだプラットホームスクエアも、非営利型株式会社として、株主を募ると同時に、「地域ファンド」として、投資事業有限責任組合を設立し、こちらでは若干の配当もつけるという前提で、設立当初に30人、3千百万円の資金を調達しています。

ちよだプラットフォームスクエアは、もともとあった千代田区の中小企業センターだったビルを改修して街づくり拠点として生まれ変わらせようというプロジェクトでsす。

建物改修と新たなサービスを開始するための総事業予算4億円のうち、区が2億5千万円を出し、残りの1億5千万円を新会社が確保しないといけないという、大変なチャレンジの中で、株主(非配当)として出資するという方法と、「地域ファンド」(配当あり)として出資を募るという両面作戦で資金を集めていきます。

ここで、投資事業有限責任組合について、若干ご説明します。

簡単にいうと、例えば投資目的で友人4人でアパートを共同購入しようとします。その際、何かトラブルがあったりした際や、売却したときの資産の帰属関係などで、ややこしくなりがちですよね。投資事業有限責任組合(LPS)は、そうした関係を法的に保護しようという目的で整備されたものです。

ポイントは、誰か最低1人は無限責任組合員となり、あとは有限責任組合員ということで、要は出資した以上の責任は負わなくてすむので、出資しやすいというものです。ご想像のとおり、無限責任を負う人(法人)が誰になるかで大抵モメるようです。無限責任を有するということは、何か他者に損害を与えると、出資額以上に弁済が必要となります。

LPSは、法人ではありませんが、銀行口座の開設、証券口座の開設、各種契約は法人のようにして行うことができます。株式会社に比べると設立が容易です。投資事業有限責任組合の目的は法律で定められていて、株式の取得、有価証券の取得、金銭債権の取得などが可能です。

しかしながら、平成17年8月以降、有限責任組合(LLP)の制度が日本にもできました。こちらの制度のほうが、目的に制限が無いので、何かと便利が良い制度になっています。今後はこちらの組織形態のほうが、公益事業の資金調達としても主流になるかもしれません。明日は、LLPについて説明します。

特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)という制度が出来て以来、以前の社団法人や財団法人に比べて公益活動を行う団体にとっては、非常に法人格をとりやすくなったのは事実です。

他方で、最近、指定管理者制度などの充実や「小さな政府」実現の流れを受けた行政の外部委託化の推進を受けて、所謂「事業型NPO」といいますか、事業収入、行政の委託収入をメインに展開する組織が増えてくる中、NPO法人としての法人格以外の選択肢を選択するケースも出てきています。

こうした非営利型株式会社の例として、以前、ちよだプラットホームスクエアの例をご紹介しました。調べて見ると、なんだかんだで資本金が7千万も集まっています。寄付でこれだけ集めるのは大変ですよね。これが出資の魅力です。他にも、「ユニコの森」という、兵庫県西宮市で子育てや地域コミュニティの活性化に取り組んでいる組織も非営利型株式会社の例です。

このユニコの森のケースで見ると、法人としては、レッキとした株式会社ですが、定款を見ると、条文が次のようになっています。

(利益配当)
第26条 代表取締役は、決算期ごとに配当可能な利益の全額を、社会貢献積立金とする利益処分案を作成し、社会貢献積立金は学校法人又は地方公共団体に寄付するものとする。
(残余財産)
第27条 当会社が解散した場合(合併又は破産によって解散した場合を除く。)における残余財産は、解散のときにおける株主総会の決議を経て、その全額を社会貢献のために、学校法人又は地方公共団体に、寄付するものとする。


