ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: せ業収入型FR

旭山動物園と並んで、「奇跡の成功」といわれているのが、金沢21世紀美術館です。かつてメディアでも取り上げられていますから、ご存知の方も多いと思いますが、少し成功の秘訣などを分析してみたいと思います。

まず、金沢21世紀美術館のような地方自治体が運営する公立美術館ですが、「冬の時代」ともいうべき苦戦を強いられているのが一般的です。大都市の大手美術館が著名な作品展示や特設展で集客力を発揮するなか、地方美術館では、なかなかそうした金をかけて著名な作品を集めるという顧客訴求戦略がとれません。確かに、よほど好きな人でもないと美術館っていきませんし、ましてや小さな子どものいるご家庭では、「行きたくても行けない」という方も多いんだと思います。そのような中、2004年10月に開館した金沢21世紀美術館(蓑豊館長)が、初年度年間入場者数が、当初目標の30万人に比べて、150万人!という、驚くべき成果をあげています。

この数字のすごいところは、年間10万人も集まれば大成功の地方美術館であり、金沢市の人口が46万人しかいない中での数字ですので、本当に驚愕すべき成功です。

 まず、何がそれだけの魅力なのかをご紹介しますと、目玉となるような有名画家の作品はほとんどありませんが、金沢21世紀美術館では、「地元の人に親しみを持ってもらえる広場や公園のような美術館」というコンセプトをたて、主要なターゲットを子どもや家族連れに併せて、入り口も5ヶ所ある、入りやすく、明るいイメージの建物にしていることや、触ったり乗ったりして楽しめる“体験型”の作品や、強化ガラスに水を張り、まるでプールの中にいるかのような感覚が味わえる空間などの「コミッション・ワーク」と呼ばれる建築と一体化した作品が大きな見どころとなっているようです。

この金沢21世紀美術館の成功の秘訣、探っていくと、色々とおもしろいことに気がつきます。
これについても、連載で少し分析していきたいと思います。

旭山動物園の成功と、ユニークな動物の見せ方は切っても切れない関係にあります。

アザラシを見れるガラスのチューブにしても、ホッキョクグマの見せ方にしても、ユニークなアイデアを実現するために、施設の改修工事に相当程度のお金もかかっています。

97年以降に、こうしたユニークな動物の展示を実現するための施設改修に累計で26億円程度かかっているそうです。

「なんだ、やっぱりお金をかけたから成功したんだ」と感じる方もいるかもしれません。確かに、結果として、動物の「見せ方」をアレだけ魅力的にするうえで、施設の改修工事は重要な役割を果たしています。しかし、成功の秘訣は、施設の改修前にあるように思います。

それは、実際に施設を改修する前に、飼育係がワンポイントガイドとして、動物達を紹介する試みを行ったり、ホワイドボードのPOPを作成して、動物達の日常を分かりやすく紹介したりという試みを旭山動物園では行っていることです。

園長によると、こうした取り組みは、入園者には評価されましたが、入園者の増加にはすぐには結びつかなかったようです。

ここがひとつのポイントだと思います。

NPOでも動物園でも、自らの存在意義を見直し、自分たちの持つ経営資源(この場合の動物たち)のポテンシャルを再評価したうえで、顧客(入園者)に対するサービスを改善したとしても、スグに顧客の反応が大きく変わらないことがあります。

ここが、経営する側にとっては、非常に悩むところです。スタッフにも通常の業務にプラスアルファの仕事をさせていますし、それでいながら、目に見えた成果や数字が出てこない期間というのが必ずあります。

旭山動物園のケースでも、そうした、考え抜いて、いいことをしているはずなのに、結果(入園者増)がなかなかでないという期間を一定程度耐えています。

しかし、少しづつ、「旭山動物園が頑張っているらしい」という認識が市民にも広がり、行政からの補助金がつきやすくなる流れが出来、あとはどんどん好循環が発生していったようです。

NPOのファンドレイジングの改善についても、同じ様なことがいえますね。

「存在意義の見直し」
「自らの持つポテンシャルの再評価」
「顧客への「提案」の見直し」

こうした段階を踏んで1年程度やってみることで、連鎖反応的に状況が改善することがあります。しかし、結果はスグには出てこないので、1年程度は手間を増やしながら「耐える」時期が必要です。

旭山動物園ですが、成功に向けての第一歩は、とてもシンプルで、かつ大切なところからはじまっています。

経営状態が危機的になる中で、旭川動物園では、かねてから月一回程度開催していた定例の勉強会を利用して、徹底的に、「動物園とは何をするところなのか」という議論をするようになったそうです。

