ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: せ業収入型FR

指定管理者制度についての考察です。

皆さんご存知の指定管理者制度ですが、行政からNPOへの施設管理などの委託を中心に、全国各地で数多くの実績が出ています。

先日、ある場所で指定管理者になっているNPOの方とお話していて、「人件費部分が大変だ」という話になりました。これは、積算している側にとっても課題といえますが、当初積算では、受付ともう一人分の2名分の人件費しか計上されておらず、それ以外にチラシをつくったり、イベントを企画したりといった部分はすべて持ち出しになってしまうと。そうした部分について、人件費を行政側にお願いしても、認められなくて苦労しているという話でした。

こうした、「助成金・委託金の受託貧乏」みたいな話って実はよく聞きます。傍目には、まとまって年間数千万円の資金が入って、さぞかし資金面では潤沢なんでしょうと思っても、実際には、契約上やるべきことをやると、全然自転車操業だったりします。そのため、せっかくのまとまった資金も、そのNPOの将来に向けて「投資」するような企画やアイデアに投入されるというよりは、ひたすら「消費」するしかないということになります。同じような現象は、国際協力NGOが行政から受ける助成金でも見られることですし、今、NPO向けに行政からの資金量が増えている中で、NPO側の「プロポーザルの中にきちんとそうしたところを盛り込む交渉力」「あらかじめの覚悟」も重要になってきていますね。
つまり、多くのNPOにとって、「まとまった資金が入る=一息つける」ではなく、「へたすれば自己資金を相当食われる」という覚悟が必要になってきているということにもなります。
しかし、この行政、NPOがWin-Loseの関係だとすると、この制度、長くは持ちませんので、ここをWin-Winにする行政側の対応も必要ですね。行政サービスの代行ですから、やすければ良いというものではありませんので、質の高いサービスを提供してくれるNPOをきちんと評価して、それなりの対価を支払う枠組みを創る必要があります。
折角の指定管理者制度、全国各地から聞こえてくるのは、NPO側の悲鳴とも不満とも思える声ばかりです。これは早急にWin-Win化させないといけませんね。

 先日、ある老舗の国際協力団体の方とお話していて思ったんですが、やはり何か新しい資金集めの仕組みを作れる組織って強いなあと思います。

 仕組みをつくるっていうのは、例えば、企業とNPOのタイアップで商品が売れるごとに売り上げの一部を寄付にまわすというのが一番シンプルなパターンですが、こうした仕組みって、一度できるとそのメカニズムの中で一定の金額が自動的に循環していくということがポイントです。

 企業が販売促進や社会貢献の観点から仕組みに協力するケースや、顧客への選択肢の提供ということで顧客のポイントを寄付することができるケースなど、多様な仕組みがあります。

 こうした仕組みも、話題性のわりにお金が集まっていないところと、大きく集めているところがあり、この違いをしっかり分析するというのも面白そうですね。

 しかし・・・同じ場であるNPOが遺産寄付を数億円受けたという話も聞きました。

 こうした遺産寄付の持つ潜在力は本当に大きいですね。
 
 「仕組み」と「大口寄付」の2つの太い潮流が見えますね。

 

地方って最近元気なところとそうでないところの格差が大きいような気がします。

地方発の地域振興方のビジネスって、いくつか成功事例がありますよね。
そうしたものって、強力なリーダーシップをとる人がいて、その人が明確な成功イメージを持っていたり、想いを持っていて、それが結果として地方発の成功物語になったりします。

有名どころでは、金沢21世紀美術館や旭山動物園の成功のような、「ニュービジネスじゃないけど、既存の発想から抜け出して成功した」というような事例もありますし、他方で、徳島県上勝町の「木の葉ビジネス」や北海道の「北の屋台」のように、その地方では全く新しいビジネスとして立ち上がり、大きな成功をおさめている事例などもあります。

こうした成功って、結果は結果として素晴らしいものがあるんですが、途中段階でどういう紆余曲折を経てきたのかという視点で分析することが常に必要ですよね。

徳島の「木の葉ビジネス」は2〜3年前くらいでしょうか、TVや雑誌でも相当取り上げられたので、有名になりましたが、人口2000人で、65歳以上の高齢者率47パーセントの何にもない田舎の町で、お年寄りが、落ち葉を集めて売ることで、多い人では1000万の年収にもなっているということで、注目を集めました。

