ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

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10月2,3日と、大阪に出張できています。

大阪ボランティア協会さんの依頼で、2日間で5団体の会員獲得のためのパンフレットやHPの改善についてアドバイスするというプログラムで、各団体、2時間から3時間のなかで集中的に改善方策を検討しました。

会員制度は、日本のNPOにとってはとても重要な財源であると同時に、応援者に入ってもらいやすい「第一ステップ」としての効果もあります。また、市民活動として考えた場合、やはり多くの市民に支えられている活動であるということを示すうえでも、会員を集めるということには単なる費用対効果を超えた意味合いがあります。

各団体各様の課題があり、また潜在力がありましたが、折角の機会ですので、いい会員獲得につながるツールの作成についてアドバイスさせていただきました。

「なんか、やる気が出てきました。頑張ります」

というおっしゃりかたをしていただける方々もいて、こちらとしてもとてもやりがいのある時間を過ごさせていただきました。

それにしても、大阪のNPOスタッフの皆さん、元気な人が多いですね。

いろいろ悩みながら、行きつ戻りつしながらやっていくのはNPOの常ですが、その中に希望や明るさがあることが支援者や会員獲得のツールを越えた一つの要素だと思いました。

以前、お伺いした佐賀のあるNPOも、まったくボランティアの団体から数億円規模の団体に成長されていますが、それは、行政の支援ということもさることながら、支援者を引き付ける理事長の明るさというのもありました。

お話した5団体とも、所謂「大手NPO」というよりは「中小規模NPO」ですが、ひとつひとつの団体にオンリーワンのとてもいい潜在力や付加価値を見ることができました。

こうした潜在力を一緒に発見していくプロセスが、ファンドレイジングのアドバイスのひとつの醍醐味でもあります。

また大阪に行きたくなりました。

先日は、大阪での日米NPOダイアログのセミナーに講師として参加してきました。

懇親会も含めて、とても楽しい時間をすごさせていただきました。

後半のグループワークのセッションで、「どうやったら会員を増やせるか」というテーマでみんなで議論していました。

会員に手間なく継続手続きをしてもらうための取組や、会員への報告の方法、心機会員の獲得のために講演機会をどう活用するかといったことについて体験や悩みを話しあってていた際、ある参加されていた女性から、こんな発言がありました。

「こういう発想はおかしい。会員が増えないとか、継続率が悪いのは、その団体に魅力がないからであり、会員を大切にしていないからにすぎない。それを棚に上げて継続率や新規獲得の方法の議論をするのは本末転倒である」というご発言がありました。

全くその通りだと思います。

私自身も、ともすればNPOがとても資金面で苦労をされているので、なんとかすぐに成果のでる改善策を提案したいという思いで、ついつい具体的なスキルの話に入ってしまうのですが、本質は、いかに団体が魅力ある活動をして人を惹きつけるかにあります。

今、日本でNPOの会員になっている人って百万人もいないですよね。そうすると100人に一人とか200人に一人がNPOの会員になってくれているんです。

ある意味、すごいマイノリティーだし、すごく貴重な人たちなんだと思います。

こういう会員になってくれている人たちに、いかに感動を与えられるか。いかに達成感を感じてもらうか。そこにまず真剣に取り組むということが日本の寄付文化の強化への大事なステップなのかもしれません。

しかし、忙しいと、そうしたところにどうしても手がまわらないことも事実です。

また、会員数が数百人とかになると、ひとりひとりが満足しているかどうかはなかなかつかみにくいですよね。

でも、まずはそのうちの10人なら10人、普段あまりやり取りのない会員を具体的に想定してみて、その人たちがいま、どう感じているのか、シュミレーションしてみるという方法もあるかもしれません。

NPOの社会認知を広め、支援者を増やすために、社会への打ち出し方(広報)も重要ですが、あわせて足元の会員に感動や達成感を感じてもらうこともとても大切ですよね。

そんなことを改めて感じた一日でした。



先日、首都圏にある、ある芸術系の財団法人の資金調達責任者の方々と新宿で飲んでいました。

この会合、「ファンドレイジングについて知りたい」ということで、ご連絡してこられたことで、お会いすることになったんです。

この財団法人自体、資金規模としてもかなり大きめの団体ではあるんですが、やはり昨今、競合の厳しさを感じておられ、企業協賛や会費収入の伸び悩みに苦労されておられました。

しかしながら、その財団法人、現在のところ、企業会員が200社ほどあり、一口30万円で設定していますので、6千万円程度の収入源となっています。これはなかなか貴重な財源です。

「やはり、老舗の団体で、かつ80年代の企業のメセナブームにマッチするタイミングで活動していた美術系の団体って強いなあ」と思っていたら、この法人自体はまだ出来て10年程度しかたっていないということが分かり、二重に驚きました。

 いろいろお話を聞いていると、「新しい伝統を創る」といったマーケットでのオンリーワン感のあるポジションや、企業とのネットワークのある人材の確保など、いろいろとやっておられるところもありますが、それ以上に「これまで700社以上に営業して回りました」という、担当の方の力強い言葉には感銘を受けました。