動物園の存在意義について、旭川動物園では、「動物達との一緒の楽しい時間を過ごし、その中で動物達の素晴らしさを感じてもらい、それがきっかけとなって、「動物達を保護したい」あるいは「動物の生きる地球環境を守るためには何をするべきなのか」などを考える意識を育てる。また、動物園は、「希少動物の保護・繁殖」に関わり、さらには野生動物医学など、「学術研究の場」でもある」という整理をしました。

そして、その存在意義を踏まえて、「われわれは何をしなければならないのか」、「動物達を通して何を見せ、何を訴えるべきなのか」「動物達になにをするべきか」といったことを根本から考え直す作業を行ったそうです。(「<旭山動物園>革命」 小菅正夫著 角川書店から)

この検討のプロセスで、旭山動物園のスタッフは、とても重要な「ギャップ」の存在に気づきます。この気づきが、旭山動物園の成功の第一のキーポイントだと思います。

その「ギャップ」とは、「自分達が毎日飼育している動物達の毎日の行動や表情はこんなにもおもしろいのに、何故入園者には、おもしろくないと感じるんだろう」という、飼育係と入園者の認識のギャップに着目したということです。

そこで、旭山動物園のスタッフは、「自分達が普段見ている動物達のスゴイところ、おもしろいところを如何に入園者に見せるか」という発想に転換していきます。

これを、園長の小菅氏は、「動物と入園者との「距離」を詰めることは難しくても、「距離感」なら詰められる。」という発想にたって、まず、飼育係が、檻の前にたって、動物について入園者に説明するという取り組みに着手します。その動物のことを一案知っている飼育係が、その動物のおもしろいところ、すごいところ、日常生活などについて、話すという取り組みです。

これには、飼育係からも反対する声があったそうです。「自分は口下手だ」という声や、「そもそも説明は飼育係の仕事ではない」という声まで、様々にあったそうですが、半年間、話し合って、このワンポイントガイド制度がスタートしたそうです。


皆さん、北海道の旭山動物園ってご存知ですか?

TV等でも良く取り上げられますが、360度どこからでも見れるガラスチューブを上下に泳ぐアザラシや、地上13メートルのロープをわたるオラウータン、入園者の顔を見ると飛び掛ってくるようにみえるホッキョクグマや、園内を散歩するペンギンなど、動物たちの見せ方を工夫することで、大入り満員の動物園を実現しています。

この成功がいかにすごいかは、入園者数の増加でも見て取れます。一時、1983年に年間59万人の入園者があり、ピークを迎えた旭山動物園は、96年には26万人にまで減少し、閉園の可能性さえささやかれるようになりました。こうした減少傾向は、旭川動物園だけではなく、日本の動物園全体に共通の問題でもありました。レジャーの多様化によって、子ども達が動物園に昔ほどいかなくなっている状況があり、業界全体としては、「沈滞ムード」漂うといいますか、誰がどうみても「成長産業」「将来性あるビジネス」とはみえない状況でした。

旭山動物園は、これを、2005年には、年間145万人の入園者数にまで増加させます。月間入園者数ベースでは、なんと東京の上野動物園をも凌ぐ数をあげています。

業界全体の停滞の中、これほどの大成功を収めた秘訣とは何なのか?

旭川動物園の成功は、決して、行政からの助成や補助などの「金にモノをいわせた結果」としてあるものではありません。また、単なる思い付きで成功できたわけではありません。

発想の転換と地道な努力がこの成功を導いています。事業収入のあるNPOにとっては参考になるところが沢山あるように思います。何回か連載で取り上げていきたいと思います。


とても嬉しいニュースがありました。

以前からお手伝いしている国際協力のNGOがあります。

そのNGOでは、海外のプロジェクトを実施している国に対して、毎年、もう16年くらい、スタディツアーやワークキャンプを行っています。

毎年、夏と春に何コースかやるんですが、それぞれ定員20名程度で実施します。主に日本の大学生が参加しますが、60代の方のご参加もあり、現地でのボランティア体験や農村生活もできるような、なかなかおもしろいプログラムです。

このNGOにとって、この10年間の最大の悩みは、このスタディツアーやワークキャンプの参加者の伸び悩みでした。90年代初頭には、他に類似したサービスを提供するところもありませんでしたので、よかったんですが、このところ、ずっと定員割れの状態が続いていて、酷い年にはひとつのコースに5名も集まらないということもありました。