ご存知の方も多いと思いますが、これは和食なんかに彩りとして添えられる季節の花や葉を「つまもの」といいますが、それを上勝町の出資した「株式会社いろどり」が商品化して全国に出荷しているというビジネスです。

この事業についてみてみると、意外と知られていませんが、この事業を考え始めた横石氏は、20年以上も前にこの「落ち葉の商品化」を発案し、地道に企画を検討してきてるんですよね。そして昭和61年に落ち葉を商品化し、農協を通じて販売を始めます。平成11年に株式会社化していて、いまでは2百軒前後の農家が参加して、300を超える種類のつまものを販売しているらしいですね。

最初に企画を考えた際には、「落ち葉なんて売れるわけが無い」という反応は、町民からも料理店側からもあったようです。町民がそう思うのはなんとなくわかります。しかし、料理店側からもそうした反応があったのは、料理店にしても今まで自分たちでなんとかかんとか集めてきたわけですから、面倒とは言っても、カネ払ってまで買うというものじゃなかったのかもしれません。

そこで、横石氏は、料理店に足を運んで、「つまもの」を使う人が何を考え、何を求めているのかを約2年間勉強したそうです。

ここで学べるのは、横石氏の「商品化するうえでの徹底的な顧客ニーズの把握」だと思います。通常、「タダでも手に入る」モノやサービスについて、対価設定をして商品化するなんて、ばかげている気がしそうです。しかし、「タダだけど、手間がかかる。タダだけど、品質がいまいち」というところに顧客ニーズを感じて、しっかりとした商品化をしているところがポイントです。

この「顧客ニーズの把握」ですが、いったん商品化して儲かることがわかると、いろんな代行業者が参入してきそうです。

しかし、「株式会社いろどり」の優れているところは、料理人のニーズを満たす上で、明文化できない「感性」のような部分まで大切にしているところだと思います。その部分にお客様からの信頼がついている。「料理人が使いたい!」と思わせる葉や花を集めるために、いろどりでは、生産者とともに旅行に行って、現場で実際の料理を見学して、求められる商品のイメージを感性として共有するようなこともやっているようです。町で「つまもの」の価値について、料理人を招いて学ぶようなこともやっています。

こういうアプローチ、参考になるところがあります。

NPOのファンドレイジングを考えるうえで、事業収入の部分をどう増やすかというのがひとつの重要な視点です。普通の感覚で、「タダでも手に入る」モノやサービスで、「でも、手間や品質が悩み」とユーザーが考えているものがあるとすれば、そこには事業チャンスがあるということがいえます。NPOによっては、「人手」はかけやすい団体もありますので、そうした団体にとっては、この木の葉ビジネスは、参考になるところがあるように思います。

先日の土曜日、松戸市で、NPOが事業収入を増やすためにはどういうことをするべきなのかということについて、ワークショップを交えた半日間のお話をさせていただきました。

今、統計的にも、日本のNPOの全体で見ると、事業収入の比率って7割にも至っています。よく、アメリカでは、寄付・会費と助成金と事業収入の比率が、2:2:3くらいであるということが言われます。しかし、日本では、1:2:7くらいのイメージに近くなっているところがあります。

これは、もちろんそのNPOの属する業界によって違いがあります。国際協力NGOが一番寄付や会費が集められていて、寄付と会費で5割近いというのが平均的になっています。

そうした中、「どうすれば会費や寄付の収入を増やして財源のポートフォリオをバランスさせるのか」という視点でのお話をさせていただくことはよくあるんですが、今回は、事業収入をどうやったら増やせるかというテーマに真正面から取り組みました。

事業収入って、一旦軌道に乗せると安定的な財源としてありがたい存在ですよね。
寄付や会費のように気をつかったり、関係性維持のために手間をかける必要もない。それでいながら、助成金や委託費の収入のように、突然なくなってしまうというようなこともない。

他方で、事業収入を得るための活動って、ビジネスセクターと競合することもありますから、成功は簡単ではないですよね。企画には相応のセンスが求められます。

こうした問題意識から、半日間、いろいろなNPOの皆さんと有意義なお話をさせていただきました。

「旭山超え」という言葉があるらしいですね。

以前、このブログでも何度か、北海道の旭山動物園がなぜあれだけの成功をおさめることができたのかをご紹介させていただきました。NPOのファンドレイジングの視点でもとても参考になるところがあります。

