ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

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金曜日の夜、臓器移植寄付キャンペーンを側面支援しているTRIO JAPANの荒波事務局長ご夫妻にお時間をいただき、最近、一緒にファンドレイジングのお手伝いなどを手がけている高柳さんと一緒にお話をお伺いしました。

臓器移植寄付キャンペーンについては、ご存知の方も多いと思いますが、この寄付の集まらない日本で、2週間で1億円以上集めたケースもあり、「寄付の成功体験」という意味では、驚くべき寄付集めの成功体験を持っているといえます。

巣鴨のTRIO JAPANのオフィスは、あれだけの数の短期間の移植寄付キャンペーンを成功に導いている団体とは思えないほど質素で、荒波ご夫妻も、大変誠実で一生懸命な印象が残る方々でした。

TRIO JAPAN自体、元来は日本でも臓器移植がより容易にできるような法整備なり体制づくりなりを目指して活動している団体です。

しかしながら、現状では、日本では特に子どもの移植は不可能ですので、目の前に死に行く命を見て、やむにやまれず海外での移植のための募金活動を支援する活動も支援されています。「毎回、これが最後のお手伝いだ」という気持ちで募金のアドバイスに携わるそうです。何よりも、臓器移植の法整備がされれば、こんな募金自体が必要なくなるわけです。

だいたい2ヶ月から3ヶ月で数千万から1億円以上の募金を集めきる「臓器移植寄付キャンペーン」は、親や支援者にとっては、「集められないと確実な死が待っている」という意味で、時間との勝負です。

他方で、何でもかんでも思いつくままに寄付をお願いすることで成功するわけではなく、そこには社会との信頼関係を大切にしながら、社会的に支援を広げるためのアプローチがあり、戦術も必要です。TRIO JAPANが適確に支援者の会にアドバイスをすることで、あれだけの数の臓器移植寄付キャンペーンが成功するという、奇跡的なことが現実となっているんだということを改めて感じました。

かつてある子どもの臓器移植寄付キャンペーンで2ちゃんねるなどで批判キャンペーンが起こりました。

そうした批判に耐えながら、一人ひとりの命を救うために地道に活動を続けておられるお二人に、日本の寄付文化を定着させるためのひとつの重要なヒントをいただいたように思います。

日本社会の課題、寄付を募る側の課題など、長時間にわたって、貴重なお話を伺うことができました。そしてなにより、日本社会での寄付の成功体験をこれだけ持っておられるお二人の洞察に、本当に感銘を受けました。実践から紡ぎだした「知」というものの持つ迫力を感じました。

誰がなんと言っても、このTRIO JAPANはすごい。ひさびさにしびれる時間をすごさせていただきました。

だんだんとあったかくなってきました。今日は20度を越えそうです。

今日は、このブログをご覧になっている皆様に一つお願いです。

今、私が関心を持って応援している寄付キャンペーンに、「龍の子学園」という、ろう児向けの日本手話教育を行うフリースクールを東京都の特区申請を通じて学校法人にしようとするキャンペーンがあります。

このブログでも以前ご紹介しましたが、学校法人化にあたって、7月末までに4500万円の寄付を集めないといけないという、とってもタフなチャレンジです。

こうした寄付キャンペーン、短期決戦で、メディアにもこれから打ち出して広く関心を惹起していくことを考えていますので、新聞報道などをご覧になられてご関心を持たれた方が、ホームページなどを訪れた際に、この寄付キャンペーンの趣旨をスッと理解できるような分かりやすいFAQを作成し、ホームページ上で公開しておく必要があると思っています。

そこで、皆さんにお願いなのですが、龍の子学園の玉田理事が最近開設した、「夢の学校を創ろう!」ブログFAQコーナーに、コメントとして「質問」を記入していただけないでしょうか?