 この、利益配分と残余財団の取り扱いが、この「非営利型」株式会社のキモともいえます。

 公益活動を行う際、株式会社形式にすると、一般論としてのメリットは、―仍饉堡耄┐鳳じた機関決定(単純にいえば、株保有率の51%を抑えていれば、意思決定はいかようにもできるという点で、迅速な意思決定)が可能という点、⊇仍饉圓鯤腓蠅笋垢い箸いε澄粉麌佞判仍颪任蓮△笋呂蟒仍餬燭諒が資金を集めやすい傾向があるように思います)、3式会社という法人形態であるがゆえに、行政の中小企業向けの各種振興施策を活用できる、ぜ匆餔貳姪な信用。といったあたりでしょうか。

 他方で、財団や行政の助成を受けにくくなるケースや、寄付金収入を想定するケースでは集めにくくなるデメリットがあります。続いて、有限責任組合(LLP)などの別の形態のケースも少し見ていきたいと思います。

NPOバンクシリーズ、第6弾です。

NPOバンクを見ていくと、日本の寄付文化を紐解く鍵(7月5日参照)もあったりして、面白いですね。

シリーズの最後に、NPOバンクの出資者にとってのメリットについてもちょっとお話します。

このNPOバンクですが、今国会の投資サービス法の改正を受けて、1億円以上の資金を集めて運用し、出資者への配当を還元する法人は、「有価証券取り扱い」を実施していることになり、公認会計士の配置義務などの様々な制約が出てくることになりました。

こうなりますと、事実上、ボランティアとパートタイマーで運営して管理コストを最低限に抑えているNPOバンクにとっては、死活問題となります。

実際に、女性・市民信用組合(WCC)準備委員会でも、同法改正をにらんで、出資者総会を開催して、「今後、配当は実施しない」ということを満場一致で決議したそうです。

「地域の発展が配当です」というコンセプトです。

ただし、出資者は何時でも資金を引き上げることはできます。WCCでも、毎年10名程度の方が出資を取りやめられるそうですが、その時点で全体が赤字になっていない限り、出資額全額をお返しするそうです。

どうせ銀行に預けていても、0.1%も金利がつかないし、それなら地域社会に役立ててもらったらいいじゃないかということになりますよね。将来、そのお金がどうしても必要になったら、返ってくるわけですし。

こうした「無配当・社会貢献出資」が寄付免税の対象になるといいなあ・・・とか思ったりもします。

7月の6日間連続で、ちょっとまとめてNPOバンクを見てきました。この「社会貢献型出資というコンセプト」、NPOバンク以外でも、いろいろ応用できそうです。引き続き、考えていきたいと思います。

NPOバンクシリーズ、7月1日から第5弾です。

NPOバンクって、「日本でのお金集めの突破口」となるコンセプトを含んでいるような気がしているところがあります。

それは、「出資という形でのNPO活動支援」が、結構今の日本社会の潜在的寄附者のニーズにあっているんではないかということです。

実は、先日来分析している向田さんの女性・市民信用組合ですが、出資者が500名弱(法人含む)いて、出資総額が1億2500万円を超えています。

これだけの規模の出資者を、神奈川県という一県ベースで集めるということに感銘を受けて、「一体、どうやって出資者を募っているんですか?」ということをお尋ねしました。

その答えが、「だいたい、口コミとかが中心です」というものでした。

「口コミ」ということは、支援者が新たな支援者にNPOバンクへの出資を紹介するということになります。これが機能しているということには、正直、驚きました。

実は、以前から、私がアメリカで機能していて、日本では機能しにくい活動のひとつだと考えていたのが、この「口コミで寄附者紹介」というところだったんです。

日本ですと、自分が支援しているNPOがあったとしても、友人や同僚に、「会員になったら」とか「寄付してみたら」ということは言いにくいですよね。むしろ、NPOを支援していることを隠すというか、積極的に話したりしない雰囲気すらあります。

アメリカにいたとき、結構、こうした口コミ紹介はお互いにやっていて、それ自体、なんかとっても普通な感じでした。むしろ、そういう、自分の支援しているNPOのことを同僚や友人に紹介する行為そのものが、その人の社会貢献意欲を表していて、好感されるみたいな感じすらしました。