この旭山動物園の成功に触発されて、日本中の動物園が、旭山動物園の行っている「行動展示(動物本来の能力や生態をうまくみせる)」をまねて、集客力を高める取り組みを進めているようです。

日経トレンディ8月号では、全国各地の動物園の取り組みを比較する特集をやっています。面白いのは、旭山動物園をベンチマークに、「驚き」の尺度を定義したうえで、全国の動物園を回り、一日に何回ビックリできるかを数えたという「視点」です。

地方の動物園って、ともすれば「お金がないから改修できない→旭山動物園みたいな行動展示ができない」ということであきらめてしまいがちです。

しかし、この「ビックリ」回数調査は、そうした中で、いくつかの面白い発見を伝えてくれます。

たとえば、「えさやり」。これは資本も特別な技術も必要ありませんよね。毎日のことで、必ずやることです。この日経トレンディの特集では、この餌やりにどれだけのビックリがあるかを比較しています。

札幌の円山動物園では、チンパンジーの餌をあえて切り株の穴にいれて、チンパンジーがその餌を枝でほじくって食べるような姿をみせたり、子供の動物には、飼育員がだっこしてミルクをあげる姿をみせたりと、いろんな「餌やり」を通じて「ビックリ」を提供しているようです。

NPOのファンドレイジングを考えるうえでも、この比較の視点は参考になりますね。ともすれば、施設やサービス面の比較をしがちですが、これを「ビックリする」という視点で比較すると、もっと簡単な改善で集客につながるサービスアップができるということなんだと思います。

NPOのファンドレイジングも、寄付者が一年間に何回「うれしい」という気持ちを感じるかという視点で比較するとか、いろいろ応用が利きそうですね。

昨日もご紹介したWE21ジャパンですが、1998年に第1号店を厚木にオープンしていますので、順調に成長してきている(現在55店舗)様子が伺えます。もともと、ネーミングもwomen's empowerment(女性が力つける)ということですので、アジアの女性の自立を支援する活動がメインターゲットです。

店の運営をしているのは地域の主婦が中心で、店の規模によって若干名いるマネージャーを除き、あとはボランティアで運営されているようです。店によって、15〜70人のボランティアが交代で運営しているようです。

いろいろ調べてみますと、このWE21ジャパンは、1996年に「神奈川ネットワーク運動」主催の海外研修ツアーに参加した人達が、英国のOxfam Shopを見学し感銘を受け、「WE21ジャパン」設立と「WEショップ」立ち上げの原動力となったそうですね。

イギリスのOxfamは、国際協力の世界では知らない者がいないほど、有名な国際協力NGOですが、その知名度のひとつの要因が、英国内全域に850店以上ものOxfam Shopを展開して、フェアトレード商品などを販売するネットワークを構築している点です。
年間売り上げは80億に達するOxfam Shopに比べると、まだまだ小さなWE21ジャパンですが、神奈川県での55店舗展開は、立派です。これだけ集中展開すると、地域での知名度が高まり、ブランド力が向上しますね。

この規模で全国に展開すると、850店舗どころじゃないですもんね。

日本でのWE21ジャパンの成功に期待したいところです。

みなさん、WE21ジャパンという団体をご存知でしょうか。

リサイクル事業をNPOが収益活動の一環として行うケースはままありますが、それを地域全体のファンドレイジングキャンペーン的に展開しているのがWE21ジャパンです。

神奈川県で地域の36のNPOと連携して、55店舗を展開し、収益を支援に充当するという形でのリサイクルショップです。

アメリカにいた際にも、地域に一軒はこうしたリサイクルショップがありました。

支援者は、リサイクル品を「寄付」して、NPO側ではそれを販売することで、売り上げが現金として寄付されるというメカニズムです。

私が住んでいたクリーブランドの外れの町には、アメリカがん協会が主催して設けているリサイクルショップがありました。

この店は、ちょっと面白くて、扱う品は、高級品に限定している傾向がありました。
ソファーなんかも、新品だと2000ドル以上はしそうなものが多く、それを半値程度で購入できるというところが人気になっていました。

ボランティアも地域で「顔役」的な品のいい感じのご婦人が努めている感じで、その場所そのものが、ちょっとした「いい空間」を醸し出していました。地域の「お金持ち」たちがアンティーク調の家具を持ち込んだりして、非常にいい感じのネットワーク拠点になっていました。その運営コンセプトには大変勉強になるところがありました。