自分たちだけでFAQを考えていても、どうしても「知っている人間」のFAQになってしまいます。ぱっとブログを見て、「何故4500万必要なのかもっと詳しく説明した方がよい」とか、どのようなことでも構いません、HPの見せ方でも良いのですが、もっと世の中に分かりやすくするためにどうしたらよいかコメントしてあげていただけないでしょうか。

皆様のコメントそのものが、この学校づくりに奔走するお父さんお母さんたちにとっても、どれだけの力になるか分かりません。

皆様のお力添えをなにとぞよろしくお願いします。




仏教の世界に四住期という思想があります。人生には四つの時期があるという考え方で20歳までを勉学に励む学生期(がくしょうき)、40歳までを家庭で家族と過ごす家住期、60歳までを林の中で自己を見つめて暮らす林住期、それ以降を家を捨て放浪の旅にでる遊行期という整理にする考え方です。

これを少しもじって本にしているのが五木寛之氏の「林住期」という本です。

現代風に、年代を少しずらせて、50歳から75歳を「林住期」として、それまでの「家住期」の仕事に打ち込み、家族中心にあった生活から、自分の人生を見つめなおす時期に移り変わるという説明をしています。

確かに、団塊の世代を筆頭に、50代から75歳くらいまでの世代がどのような生き方をするかで、日本が変わるかもしれないという側面はあると思います。

今、日本社会は、この「林住期」をどう生きるかということに社会的な関心がとてもたかまっています。「若さ」を超えたところで、人間としての精神的、人格的な美しさを見せていく。知識や道徳、立ち居振る舞い、包容力、経験といったところで他者によい影響を与えていく。そうした存在として、「黄金の林住期」を生きる50歳から75歳の人が注目され、尊敬される社会に加速度的になっていく時代がきたなという印象があります。

NPOにとっては、こうした「林住期」世代に「黄金の林住期」を生きていただくための一助となるような参加機会を提供することで、日本社会を幸せにし、自分たちの活動も充実させる。そんな取り組みがますます重要になりそうですね。

龍の子学園(http://bbed.org)の4500万円キャンペーンですが、まず、耳の聞こえない子どもの教育の現状について少しご説明します。

日本には、104校のろう学校がありますが、ろう者の言語である日本手話で授業を行っているところは1校もないそうです。

日本の養護学校では、1933年から今日まで、「聞かせる、話させる」を中心とした教育が行われていて、手話を教えるということは、つい最近まで非常に限られたものとなっていたようです。

龍の子学園を運営するバイリンガルろう教育センターでは、日本ではじめての「手話と書記日本語で学ぶ学校」を設立するという目的で東京都の特区申請を行ったということになります。

(「手話」については、ちょっと説明が必要で、手話には、もともとのろう者の言語である「日本手話」と、日本語に手話の単語を置き換えて使う「日本語手話」があります。ろう者にとって会話しやすいのは、手話にあった語順で使う「日本手話」であり、日本語の語順に対応した「日本語手話」というのは、日常的なコミュニケーションで活用するには、少々面倒な側面があるようです。)

日本の養護教育の現状としては、「ろう者にも話させる」ということを大きな目標としているため、大変多くの時間を発声訓練に割くという現状があります。

難聴者の方ですと、それでも良いのかもしれませんが、完全に耳の聞こえないお子さんにとっては、この「発声」中心の訓練というのは、大変なハードルです。

世界的にも、かつては、ろう者に発声訓練をすることを中心とした教育を行っていたようですが、最近では、「手話というのも、ひとつの言語である」という認知の仕方をしているようです。

障害者教育については、私も日米の比較でいろいろと見てきていますが、やはり感じるところは、「子どもや親に選択肢のある」教育機会の提供ということが今の日本の障害者教育のキーポイントだと感じています。

「障害者には、こういう教育が最適だから、こういう教育を受けなさい」ということを行政なり学校が決めるということではなく、子どもや親が選択することができて、それを社会が支援するということができるようになるといいなと思います。

龍の子学園の場合、日本のそうした現状を反映して、行政の認可がえられずフリースクール扱いできていますので、この学校に通う小学生は、ずっと地元の学校を欠席しているという扱いにされてしまうという現状があります。

今回の学校法人化で、そうした「障害児を持つ親たちがつくった選択肢」に行政が支援をするという、日本の初めてといってもいい試みが実現する可能性があるというところが、ポイントです。そして、それがこれからの寄付集めキャンペーンの成否によって大きく左右されるというところも大変興味深いところです。

昨日、近所の駅前でユニセフの街頭募金をやっていました。

ユニセフ(UNICEF)って、国際機関ですが、全世界的に寄付集めもやっています。しかも、結構積極的で、寄付集めのメニューも豊富です。

ユニセフのホームページにいくと、寄付の手段として、非常に多くの選択肢を提供しています。ユニセフくらい有名な組織になると、協力したいと考える企業や学校は多いですので、まあ、中小規模のNPOに参考になるかといわれれば、どうかとは思いますが、まあ、実に多彩なメニューです。