この6月に、抜本的な対策を講じようということで、過去にスタディツアーに参加した大学生のインターンの方3名と事務局、そして私でGTプロジェクト(Greatでガ(Ga)ッツあふれ、行列(Gyo)のできるスタディツアー(Tour)を作るプロジェクト)を立ち上げて、これまでのツアーの何が参加者にとって良かったのか、改めて自分達のツアーの持つポテンシャルを評価しなおすとともに、参加者が何に期待して参加しているのかを徹底的に議論しました。

その議論の結果を踏まえて、キャッチコピーの見直し、このツアーを選ぶべき「7つの理由」をまとめて、HP上の募集案内や説明会での紹介内容も変更しました。

そうした取り組みの結果、この夏のスタディツアーはなんと「満員御礼!」。恐らくそのNGOにとっては、10年ぶりの快挙ではないかということでした。

そのツアー、参加者ひとりあたり20万円程度の参加費をいただきますので、この夏のツアーの参加者増で事業収入としては、計1000万円超、例年に比べて4百万程度は増加となるのではないかと思います。小さな団体にとっては、こうした積み重ねは大きいですよね。

多くのNPOで行っている事業は、非常に良いものがあると思います。それをどう世の中に見せていくのか、いかに顧客の支店に立ったメッセージにしていくのか。いかに「共感」を呼ぶのか。こうした総合的な「演出」というものの重要性を改めて感じました。

先日、「非営利型株式会社が地域を変える」(ぎょうせい)という本を書いた、富士福祉事業団理事長の枝見太朗さんに、あるセミナーでお会いしました。

この本、千代田区の中小企業センターであったビルを行政からの運営委託という形で受けた「ちよだプラットフォームスクエア」の成功にいたるストーリーを取りまとめたものですが、その運営委託を受けた法人形態が面白いんです。

それは、「非営利型株式会社」というもので、株式会社なんですが、役員賞与なし、株主への配当なしを定款上明記している会社です。

この非営利型株式会社では、出資者は、出資金に対して配当をお金で得ることができませんが、「地域の安全と安心が配当です」ということに同意して社会貢献として出資していることになります。

株式会社の意思決定の機動性や、出資金を募る必要性、社会的信用性から、株式会社として法人を設立するが、社会貢献を主目的とする法人なので、「非営利型」で運営する。こういう新しいタイプの法人が地域のまちづくりや起業家支援組織としてできあがってきているというのが面白いですね。

是非、この「非営利型株式会社」の今後の推移を見守りたいと思います。

今朝、早起きして、サッカー日本代表とドイツ代表の試合をご覧になった方もいらっしゃると思うんですが、いやー、熱い試合でしたね!日本代表が着実に強くなっているようで、とっても嬉しく思いました。本番が楽しみです。

さて、代表が強くなって、注目されていますが、その代表を支える「日本サッカー協会」は、文部科学省監督下の財団法人です。

以前から、年間収入が100億円を超えた!というような報道に接していたので、一度財務諸表を調べてみました。

すると・・・・

やはり、年間収入120億円強のうち、代表関連事業を含む事業収入(入場料や広告収入)が100億円を超えているんですね。更に「登録料収入」が12億円あります。これは、全国のサッカー組織の加盟料金でしょうか。

補助金・寄附収入が1億4千万円弱あります。決して小さな額ではありませんが、全体の1%に満たないレベルということになります。

財団法人としての基本財産運用収入は僅か30万円程度ですので、財団法人日本サッカー協会は、圧倒的な事業収入型組織であるといえるでしょう。

これだけ大きな規模での活動を展開すると、やはり事業収入の柱というのは、欠かせないということですね。

財団法人の場合、この例だけではなく、100%近くを事業収入や政府の補助金でまかなっている団体が多く在ります。所謂、「寄附には一切頼らない」運営方式です。

日本の場合、財団法人は事業に偏りすぎて、NPO法人は事業のポーションが小さすぎるという傾向が見られるという側面があるようにも思います。

サッカー日本代表から考えてみました。

皆さん、アメリカで生まれ、最近、日本でも急成長している「カーブス」というフィットネスクラブってご存知ですか?