WEジャパンは、商品構成的にもちろんターゲットが違いますが、地域NPOがまとめてリサイクル事業をやっているというところがなかなか面白いところです。神奈川県は、なかなか面白い取り組みが多い県なんですが、これもそのひとつですね。

銚子電鉄のチャレンジの4日目です。

辻井さんのコメントありがとうございます。
銚子電鉄の今回のぬれせんべい販売戦略ですが、ネット社会のひとつの面白い側面として、「2ちゃんねる」での盛り上がりが貢献しているようです。

確かに、2ちゃんねるで検索してみますと、大量の書き込みがでています。

あまりに大量の書き込みで、何個もスレッドが生まれていますので、とても全部ご紹介できませんが、2ch検索か、一例としてはこちらと こちらでごらんください。

かなり激しく盛り上がったことが伺えます。

これまで、寄付キャンペーンなどと2ちゃんねるの関係は、はっきりとネガティブな関係にあったと思います。これまで、寄付キャンペーンなどについて、2チャンネル上ではちゃかしたり、批判的な書き込みが空気を支配することが多かった。しかし、この銚子鉄道については、確かに、書き込みをずっと見ていきますと、批判的な書き込みもありつつ、全体的に、「銚子電鉄は応援してやろう!」的なトーンが全体の空気を占めています。

この勢いの中で、オンラインショップでの発注が一気に広がったというのは、とても納得できる流れです。

うーむ。これが、銚子鉄道社員による意図があったとは思えませんが(逆に振れるリスクもありますので)、オンラインショッピングができる商品を持っている組織がファンドレイジングを考えるうえで、2ちゃんねるとの関係を考える、とても興味深い事例であることは間違いありませんね。

これは本当に興味深い現象ですね。

銚子電鉄の取り組みは本当にいろいろな学びがあります。

銚子電鉄の特集3日目です。

銚子電鉄の「ぬれせんべい」戦略、参考になるところがいろいろあるなという感じがしますが、現在は、ぬれせんべいの販売に加えて、「銚子電鉄サポーターズ」という支援組織ができています。

千葉ロッテの小林投手も特別会員になっていたりしますが、一口1000円で個人一口以上、法人10口以上で支援金を集める基金を設置しています。既に1500万円を超える資金が集まってきているようです。

5月末には、「銚子電鉄物語」という、ネーミングも良いDVDを発売しはじめたそうですが、廃線寸前のローカル線が、既に観光名所化してしまいそうな勢いに、社会とのコミュニケーションの仕方によって、こうしたドラマが生まれるという構図にとても興味が惹かれます。

昨年の今頃は、銚子電鉄は、本当に展望なく、廃線になってもおかしくない状態であったわけですので、これだけの社会の注目を浴びるとは、誰も思っていなかった。

しかし、「ぬれせんべい」という、銚子電鉄を体現する商品を「必死に売る」というプロセスで、ローカル線への想いが伝わり、社会の共感と支援が広がってくる。

そして、その支援の受け皿として、基金が生まれ、お客が増えるという、この構造には、ファンドレイジングが資金を媒介として社会との共感を広げるという視点でも類似性を感じるとてもよい事例と感じました。

銚子電鉄のチャレンジ第二回です。

昨日ご紹介した「銚子電鉄」ですが、「ぬれせんべい」という副業がヒットして、本業の事業の赤字を埋め合わせる勢いだったんですが、大きな困難にぶちあたったそうです。

第一に社長が売り上げの一部(とっても一億円以上)を横領していたことが発覚したこと、第二に、老朽化した設備に対して、国土交通省の検査が入り、運行停止措置を念頭においた再検査の通告を受けてしまいます。

こうした検査をクリアするためには、車両の改修などを行う必要がありますが、そのためには、2週間で200万円を追加で準備しなければいけなくなります。

既に地元の銀行などからの融資は限界で、追加融資は望めず、やむをえず、社員たちは、ぬれせんべいを持って地元企業を営業してまわったそうです。

しかし、一生懸命せんべいを売っても24万円にしかならず、万策尽きた感じであったそうです。

そこで、社員が銚子電鉄を続けたいという必死の思いをHPに掲載しようと思い立ちます。

「ローカル線の継続のめに、ぬれせんべいを買ってください!」というメッセージでつづったそのHPに対して、数日で50件を超える注文があり、一気に全国から1万件以上の購入希望が殺到したそうです。