日本では、しかし、「出資」というイメージであれば、「口コミ」がしやすいということなのかなと感じました。なんとなく、ビジネスとして、クールにやってる感じで、かつ社会貢献センスも感じられる、「大人の社会貢献」というイメージがあるんでしょうか。

この社会認識感は、とても面白い。興味が引かれたポイントでした。

実際に、NPOでも、こういった出資型の資金調達として、「NPO債券発行」による資金調達をするという方法もあります。結構、新たな資金開拓にとっては面白い切り口ですよね。

実際に横浜市だったかが、中小企業をまとめて、一括した債権発行を行う業務を展開していますが、これのNPO版というのもいいですよね。

NPOバンクシリーズ、7月1日からの第4弾です。

NPOバンクから「借りる」ためのプロセス、そして審査はどうなっているのでしょうか?

これは、個々のNPOバンクによっていろいろ違いがありますが、これまで取り上げている女性・市民信用組合(WCC)設立準備委員会の場合、次のような融資条件は次のようになっています。(同委員会HP)

 融資対象者:神奈川県内で事業を行うNPO、W.Co等。
限度額:1,000万円/1件(出資金の20倍以内)
金利(年): 2.0〜5.0%(2003年3月現在)
融資期間:最長5年
担保:不要
連帯保証人:団体の場合、当該団体の理事会メンバー
融資審査委員会:市民事業の現場を熟知している専門家で構成
 事業の採算性・継続性、地域社会への貢献などを評価基準に、審査を行う


具体的なプロセスとしては、まず、 資金を借りたいと考える個人、法人は、まず、WCCに出資し、出資者となる必要があります(一口10万円以上。法人の場合は三口以上の出資)。

これは、WCC自体が、かつての「たのもし講」のような相互扶助システムとして機能しているためです。

実際の審査にあたっては、融資審査委員会に図るまえの事務局での「前さばき」に結構力をいれているようです。

これは、具体的には、例えば、余りにも自己資金が無いような団体であれば、「まず、独力で200万円集めてから、融資申請をおこなってはどうですか」といったアドバイスを行ったり、実際の現場訪問や地域の他のNPOの口コミによる情報収集なども行います。

地域をある程度限定した形で運営しているNPOバンクならではの審査方法であるといえます。

また、回収率向上やNPO側の心理的ハードルの観点からは、「当該団体の理事会メンバー」の連帯保証が設定されている点が特徴的です。

いちおう、貸し倒れ引当金を250万円積み立てているそうですが、当面、これが必要になる事態は訪れそうもないですね。



NPOバンクシリーズ、7月1日からの3弾目です。

NPOバンクって、資金需要的には、NPOにとってはどのくらいの役割なんでしょうか?

NPOにとって、全体収入に占める融資比率は、全NPO平均で0.3%程度と言われています。

企業では、全く融資を受けないで事業をしているところはむしろ少ないですが、NPOの場合、そもそも融資を必要とするような設備投資がなかったり、融資資金を将来返却するまでに、何等かの内部留保(企業でいう利益)を蓄積するようなメカニズムの事業を実施していなかったりしますので、「借りたい」というニーズが無いNPOが大半でしょう。

他方で、最近、急激に増えている行政の委託や指定管理者制度を使った施設運営を行うNPOや介護関連のNPO、そして障害者福祉を行うNPOにとっては、「施設」というハード面の整備が必要となるケースがありますので、まとまった初期投資ニーズがあります。

恐らく、こうした融資ニーズは、拡大していく傾向にあると思います。

民間銀行でも、NPO向け融資を行うところもだんだん出てきました。しかし、地域社会への貢献を主目的とするこうしたNPOバンクの機能は、今後も拡大しそうですね。

実際、こうした貸付って、どのくらいうまくいってるんでしょうか?

