ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: ファンドレイズの心理学

4月26日付の朝日にでていた記事、面白いですね

アメリカのカリフォルニア大学バークレー校の実験で、次のようなことをやったそうです。
今週の米科学アカデミー紀要に発表された論文によると、観光クルーズ客向けの記念撮影サービスで

・通常の15ドル
・値引きした5ドル
・好きな金額の支払いを求める

というやり方で写真を売ったそうです。

その結果
15ドルを示されたグループは、23%しか写真を購入せず、
5ドルを示されたグループは、64%が購入。

一方で好きな金額を支払うように求められたグループは平均で6.43ドルを支払ったものの、購入率は55%にとどまったということです。

他の異なる条件での2つの実験でも同様の傾向があったとして、

「安すぎる価格をつけるケチな自分をみたくない「自尊心」が働いて、結局買うのをやめてしまうのだろう」と分析している

と締めくくっています。

ファンドレイジングでも、寄付には単価がないと、いくらしていいのか分からず、寄付しにくいという声があったりします。そのため一口いくらといういい方で単価設定をしたりします。そうした人間の心理行動がみえて面白いですね。

商品を見せて、

先日、長男(9歳)が冬休みの宿題をヒーコラいいながら食卓のテーブルでやっていたとき、私も向かいでこのファンドレイジング道場のテキストを書いていたんですね。

そしたら、私がついうっかり、手元のコーヒーをこぼしちゃったんです。
まだ半分以上残っていたコーヒーはテーブルに広がり、長男の宿題のノートやテキストにもどばーっとかかってしまったんです。

「うわ!」と悲鳴にも雄たけびにも似た音声が食卓にこだまして、「しまった、スマン!」とあわててノートやらを取り上げたんですが、ずいぶんしみこんでしまいました。

その時の長男の反応。

「あああーーーーーっ!・・・・・・ま、お父さん、仕方ないよ。誰だって失敗するし!失敗を恐れず、失敗に学べばいいんだよ。」とにっこり笑って返されてしまいました。

な。。。

なんだこの余裕の返答は。

最近、自分もいろいろイライラすることもあったりして、心の余裕をなくすこともあったりして、人の失敗には厳しかったりしたこともあったかもしれませんが、小学校3年生の子供にこれだけ余裕の返しをされるとは・・・

スティーブン・コビー(7つの原則で有名)が、他者の影響の輪の中に入るなということを言っています。自分でコントロール不可能な「負の状況」に心が囚われても、何にも生み出さない。それであれば、自分のコントロールできる範囲に集中して前向きに考えたほうがいいだろうという考え方です。

自分の心の余裕のなさを、こどもに見透かされたというか、教えられたというか。

こういう心持ちでないと、ファンドレイジングもうまくいかないですよね。

そんなことを思った出来事でした。


詐欺に何故人は騙されるのでしょうか。

先日、あるTVを見ていましたら、ロコ・ロンドンという金の商取引に関する投資話に騙されて、78歳の高齢者が退職金と妻の保険金の全額である3500万円をまるまる騙し取られたという話が出ていました。

こうした「だまされる人の心理」というものをいろいろと解説している本も出てるんですね。

著名な社会心理学者Cialdini,R.は、こうしたコミュニケーション上の心理的要素を次の6つに分類しています。

1.返報性…恩を受けると、その分、お返ししなければならない気分になるということ。
2.コミットメントと一貫性…一度はまると、それを取り戻そうとして引き返せなくなる。一度引き受けると次回から断りにくくなるといった心理。
3.社会的証明…多くの人がしていることは無批判に正しいと思ってしまう。多数派に影響される。
4.好意…相手に好意を示されると頼みを受けてしまいがちである。また、友人の言うことは信用しやすいといったこと。
5.権威…権威のある人の言うことは信じやすくなる。
6.希少性…手に入れにくいものは興奮を引き起こし、判断力を鈍らせる。

うーん。なるほど。

日本社会は特に義理や仁義の要素が大きな位置を占める社会ですので、「人との貸借関係」を心理的にも持ちたくないという気分があります。その点では、「返報性」という心理的要素は、とても重要なところです。また、「みんながいいっていうなら」という「付和雷同」型の社会でもありますので、「社会的信用」の要素も強い。