その売り上げ資金で、国土交通省の検査は無事クリアして、現在も銚子鉄道は継続しているわけですが、この話には、いくつか参考になるところがあります。

第一に、HPを見て購入した人の多くが、「あそこまで必死に訴えているので応援したかった」「ローカル線を維持しようという頑張りに勇気をもらった」といったような、銚子電鉄の社員の「必死さ」に共感しているという点。銚子鉄道は公共性はあるとはいっても、鉄道を運営している法人ですから、普通だと「利用したい」と思っても、「支援しよう」という気は起こらない。そこで、しっかりと「共感」を得ているのは、やはり、社員の必死さなんだと思います。そして、そのうえでローカル線の維持という、社会全体に共有されるノスタルジック感が生きてきているんだと思います。

第二に、これが重要ですが、「ぬれせんべい」という、『想い』を媒介する商品があったということも大きいと思っています。これがいきなり「ローカル線の維持のためにご寄付をお願いします」というキャンペーンだったら、短期間に一万人の支援希望があったかというと、疑わしい。しかし、銚子電鉄を象徴する商品があったために、支援者は、まず、その商品を購入するというステップから関与を開始することができた訳です。(明日ご紹介しますが、現在では、そうした支援の輪が「寄付」にまで繋がっています)

なかんか興味深い、銚子電鉄、もう少し見てみたいと思います。


皆さん、「銚子電鉄」ってご存知ですか。日曜日の夜のTVで特集していたんですが、廃線寸前のローカル線です。全国各地で、こうしたローカル線が、代替交通手段の浸透により、経営難に陥っています。

そうした中、この「銚子電鉄」の取り組みがとてもユニークで、興味が惹かれました。ファンドレイングの観点からも学ぶところがありますね。今日からちょっと連載します。

この銚子電鉄、もともとローカル線としては珍しい取り組みをいくつかやってきている「アイデア路線」ではあったようです。これまでも、「人が乗らないならモノを乗せよう」と宅配便を回収するサービスをやったり、クーラーボックスを持ち込んでビールを売ったりといった努力や、社員が見よう見真似で「たいやき」を販売するサービスを行ったりと、実にいろいろな取り組みをやっています。しかし、それでも95年時点で1億3千万円の累積赤字があり、にっちもさっちもいかなくなったようです。

そこでこの銚子電鉄の社員が考えたのが、「ぬれせんべい」をつくろうと。もともと、しょうゆの産地として有名な地域でしたが、銚子電鉄の面白いのは、地元で作られたぬれせんべいを売ろうというのではなくて、自分たちで銚子電鉄ブランドのぬれせんべいをつくっちゃおうということを考えるわけです。もちろん素人集団ですから、何回も失敗作を重ねて、最終的に売れるレベルのものを作成することができるようになります。

このぬれせんべい、「ローカル線の社運をかけた副業」というイメージが受けて、新聞各紙でも興味を持ってとりあげられ、2005年では、本業の電鉄の売り上げが1億1千万円、副業のぬれせんべいが1億8千万円というところにまで至り、電鉄経営を支える重要な柱となったそうです。

このぬれせんべいで成功したという話自体も、ユニークで面白い話ですが、銚子電鉄の本当の苦難とそれを乗り越える奇跡は、この後おこります。
それはまた明日に。

土曜日は、日本大学で国際協力を志す方向けのセミナーに講師&パネルディスカッションの進行役として参加しました。

天気の良い土曜日の午後でしたが、実に130名を越える方が集まり、教室は一杯で大変な熱気でした。このセミナーは、国際協力NGOである、地球の友と歩む会/LIFEの企画で行ったものですが、国際協力に関心を持つ方の多さにとてもうれしく思いました。

終了後は、日大が水道橋にあることもあり、一緒に来ていた家族と一緒に東京ドームシティの遊園地で少し遊んでから帰路につきました。

この企画も、ファンドレイジング上のうまいポジショニングがあります。LIFEの場合、主に学生を対象とした、途上国を訪れるスタディツアーを事業として行っています。その参加費収入は、結構大きな活動財源となっていますので、いかにして定員一杯のツアーにするかというのが、ファンドレジング戦略上の大きな課題です。

しかし、単なるスタディツアーの説明会ということだと、なかなか人が集まらないそうです。そこで、今回は日本大学の就職課とタイアップして、国際協力のキャリアセミナーのような仕立てのイベントにして、その中で、自然にLIFEのスタディツアーに関心を持ってもらうようにしていこうということのようです。