単純な寄付(郵便局送金とクレジットカード)、マンスリーサポート、遺産の寄付
(自分の遺産 相続財産)、外国コイン募金 お香典・ご祝儀からの募金 提携クレジットカードを利用、 店舗に募金箱を設置、電子マネーで募金、ポイントを応募する 募金活動を企画・実施(ハンド・イン・ハンドキャンペーン)、企業等の支援キャンペーンなど、ひととおり揃えています。

他の大手NPOでも、いろいろとメニューをそろえるところが出てきています。特に、.ンライン寄付、遺産寄付、9疆機Δ棺傍郡麌奸↓ぅレジットカードポイント寄付、ゴ覿箸箸離織ぅ▲奪廛ャンペーンあたりは、良く見かけるようになりました。

さて、昨日の街頭募金、気に入ったのは、寄付した人に渡していた、ちょっとしたアイテムです。

私がもらったのは、紙を折って可愛らしい折り紙傘にしたものでした。その紙も、アニメのキャラクターが出ている雑誌の切り抜きかなんかで、子どもがちょっと喜びそうな感じの仕立てになっていました。

また、一緒にもらった三つ折のユニセフパンフレットにも、右肩上に、ピンクの折り紙で花柄が貼り付けてあって、とてもよい「手作り感」がでていました。

ユニセフって、大組織で固いイメージもありますが、ちょっとしたこうした工夫でとてもホッとする街頭募金になりますね。勉強になりました。

今日は、ひとつ本をご紹介させてください。みなさん、3月30日に発行された「My name is..世界にひとつだけの名前」をつくった、「My name is...プロジェクト」についてご存知でしょうか?



私は、国際協力の仕事に長くかかわっていて、いろんな形で、途上国の人たちのことを紹介する本やTV番組を見てきました。そのなかでも、この取り組みは、ユニークで、とても日本社会の心にマッチするプロジェクトです。私の友人がはじめたということもありますが、ちょっといろんな意味で感激したので紹介させていただきます。

この本、全世界46ヶ国の166人の人に、名前、名前の由来、性別、将来の夢、今の関心などを語ってもらい、それを淡々と紹介するという本です

例えば

僕の名はサルム。忘れずにお祈りするという意味があり、響きのいいので気に入っています。昔はハチという名前を父につけてもらったのですが、割礼の後、祖父から新しくサルムという名前をもらいました。母は亡くなり、父は病気で別居しているので、兄と兄の嫁と暮らしています。今困っていることは、制服を洗って干していたら盗まれたこと。将来は先生になりたいです(タンザニア、13才)

のように、とっても等身大な、フツーの男女が名前の由来から、今の自分を語っていきます。ずーと読み続けると、なんだか、世界中の人たちが、とっても身近に感じられるような気になりました。また、世界中、子どもの考えることや親の考えることは、みんな一緒なんだなあということも、妙に実感することができる本でした。

この本、援助の仕事などでで世界中で働く援助機関職員等のネットワークで、世界各地の「My name is..」を拾い集めたそうです。こうした、「既存のチャネル(ネットワーク)を使って、コストをかけずに面白いことをやる」というところが、また、いいですね。

この本の販売収益ですが、一部が途上国の母子家庭のお母さんの自立や子どもの教育の支援にあてられるようです。

一般的に、NPOのファンドレイジングの視点からは、出版事業は、なかなかペイしにくいものですが、なかなか面白い本でしたので、ご紹介しました。


盲導犬

辻井啓作さんの、日本盲導犬協会の寄附に関するコメント、有難うございます。ここに掲載した写真は、盲導犬協会の作成している募金箱です。なんとも愛らしい募金箱で、目を引きますね。また、何を目的に寄附を募っているのかが明確である点も良いですね。

盲導犬協会が収入(8億5千万円)のうち、5億円(6割弱)を寄附で集めるというのは、大変興味深い数字です。近年、事業収入や助成金収入への傾倒が進むなか、単独の団体で収入の6割を寄附にするというのはなかなか大変なことだと思います。是非、そのうち具体的な取り組みについても更に調べて見たいと思います。

是非、このブログをご覧の皆様も、「こんな面白い寄附のやり方を見つけた」とか「こんな事例を知っている」というお話しがありましたら、コメントでご紹介いただければ、運営者としては、これほど嬉しいことはありません。ファンドレイジング道場でも、そうした個々の事例を更に突っ込んで分析していきたいと思っています!