以前に、ホテルで「環境保護のためにタオルの再利用にご協力ください」ということをメッセージとして書く際、いくつかのパターンに分けて書いたそうです。例えば、環境保護の重要性を詳しく説明しり、タオル交換を控える効果を説明したり。その中でも、最も効果があったのは、「このホテルに滞在する方の9割の皆様には、これまで環境保護の観点からタオルの再利用にご協力いただいています」といった「みんなやってますよ」というメッセージだったそうですね。

人間とのコミュニケーションにおける心理学。奥が深いなあ。

職場の同僚たちと歓迎会での飲み会で、過去に見た映画の話になりました。
みんな、一家言持っているひとたちだったんですが、その中で、人生に影響をあたえた作品のひとつとして推す声が多かったのが、イタリア映画の「life is beautiful」でした。

私も、見たことがなかったので、早速、レンタルして、家内と一緒に見てみました。

ストーリーはこんな感じです。第二次世界大戦下のイタリアで、ある陽気で楽天的で、人への思いやりあふれるユダヤ人の男性がいます。彼は、妻と子供と一緒に収容所に入れられてしまうんですが、そうした中でも、ユーモアのセンスを忘れず、子供に接し続けていました。

「これはゲームなんだ。毎日、いろいろがんばるとポイントがもらえて、1000ポイントたまると本物の戦車がもらえる」

強制収容所にいるとは、最後まで子供に悟らせず、これは大人たちがやっているゲームだという設定を信じさせるため、あの手この手で頑張るお父さん。

機転とユーモアを最後まで忘れず、「どんな環境でも人生を楽しむ」ということを実践している姿にとても感銘を受けました。

私たちの生活は、さまざまな環境に影響されています。そうした中で、環境に負けるか、自分のできることに専念して楽しむか。そうしたことについて本当に考えさせられる映画でした。

NPOも、資金が集まらない、経営でトラブルがおこるということが、何時も起こります。
アメリカでファンドレイザーがよく言う言葉が、「Fundraising is Fun(ファンドレイジングは楽しい)」。時にはファンドレイジングが失敗したり、寄付を頼んだらNoといわれたりして、へこむことはあります。しかし、そうした状況をすべて含めて、「Fun」と考えられるということが、大切なんだと改めて思わせる映画でした。

説得技術と心理学の5日目です。

 峪劼匹發燭舛両亟蕕鮗蕕襪燭瓩吠膓發靴討ださい」
◆峪劼匹發燭舛飢えに苦しんでいます」


このどちらの問いかけが効果があるでしょうか。

心理学の実験によると、「気分の良い人」は、比較的,量笋いけのときに寄付を行い、「気分の落ち込んでいる人」は△量笋いけのときに寄付を行うようです。

こうした現象を「気分一致効果」といいます。相手の気分にあったメッセージが非常に効果的であるということです。この理論、ファンドレイジングでは色々と応用可能です。事業に成功している人に対して寄付をお願いするなら、「成功」のイメージで語ることが効果的ですし、学生を対象なら、「仲間意識」的なメッセージが有効かもしれません。

「相手の心理状態を想像してアプローチする」ことの重要性を感じます。

説得の技術と心理学効果について、5月8日から連続4日目です。

心理学とファンドレイジングの関係をつきつめていくと、ものすごく奥が深いなと改めて感じてきました。これで一冊本がかけそうなくらい、いろんな役に立つ話がありそうです。

さて、「説得の場」という話で、昨日、SVPの勧誘ミーティングのお話をしました。

さて、ここで質問です。
次の場所の中で、商談の中で相手を説得するうえで最も効果的な場所はどこでしょうか。
‐γ未覆匹任睥匹利用されているホテルの一室
∩蠎蠕茲硫饉劼硫餤勅
自分の会社の会議室
す圓つけの喫茶店

場所というのは、心理的に人の状況に影響を与えるといわれています。重要なキーパソンと会うときに、なんとなく、場所を決めていないでしょうか?