この企画、少なくとも参加者数の点では、十分に目的を果たすことができています。次は、これが実際の参加者獲得にどの程度繋がっているかですね。こうしたイベントを通じた間接的なファンドレイジングの取り組みの事例として、是非、経過を見ていきたいと思います。

皆さん、ネットオフという会社をご存知でしょうか。以前にこのブログでもご紹介しましたが、所謂ブックオフのインターネット版と考えていただければいいと思います。自宅から、着払いの宅急便で本などを送り、査定結果を携帯などへのメールとして受け取り、決済するという新しいタイプの事業です。
この会社は、ブックオフが事業の一部としてやっているというのではなく、かつてトヨタに働いていて、ブックオフの店長をしたこともある黒田さんという方が創業してはじめられたベンチャー企業です。

このネットオフ社がはじめたスマイルエコプログラムというプログラムがあります。これは、ネットオフを通じて本を販売される方に、一部寄付をする機会を提供するもので、今年の2月にスタートしたものです。

お話をお伺いすると、ネットオフに本を販売される方8000人程度に対して800人くらいが寄付を選択するそうです。実質1割という割合は、プログラムの認知度が低く、はじめたばかりのプログラムとしては、悪くはない比率だという印象を持ち、驚きました。

やはり、古本などをリサイクルしようとする人は、「もったいない」という日本的思考を共有している方が多いように思います。そうした人たちって、寄付するという行動にも心理的抵抗感が少ないのかもしれません。

ネットオフの黒田社長は、こうしたリサイクル事業を通じて、日本社会全体に環境を大切にしたり、ものを大切にする文化が定着するために企業として何ができるかを真剣に考えておられて、大変感銘を受けました。

こうした、「創業社長」たちの「事業の成功で得たノウハウを活用してや事業活動を通じて社会を良くしていこう」という取り組みが、日本社会の大企業のCSR活動の推進とはまったく違った新しい社会貢献のメカニズムを社会に提供する可能性があると思っています。

みなさん、有限会社ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県足利市)というのをご存知でしょうか。

この会社、とってもユニークな取り組みをしていて、昨年、社会的な目的で活動する企業・団体を表彰する「ソーシャル・ビジネス・アワード」(マイクロソフト協賛)を受賞しています。

具体的には、知的障害者の方々が中心となって山野を開墾し、ぶどう園をつくり、米国人技術者の支援を受けてワイナリーを運営しているという事業です。年間15万本のワインを醸造し、売上高は4億円にも達するそうです。

ホームページを見ますと、高齢の知的障害者も参加して、ワインづくりをするという場がしっかり機能しているというところに大変感銘をうけます。

このワイナリー、見学は何時でも受けれいているようですし、会員になって収穫祭などに訪れるということもできそうです。

こうした「社会起業家」たちによるソーシャルビジネス。NPOという法人格にこだわらず、社会貢献を行いながらビジネスをやるというところがポイントで、寄付や助成金に頼らずに運営するということで事業としての安定性を担保することができます。

一度、このココ・ファーム・ワイナリー、訪れてみたくなりました。

カタログ通販の最王手というと千趣会という会社があります。

1年に発行するカタログ数が1億冊をこえ、350万人が会員となっています。リビング、食品、ディズニーなどの18種類のカタログを有しています。

同社のカタログ通販では次のようなアプローチをしているそうです。

|韻望ι覆鯤造戮襪世韻任呂覆、生活提案型の誌面を作っている。
 「夫婦で散歩しませんか」といった提案記事を作り、こんな夫婦って素敵だなというイメージを作りつつ、「散歩のときはこんな服を」というようにつなげていく。

∩芦鷙愼した記録から、送付するカタログのセットを変える。

0貮瑤離タログは、すぐに捨てられないように、表紙の表裏に光触媒コート紙(光と反応して周囲のにおいを取る特殊用紙)を使い、消臭になるので、捨てないで取っておこうという用いられ方をねらう。

「通販生活」で有名な「カタログハウス」という会社の場合、誌上で、売り上げと直接関係ない「面白い企画」をあえてカタログに掲載することで、顧客の興味を引きつける努力をしています。

 例えば、小泉首相の執務室と同じ椅子を売ったこともあるそうです。実際には数脚しか売れなくても、「面白い企画のある通販カタログ」というイメージを定着させる効果はあるようです。