最近、所沢の私の自宅のスグ近くにも出来たんですが、いくつもオドロキのコンセプトが交じり合ったフィットネスクラブです。

まず、スペース。もともと、小さなケーキ屋さんが入っていた賃貸ビルの一室があったんですが、ケーキ屋さんが店じまいしたことで、この後このクラブが入りました。せいぜい6Mx6M程度の正方形の賃貸スペースです。普通だったら、小さなクリーニング屋くらいしか入りません。

カーブスでは、シャワーなし、着替えなし、女性オンリーをキーワードに、そうした余分なスペースを一切省略して、街中の便利なところにポンと出店します。

普段着のまま入ってきて、円形に並べられた機械を、順番に30秒ずつトレーニングして一周するとワンセットという感じでエクセサイズできるというシステムです。

このカーブス中高年女性をターゲットに、女性が、おしゃべりしながら、わずか30分で一通りの運動ができるようになっています。価格も従来のフィットネスの半額程度となっています。

このカーブス、中高年女性が何故フィットネス通いが長続きしないんだろうということを徹底的に調べ上げて工夫した結果を踏まえてサービスを提供しているところが急成長の要因だといわれています。

「着替えが面倒くさい」「器具が男性向きで使いづらい」「男性の目が気になってトレーニングに集中しにくい」「気軽な感じでは通いにくい」「会費が高い」といった様々な中高年女性の不満、不便といった「不」の部分を徹底的に洗い出し、どう工夫するとこれに対応できるかを調べ上げると、こんなユニークなサービスの形ができあがったということのようです。

財布のヒモが固いと信じられている中高年女性をあえてターゲットとして、このカーブスは、92年の第一号店から、既に世界で9000店、400万人の会員を集めているそうです。

「徹底した顧客ニーズの分析」ということが、マーケティングの第一歩であると改めて認識させる事例です。

はむマネジメントファクトリーという団体というか、グループがあります。

ここでは、なかなか面白い連続講座を企画していたりして、マネジメントに関心にある人にもオススメです。

5月25日から、連続で行われる「質の高い研修をつくろう!」という講座も、なかなかよさそうです。

私も、この講師の青木さんや坂本さんは個人的にも存じ上げていますが、こうした「研修」というものは、NPOの事業型ファンドレイジングの重要な手段だと思っていますので、ご関心のある方にはオススメです。(私も5月25日には参加してこようと思っています)

国際協力のNGO団体でも、国際協力のノウハウを教える研修を企画し、その参加料収入を百万単位であげているところもあります。こうした研修タイプの事業は、ファンドレイジングの観点のみならず、知的情報発信ができるNPOとしてのブランドイメージの向上や、参加者との人的ネットワークの拡大など、非常にNPOの経営資源強化にメリットが多いことがあります。

個人的にも、この、「質の高い研修をつくろう!」という講座、楽しみにして見ていきたいと思います。

3月22日に続いて福祉有償輸送サービスです。

この話、民間企業と競合するサービスをNPOが提供する場合の論点を考えるうえでひとつのケース・スタディとなりえるので、もう少し分析してみたいと思います。

まず、日本の障害者や要介護者ってどのくらいいるんでしょうか?

この数字、厚生労働省の「身体障害児・者実態調査」を見てみると分かります。
判明しているところで、

 知的障害者数 32万9千人
 身体障害者数 332万7千人
 要介護認定者数 406万7千人

まあ、この統計だけみると、約770万人くらいが、移動に制約のある人ということになります。

 他方で、タクシー事業者による「福祉タクシー」というのが規制緩和で増加してきています。現在、全国で約3600事業者により、6300台の福祉タクシーが運行しているそうです。また、ヘルパー資格を有しているタクシードライバーも8500人以上いるそうです。平成5年には、「福祉タクシー」は全国で985台しかなかったそうですから、この10年で大幅に増えているのは事実です。

 しかし、この770万人に対しては、余りに足りない。

 ある自治体では、「市内には十分なタクシー台数があるので、NPO法人による有償輸送は必要性がない」ということで、運営協議会自体の開催を拒否しているそうです。タクシー業界の保護育成も大切かも知れませんが、やはり「社会的弱者のQuality of Life」をもう少し優先して考えられる社会になりたいものです。

 私が、アメリカで生活していたとき、非常に感銘を受けたことが、高齢者や障害者向けの輸送サービスの充実度合いでした。アメリカの場合、特に地方都市では、車がなかったら生活できませんので、車の運転が出来ない人向けに輸送サービスが非常に充実していました。多くは無償(寄付やボランティアで運営)で提供されていましたが、こうした「社会的弱者向けの輸送サービス」をタクシーで代替できるという発想は見かけませんでした。

 今年の9月時点で、現在福祉有償輸送サービスを展開しているNPO法人の全てが事業を継続できるよう、注目していきたいと思います。


 

 

NPOが高齢者や障害者を病院などに送迎する福祉有償運送サービスが近年、少しづつでてきています。先日、日経に、このサービスが難航しているという記事が載っていました。