もうひとつ、「場」の議論で重要なのが、「ホームグラウンド効果」であるといえます。自分の慣れた場所であれば、心理的にリラックスもでき、精神的に余裕が生まれます。また、周囲の状況も良く分かっていて、不測の事態にも対処しやすい。こうした環境では、100%以上の力を発揮させることができるということが言われています。

SVPのケースでは、自分のオフィスの一室を高級感のある造りにすることによって、「相手側に与える心理」と、「こちら側にもたらす余裕」の両面を一気に獲得しているところが面白いですね。

潜在的なパートナーがこの部屋に入ったら、どこに座ってもらって、自分はどのポジションをとって、どこからお茶を持ってきて・・・と、いつもやっている場所であることで落ち着いて余裕をもって話しができるというメリットがあります。

普通のNPOでは、なかなかスペースに余裕はないので、こうはいきませんが、潜在的寄附者や会員の入会希望者がきたときに、どういった場所で、どういった雰囲気で話をすることが最も効果的なのかは、一度きっちり検討して、自分のNPOにあった「場のつくりかたの型」を持っておくのはいいと思います。

5月8日、9日に続く、説得の心理学第3弾です。

今日は、説得の3大構成要素(‥礎者の信用性、▲灰潺絅縫院璽轡腑鵑瞭睛董↓E礎の周囲の状況)のうち、三番目の要素(伝達の周囲の状況)について考察してみます。

人を説得するときに、「その場の設定」というのがとても重要であるというのは、本当に感じます。これは、例えば仕事で難しい話をお願いするときや、相手の本心を聞きだそうというときには、私も場所設定には気をつかいます。

ファンドレイジングとの関係では、以前、アメリカのクリーブランドで、Social Venter Partners(SVP)という団体の「パートナー勧誘」の場面に同席したことを思い出しました。

SVPは、一口年間5000ドルで出資者のような形で寄附を募り(このひとたちを「パートナー」と呼んでいます)、そのお金を有望なNPOに投資(助成)するというタイプのNPOです。

その勧誘の日は、オフィスの接客スペースで説明を行うのですが、この場所の演出が非常に凝っていました。その部屋だけが重厚な造りで、壁には品のある絵画、高価そうな絨毯、ソファー、調度品に囲まれています。そこで、きっちりと服装もきめている事務局長、理事がパートナー候補者の会社経営者と紅茶を飲みながら談笑するような雰囲気で会の趣旨を説明していきます。いかにも上流階級の集いみたいな。

なんか、場所の設定からしてとってもお金持ちの集いのような感じがして、「2口1万ドルくらいださないとカッコつかないかな」と相手に思わせるのに十分な雰囲気でした。

5月8日のホブラントの「説得と心理学」の第2弾です。

昨日、説得を通じた態度変容の3大要素として、‥礎者の信用性、▲灰潺絅縫院璽轡腑鵑瞭睛董↓E礎が行われる周囲の状況のうち、,療礎者の信用性について述べました。

今日は、△痢屮灰潺絅縫院璽轡腑鵑瞭睛董廚砲弔い胴融,靴燭い隼廚い泙后

コミュニケーションの内容については、「両面性メッセージ(two-sided message)」が説得の方法として有効であるといわれています。

これは、ある見解を主張する際に、そのメッセージにあえてその主張と反対する主張の混じったメッセージを含めることで、メッセージにバランスを持たせ、説得力を高めるという技法です。

心理学的にも、こうしたメッセージは説得に効果的であることが知られており、テレビのニュースレポーターなんかは、こうした技法をよく用いています。

この「あえて反論を入れる」ということについて、ウイリアム・マグワイヤーが、予防接種に例えた説明を行っています。

予防接種って、体内に予め少量の病原菌を注入することで、免疫力・抵抗力を高めるじゃないですか。説得についても同様で、メッセージの中に、予め、予想される反対・反駁のポイントを盛り込み、それに対する回答を盛りこんでおくことで、主張したいメッセージに対する相手の心理的な抵抗を取り除くことができ、より適確に相手を説得できるということです。