また、同社のカタログでは、芸能人よりも文化人を積極的に活用しているそうです。

 芸能人だと、広告のイメージが強くなり、商品への説得力が下がってしまうようです。実際、メディカル枕を愛用している直木賞作家の重松清氏が登場した際には2倍の売れ行きがあったそうです

 こうした、顧客にとっての「説得力」と広告塔たる有名人の関係って、なかなか参考になります。

カタログ通販の特集記事を東洋経済で見つけました。これはなかなか面白い。

カタログ通販って、今急成長中の産業なんですってね。

日本通販協会によれば、2005年度の通販業界全体の売上高は推計で3兆3600億円。前年度比10.5%増なんですって。

既に百貨店売り上げの4割強にも達した通販業界のノウハウって、NPOのファンドレイジングにも活かせるものがありそうです。

こうした全体的な動きには楽天やヤフーの登場も影響していそうですが、中には百万円を超える製品も通販で売れるというようになってきているようで、この世界は、結構奥が深そうです。

数日かけていろいろ見ていきたいと思います。

日本スケート協会、会長の逮捕までいたって、ズタボロな感じの報道のされ方です。

実態上、何がどうなったのかは、司法の場で明らかにしてもらうとして、この財団法人日本スケート協会って、そもそもどんな組織なんだろう?と興味が湧きました。

文部科学省のHPに財務諸表が掲載されていましたので、ちょっと見てみますと、平成14年の決算書ベースで収入が9億円強となっています。支出もほぼ同額です。

収入の大半が事業収入(6億3千万)で、そのうち、最大のものが、特別事業収入といって、NHK杯や世界フィギアなどのイベントの収入です。フィギアもスピーとスケートもありますが、はっきりとフィギアの収入が大きな割合です。

助成収入も一定程度あり、スポーツ基金助成事業として2千2百万、スポーツ振興くじ収入助成2千2百万などがあります。

寄付金収入はわずか百万円、基本財産の運用収益が55万円となっています。
登録料収入も3千2百万ほどありますね。

こうした全体像を見ると、TV会社やイベント会社などと共同して行う事業の収益で強化費や運営費を捻出する構造で、行政からの助成も全体比では少なく、寄附などはほんの少しという収入構造です。

財団法人は、法律上も社団法人や特定非営利活動法人ほどの経営チェック体制が義務化されていないこともありますので、こうした「事業型財団法人」については、どうしても第三者のチェックが弱くなってしまいますし、運営サイドも、「公益法人である」という公共性についての意識が薄れがちなような気がします。そうした部分が今回の問題をより大きくさせてしまったようにも思います。

個人や企業の寄附って、集めるのは手間ですが、集めると、その一人一人の「想い」みたいなものがずっしり乗りかかってくるようなときもあります。それがいい方にでると、背筋のしゃんとした経営になりますし、悪いほうにでると、手間ばかりかかって思い切った経営ができなくなることもあります。

一度、日本の財団法人の平均的な寄附受け入れ額の、総収入に占める比率を調べてみたくなりました。

今日は、金沢21世紀美術館のオープン後のアプローチで興味深いところをあげてみます。

やはり、一番おもしろいところは、徹底した「子ども戦略」ですね。

館長曰く、「半年間で、金沢市の小・中学生4万人を全て招待した」とのことですが、その際に配布したガイドブックに、招待券(2枚)を付けたことにより、6,000人以上の小中学生が親を連れて美術館を再訪問したそうです。

「くれよんしんちゃんの映画を見に行きたい」と子どもにせがまれても二の足を踏む親(私の息子が良くせがみますが)も、「美術館にいきたい」という子どもの望みをかなえようとは考えるものですよね。

「将を射んとすれば、まず馬を射よ」とはよくいったものです。

また、夜10時まで開いているナイトギャラリーも好評だそうで、こうしたひとつひとつの積み重ねが、年間150万人の入場者数に繋がっているようです。

「キーコンセプトを、しっかり伝わる文章で簡潔に明確にする」
「キーコンセプトに妥協しないでハードとソフトに一貫性をもたせる」
「企画段階で類似施設を徹底的に研究して、いいとこ取りをする」
「PRに際しては、単純な広報に頼りすぎず、地元の既存のネットワークの潜在力を活用して、「顔」の見える広報を展開する」
「子どもをターゲットにして、親を引き出す」