こうした事業型NPOですが、寄付が集まりにくい日本社会において、まず、有償のサービスを廉価で提供しつつ、事業をまわしていくという、「社会起業型NPO」として、注目されているところです。

しかしながら、この福祉有償輸送サービス、既存のタクシー業界にとっては、お客を取られるかどうかの瀬戸際ですから、行政にプレッシャーをかけてなんとかやめさそうという動きもでてきます。

この話、もちろん、既存のタクシーの運転手さんが、障害者の方のサポートにもなれていたり、高齢者や障害者向けに、安くサービスを提供してくれていれば、そもそものニーズは無かったのかもしれません。

でも、現実はそうやないですよね。高齢者がタクシーから降りるのにモタモタしてただけで、露骨に嫌な顔をしたりする運転手、いますよね。障害者が乗るとなると、無愛想になったり、短い距離だと嫌がったりといった運転手のなんと多いことか!

こんな実態を考えると、そら、福祉有償輸送サービスがだめな理由が思いつきません。

そんな酷い運転手だけでなくとも、タクシーだと、料金が高い(概ね福祉有償サービスの送迎料はタクシーの半額程度)うえに、毎回運転手が変わる。NPOの実施するサービスですと、毎回運転手が同じで、着替えまで手伝ってくれるそうです。

こんなサービスと「白タクと同じでは」として、国土交通省が規制に乗り出すことになり、2004年3月に、国土交通省のつくった指針により、各市町村は、タクシー事業者や住民代表らでつくる運営協議会で利用条件などを合意することを前提に許可することになりました。

この「運営協議会」、今年9月までに開かれなかったら、「無許可営業」として、現在の福祉有償輸送は、取り締まりの対象にすらなる可能性があるそうです。

しかし、今年1月現在で、この運営協議会が開かれたのは2000近くある市町村でわずかに219地域。約1割にとどまっているそうです。

現実問題として、NPOとの競合を危惧するタクシー業界が協議を拒むケースが目立つそうです。

事業型のファンドレイジングを考える際、こうした既存の民業との競合関係は常に問題となるのですが、それにしても、厳しい。高齢者や障害者にとって、移動の問題はとても大きく、現実問題として、毎回タクシーなんて使ってられません。もう少しこの問題を見ていきたいと思います。



昨夜、群馬県で、「自然塾寺子屋」という、地域で、地元の農村社会と外国人コミュニティとの交流を促進するプログラムや、青少年に自然と触れ合ってもらったり、JICAの青年海外協力隊員の研修を行ったりしているNPOの理事長である矢島さんと飲みました(話がはずんで飲みすぎたので、このブログの更新も遅れてしまいましたが)

その矢島さん自身、青年海外協力隊で中米のパナマ共和国に赴任していた際、地域に溶け込むのに苦労した経験もあり、地域社会と外国人との交流の促進に熱い想いを持っておられます。

矢島さんと話をしていて、寄附集めが大変だなあという話に、やはりなりました。矢島さんは、かつてカナダで旅行会社を経営していたことがあり、その経験からも、日本ではどうしても寄附が小額になることと、その割には寄附を集めると寄附者ケアが大変であるという点は、非常に感じておられました。

「正直いって、会社を起業して、事業できっち利益を上げて、その利益をNPO活動に寄附という形で投入するほうが、思い切って自由に活動が展開できるのでいいのではと感じているところです。」という話をされていました。

「企業を立ち上げて、企業が軌道に乗ってからNPOを立ち上げる」という考え方ですが、「利益があがる!NPOの経済学」(跡田直澄慶応大学教授著)という本を読んでいたら、その視点で色々な方法論を検討していました。

跡田教授が本の中で薦めている方法は、例えば農地保全のために土壌改良を行うというミッションを帯びたNPOを立ち上げようとした際、これに協働する企業をまず、立ち上げ、その企業で堆肥や有機肥料を生産するような業態とします。この会社には地域の農業協同組合や一般農家や企業からの出資を募ります。NPOは、その企業が生産する肥料を「仕入れ」て販売するというようなビジネスモデルです。

跡田教授曰く、「ビジネスを立ち上げる順番は特にこだわらず、NPOと企業を自由に行き来する柔軟性を、日本の「NPO業界」も持つべきだ」と。

ここ数年、「ソーシャルアントレプレナー(社会起業)」というコンセプトがずいぶんな広がりを見せています。コミュニティ・ビジネスという形で、収益を堂々とあげる企業体として活動しながら、社会貢献を行っていくというビジネスモデルは、欧米社会よりも、日本においてはるかに有効性が高いように感じます。

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