 どんな立派な戦略も、最後は、足で稼いでくる部分というか、顔を顔をつき合わせることで関係が出来てくる部分というのが、成否を分けるところがあります。

 いいメッセージといいポジショニングを確保したら、あとは徹底的に関係づくりをしてまわることの大切さを感じさせられましたね。


 

先日、ある芸術系のNPOで、「会員を増やすためのイベントの打ち方」について議論をしていました。

会員を増やすために取り組むべき方策については、その団体の特質によって、コアとなるアプローチ戦略が変わってきます。

例えば、美術館やオーケストラのように、入場料収入を得て提供するサービスが事業運営上のコアとなっている団体の場合は、そのサービスを利用するタイミングが会員獲得の最大のタイミングですし、かつ会員にメリットを感じてもらう最大のタイミングでもあります。

他方で、難民救済や途上国の子ども支援の団体の場合、会員になることでその子どもたちに支援が行くというイメージを持ってもらうこと(寄付感覚)で会員になってもらうというアプローチが中心になります。いかに会員になることが直接的な支援につながるのかというイメージを強調するかが課題です。

いずれにせよ、会員の獲得にあたっては、通りすがりの人が突然会員になってくれるということは余り期待できませんので、いかにして「機会」と「縁」を設定していくかが課題となります。

そうした視点での、「会員を増やすためのイベントの打ち方」という議論になったわけです。

この際、難しいのは、一般的なイベントの成功(集客であったり、採算性であったり)が必ずしも会員の獲得にはつながらないということにあります。

会員を獲得するためには、イベントに参加した人が、そのイベントを純粋に楽しむだけではなく、その団体の活動を支援したい、ミッション達成に協力したいという気にさせる仕掛けを盛り込まなければなりません。

そのためには、参加者にいかにして「本当の意味での参加」感を味わってもらうかが重要になります。

やはり第一には、そのイベントの企画段階から、「いままではかかわってもらっていない(会員ではない)人」をどれだけ戦略的に巻き込んでいけるか。

第二には、当日のイベントで、その団体のミッションや対象としている社会の問題について、一緒に考え、解決策を考えあうような、「擬似活動参加体験」をどう盛り込めるか。

第三には、いかにスムースに「会員になってもいいかな」という気がした人に最後の一歩を踏み出させるか。申込書の工夫、入り口受付の工夫、イベントスタッフの対応マニュアルなどの工夫が必要になります。

実際に、「苦労してイベントをやって、百人集めたけど、会員の獲得にはつながらなかった」ということで、イベント企画自体をやめてしまう団体もあります。そうならないようにするには、相当戦略的に組み込みをやる必要があります。

この分野も相当ノウハウがありそうなところですね。いろいろ調べてみると面白そうです。

先週金曜日のファンドレイジングイベントで、個人的に最も印象に残ったのは、パネルディスカッション中のシーズの松原事務局長の次のご発言でした。

「以前、アメリカなどのファンドレイジング事情に詳しい方と議論していたが、その人は、「日本のNPOは会員制度を持っているから寄附が集まらないんだ」というようなことを言っていた。その話から考えるのは、確かに日本のNPOは、支援者にすぐに「会員になってください」という、「仲間意識」を持つことを期待したアプローチをしてしまいがちだ。しかしながら、寄附しようとしている人は、実は仲間になろうとしているのではなく、NPOに何かの問題について解決してほしいと考えていることが多い。会員になろうとしている人と、寄附しようとしている人のニーズは明らかに違いがあるのに、それを十分意識していないで支援者とコミュニケーションしているケースは往々にしてある」(発言要約は私の文責で)

確かに、私もいままでいろいろなNPOさんの経営アドバイスをしてきましたが、会員制度が充実している団体ほど、「まずは会員になってください」というアプローチを多くとることがあるように思います。

会員向けのメッセージと寄付者向けのメッセージを明確に分けて意識するというこのポイント、基本のようでいて、意外と意識されていないことなのではないでしょうか。

改めて気付かされた発言でした。

マーケティングの世界でいう、1:5の法則と5:25の法則というのをご存知でしょうか。

1:5の法則とは、新しい顧客を開拓し、販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかるという法則です。

5:25の法則とは、顧客離れを5%改善すると、利益が最低でも25%は改善されるという法則です。


NPOにおいても、過去の寄付者、支援者、会員というのは、活動を支える重要なリソースですが、ともすれば、そうした支援者の善意に甘えて、とおり一辺のコミュニケションしかしていないという場合があります。

例えば会員制度を有してるNPOの場合、毎年の会員継続率がどの程度あるのかを年次総会や理事会で必ず報告するというのをルール化してみてはどうでしょう。NPO経営において、寄付者や会員が離れているのを、「仕方の無いこと」と考えているとすれば、それは、経営リソースの非常に重大な損失を受け入れているということになります。顧客離れを5%改善するということは、単に5%顧客が、離れることを止めたという事実のみならず、そのNPOの顧客とのコミュニケーションがそれだけ改善しているということですから、そのほかの既存顧客も、そのNPOへのロイヤルティを高め、寄附金額を増加させたりする可能性もあります。その結果寄附収入を25%増加させることに繋がると考えても間違いではありません。

NPOの理事会や総会で、定期的に会員継続率や寄付者のリピート率を報告するだけでも、経営マインドの醸成に大きく貢献することとなると思います。

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