いずれも、視点を変えると、いろいろな経営の場面で活用可能なアイデアやコンセプトに満ちている成功だと思います。金沢21世紀美術館、なかなかやります。

さて、過去2日間、金沢21世紀美術館の成功の秘訣の分析をしてきましたが、もう少し大事なところにも着目していきましょう。

過去2日で見てきたのは、キーコンセプトの重要性と、ハード面(建物)、ソフト面(展示内容)の取り組みについてでした。

今日は、まず、「人」について見てみます。
金沢21世紀美術館の初代館長として、企画段階からイニシアティブを取られたのは、蓑豊氏です。この方、海外美術館で20年以上の経験があり、そうした地域社会と一体となった美術館運営の経験が、思い切った発想をささえ、信念を持ってリーダーシップを取れる要因となったことは否めないようです。

私は、常々、良いリーダーには、ビジョニング力とマネジメント力が必要だと思っていますが、よいビジョンを持ったリーダーは、ヘンな妥協をせずに、物事を成就させることができるという好例なのではないかと思います。

次に、企画段階でのアイデア出しにあたっては、スタッフが内外の美術館の事例を徹底的に研究したそうです。そうした研究を通じて、入り口を5ヶ所設けたり、無料の市民ギャラリーのスペースを広く取ったりというアイデアが出てきます。また、周囲の商店街との共同イベントとして、学校に収蔵作品を持ち込む「出前美術館」などもトライしていったそうです。こうした、オープン前の仕掛けも、見逃すことのできない点です。

こうした、オープン前の人事、企画、そしてプレイベントを通じた「おらが美術館」ムードの醸成がオープン前の成功の秘訣といえるかもしれません。特に、プレイベントについては、単純な広報だけに頼らず、地元の既存のネットワーク(商店街など)とうまく連携して、「顔のみえる」広報を行っているところがいいですね。

金沢21世紀美術館の成功の秘訣はハード面とソフト面で説明できると思います。

ハード面では、建物の特徴として、 ̄澤舛任△襪海函↓■汽所の入り口、3放感のあるガラス張り、ぅ灰鵐札廛肇ラーの「白」などであり、自然の光を利用して表裏の無い透明感を演出しているそうです。とにかく「敷居が低い」というのが評判で、スタッフの説明では、「芸術とは、感性を呼び覚まし、心をリフレッシュさせるものです。よく、「リゾートホテルみたい」と言われますが、温泉やリゾートで癒されるのと同じ理屈で、作品と対話しながら、自分の中にある感性を発見し、充足感や幸福感を得ていただければと思います」(Yomiuri Weekly 2005年2月13日号)

ソフト面では、展示物に触れることができたり、体験できたりするものが数多く用意されているのが特徴的です。目玉は、「スイミング・プール」という作品で、上から見ると水をたたえたプールですが、下から見ると、水を通して天井が見えるという仕掛けになっていて、子どもにとってはたまりませんね。

これ以外にも、実際に遊べる、変わった形のピンポン台が、実は作品ということもあるようです。現代美術ならではの「遊び」をうまく展示に活かして、子どもでも楽しめる展示に仕立てているところがミソですね。

計画段階では、「113億もかけて、伝統工芸の街である、古都・金沢で、なんで現代美術なんだ」という批判もあったようですが、伝統工芸展示中心だとこういう「遊び」は難しかったかもしれません。

「地元の人に親しみを持ってもらえる広場や公園のような美術館」というキーコンセプトがしっかりしているので、ハードもソフトも妥協無く仕上がっているということが、来訪者を惹きつける魅力となっているのではないでしょうか

これだけの大掛かりなプロジェクトでなくても、ともすれば、それぞれの専門部局が部分部分の最適化にこだわったために、統一感の無いプロジェクトの成果品が出来上がることはよくあります。

「みんなが共有するキーコンセプト」をしっかり打ち立ててから事業を行うことで、魅力ある事業や施設を創り上げることができるという好例なのだと思います。

ここで、キーコンセプトがしっかりしないと、展示物も伝統工芸と現代アートを半々にしようとか、そういう妥協が必ず生じます。そうすると、結局、これだけの成功は納められなかったでしょう。実際、この施設が出来たために、金沢駅周辺の商店街には、10軒以上の店舗が新たに開業するといった、地域活性化にも貢献しているようです。

このページのトップヘ