もうひとつ、注意しないといけないのが、「リアクタンス」という心理的反応です。
これは、ある特定の行動をするように強い社会的圧力をかけられ、それが自分の自由を脅かしていると感じたとき、人は自由を守ろうとしてその圧力に反発する傾向があるということです。

つまり、強すぎる圧力を伴う説得は、逆にその説得の意図とは反対の立場に傾倒する傾向が人にはあるようです。

この話、司馬遼太郎の「竜馬が行く」という本の中で、薩長同盟や大政奉還を成し遂げた坂本竜馬の説得技法を思い起こさせます。彼は、剣術の達人でしたが、司馬遼太郎氏によれば、相手を説得する際の「引き際」が見事であったようです。相手が、こちらの主張にほぼ同意しかかったときには、そこで、留めの一言を決して言わず、スッと引いてしまい、あとは相手に自問自答させるように仕向ける。竜馬は、そこで最後の一言を突きつけることで、相手に心理的抵抗感が生まれるのを意識的に回避しようとしていたそうです。

ファンドレイジングの取り組みは、相手を説得するという行為が非常に重要なポジションを占めます。「これだけ素晴らしいことをしていますから、是非、ご支援をよろしく」というスタンスの直線的なメッセージだけでは、中々うまくいかないことも考えられます。

「私たちは、これだけ素晴らしいことをしています。しかし、これから支援を検討される方の中には「自分の寄付がどれだけの意味があるのか」とご疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません、その点については・・・」という説明を絡ませたり、いろいろと活用可能なコンセプトだと思います。

人が寄付をしたりする行為って、基本的に非常に情緒的な行動だと思います。心の中の何かにひっかかって、とか、感激して、感動して、とか、同情や可哀想という気持ちとか、何か心の動きに関連した、はっきりとしない、ある意味非合理的な心理的プロセスを経て行われるものですよね。

その心のプロセスを少しでも明らかにすることができれば、ファンドレイジングを考える際にも助けになるのではないかと思い、以前から心理学の領域には大きな関心を持っています。

このブログでも、「ファンドレイズと心理学」という新コーナーを設けてちょっと追いかけて見たいと思います。

まず最初に、カール・ホブランドという心理学者の説得にかかる心理分析をご紹介します。彼は、説得を通じた態度変容の重要な要素は、相手を説得するためのメッセージのコミュニケーション過程に存在すると考えました。

それは、次の3つの構成要素に分けられます。

‥礎者或いは情報の出所(つまりは、「誰が」説得者か)
▲灰潺絅縫院璽轡腑鵝兵臘イ寮眛澄砲如▲瓮奪察璽犬瞭睛討任后
コミュニケーションが行われる周囲の状況


△亮臘テ睛討賄然のこととして、ホブラントは、,砲弔い董¬滅鬚ぜ存海鬚笋蠅泙靴拭

1952年に、「実践的な原子力潜水艦をつくることは可能か」(当時は相当議論が分かれていたそうです)という問いをアメリカ市民に対して行う実験を行っています。その際、全く同じ内容の新聞記事を見せたうえで考えを述べてもらうことにします。ひとつのグループには、その新聞記事は、「原爆の父」と呼ばれたオペンハイマー教授が書いたと伝えられ、もうひとつのグループには、ロシア紙「プラウダ」が書いた記事だと伝えられます。

その結果、オッペンハイマーの記事を読んだ被験者の36%が直後に見解を変えたのに対し、プラウダの記事を読んだ被験者は1人も見解を変える人が現れませんでした。

即ち、信用性の高い伝達者による記事に、より説得の効果があると証明されたわけです。

伝達者について、ホブラントがもうひとつ興味深い指摘をしています。それは、

伝達者が、伝達者自身の利益になりそうなことに反した発言をすると、その伝達者の信用性があがるというものです。

例えば、現職の官僚が既得権益を失うような行政改革を訴えると、その人自身の伝達者としての信用性は高まります。これは、「この人は、個人の利益でなく、社会利益のために発言している人である」という認知が高まるためであると言われています。

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