女性・市民信用組合(WCC)準備委員会の場合、過去3億円超の貸付のうち、貸し倒れは1件もなく、延滞も5日間が最大だそうです。

そうすると、事前の審査がキーポイントになりますね。明日は、この事前審査を分析します。

7月1日からのNPOバンク続編です。

NPOバンクのお話しを聞いていて、日本には一体どれだけのNPOバンクがあるんだろうと思いません?

主なものだけでも、これだけあります。(出典 SVTネットワークミーティング)

○北海道NPOバンク(02年設立、出資総額4394万円、累計融資総額 9177万円)

○いわてNPOバンク(06年設立)

○新潟コミュニティバンク(05年設立)

○NPO夢バンク(長野県 03年設立、出資総額3474万円、累計融資総額2670万円)

○コミュニティ・ユース・バンク(愛知県 05年設立)

○東京コミュニティパワーバンク(03年設立、出資総額8240万円、累計融資総額1800万円)

○未来バンク(東京都、04年設立、出資総額1億5200万円、累計融資総額6億2600万円)

○ap bank(東京都、03年設立、出資総額1億円、累計融資総額4551万円)
  ※あの、坂本龍一とかのアーティストが立ち上げたバンクで、既存のNPOバンクでは最も低利融資を実施。

○女性・市民信用組合(WCC)設立準備委員会(神奈川県、98年設立、出資総額1億2553万円、累計融資総額3億380万円)

 いやー、いろいろ出てきてますね。それぞれのバンクの活動内容や支援対象を見ると、「地域社会を豊かにする」というコンセプトが色濃く出ていて、地元密着型のNPOバンクとなっているケースが多いようです。

 しかも、最近、急激に数が増えてきている傾向にありますね。そのうち、各県にひとつづつある状態になるんじゃないでしょうか?

 この中でも、行政がある程度リードしてできあがった北海等NPOバンクやNPO夢バンクのようなところもあれば、新潟コミュニティバンクのように、震災から生まれたものもあります。また、WCCのように、市民から幅広く出資を募っているものも、ap bankのように、坂本龍一氏他2名がまずは資金を出してバンクを作ったものまで、出来上がるプロセスにもいろいろとあります。

 しかし、ひとつだけはっきりしているのは、資金規模はそれぞれ小さくとも、こうしたニッチな資金ニーズは、確実にあり、広がりをみせつつあるということでしょうか?

 先日、神奈川県の助成・市民信用組合(WCC)設立準備委員会という市民バンクの代表の向田さんのお話を聞く機会がありました。

 この市民(NPO)バンク、出資総額1億2533万円、累計融資総額3億380万円の組織で、地域社会を良くしたいという出資者が集まってできたものです。

 WCCの場合、目標としては、信用組合を設立したいと考えているため、「準備委員会」という名称になっていますが、既に十分に融資活動は実施していて、国内のNPOバンクとしては大手の方です。

 貸出先は、「自ら雇用を生み出し地域経済を活性化させ、地域社会を豊かにする役割を担っている神奈川県内のNPOや、ワーカーズコレクティブに対する融資」となっており、担保をもっていない、地域での非営利事業を営む女性対へ優先して行ってきています。

 向田さん曰く「子どものときから、みんなお年玉をもらうと、「貯金しとけばイイコ」みたいないわれ方を親にされて育ってきている。そのため、その先に、そのお金がどう活かされたらいいかという問いかけをうけずにきている。だからみんな安全性とか預金利率だけで自分のお金の活用を考えてしまう。NPOバンクのコンセプトは、出し手側からみて、「使い方」に市民が参画していこうということである。」

 確かに、私も日本の銀行、アメリカの銀行に預金を預け、株も購入していますが、「使い方」にまで気にしてやっているというよりは、単純に運用面だけを考えてやっています。

 他方で、社会貢献的には、NPOに寄付したりはするんですが、そっちは、「使い方」をとても気にしています。

 NPOバンクの発想って、NPOと金融機関の中間のポジションを占めるような気がします。

 


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