さて、「場」の提供の議論では、「最近、コンビニでもよく募金箱を見るなあ」と思い、ちょっと調べて見ました。

○セブンイレブン:セブンイレブン独自に「みどりの基金」を設置して募金活動。過去10ヶ月で3189万円集めている。集まったお金は、環境団体等に助成する。

○ローソン:福岡県西方沖地震 432万、 台風14号 2100万、 パキスタン北部地域地震 2330万円など、アドホックに募金キャンペーン実施。

○am/pm :首都圏では、「さとやま募金」として年200万円程度。パキスタン北部地震では、77万円程度を2週間程度の期間で収集し、日本赤十字に寄附。

○ファミリーマート: 同じく、パキスタン北部地域地震の際に20日間程度で、1059万円集中し、セーブ・ザ・チルドレンに寄附

これらのコンビニ関連の募金では、セブンイレブンが独自に基金も設置して、大々的にやっている印象ですね。

実際に寄附した人の話を聞いて見ると、やはり、「お釣りがでたのでついでに」という人が圧倒的に多そうですね。コンビニのマニュアル上どうなっているのかは分かりませんが、そこで募金箱にお金を入れると、レジのスタッフから「ありがとうございます!」と言われるので、ちょっと照れくさいけど嬉しかったというコメントもありました。

スーパーなんかでも、募金箱をレジから少し離れた場所に設置しているケースがありますが、やはりレジの近くにおくのがいいように思います。その理由は第一に、財布にお釣りをしまう前に募金箱があるという状態が確保できること、第二に募金箱にお金を入れた人を見たら、「ありがとうございます」と一言言うチャンスが生まれることですね。

そういえば、冒頭の盲導犬協会の募金箱、ワンちゃんがかわいらしく首をかしげていて、なんか親しみが湧きます。無味乾燥な募金箱よりは、こうしたマスコットが就いているほうが、親近感が湧いて募金を誘発する効果があるかもしれませんね。ユニセフの募金箱とかも、シンプルでかっこいいですが、あまり親しみ感は無いですな。

「最も寄附を誘発する募金箱キャンペーン」についても、またこのブログでも特集したいと思います。


ちょっと前になりますが、関西国際交流団体協議会が発行している「NPOジャーナル」の第12号(平成18年1月発行)で、「寄附・募金を考える〜日本に寄附文化を根付かせるために」という特集を行っていました。

記事の内容としては、「ファンドレイジングの総論」的なものが中心でしたが、今の日本のファンドレイジングの現状を全体として把握するにはよい特集でした。この中で、個人的には、「赤い羽根」「ホワイトバンド」「白いリボン」の3つのキャンペーンシンボルで知られる、中央共同募金会、ほっとけない世界の貧しさキャンペーン、白いリボン運動実行委員会の3組織の中心メンバーで行われた座談会に関心がひかれました。

この3団体、非常に似ているところとまったく違うところがあります。中央共同募金会は、皆さんもご存知のとおり、創設60周年を迎える、全国にあまねくネットワークを有した、歴史のある団体です。04年度は227億円を募金で集めています。白いリボン運動は、阪神大震災の翌年の96年に、犠牲者の「追悼」、支援者への「感謝」、そして「再生」への決意という3つの意味をこめた「白いリボン」を胸につけるという運動で、毎年数十万本のリボンが配布され、NPO活動支援につなげています。05年には630万円を集め、NPOに助成しています。また、「ほっとけない世界の貧しさ」キャンペーンは、最も最近のアドボカシー・キャンペーンで、ホワイトバンドを400万個以上販売しています。こうしてみると、それぞれの団体は、歴史も、活動の内容も、規模も違いがあります。

しかし、この3団体とも、キャンペーンシンボルをうまく活用している点が共通しているといえます。こうしたキャンペーンシンボル(赤い羽根やホワイトバンド)は、ファンドレイジング・キャンペーンにおいて、次のような効果をもたらすといえると思います。

〔椶魄く(関心をひく)
 マーケティングの原則には、人にAttention(注意)とInterest(関心)を惹起するということがあります。こうしたグッズは、支援した人自身を広告塔にするという役割も担っている点が、マーケティング的に優れている点です。

▲好謄ぅ織垢箸覆
 特に社会的地位のある人や人目につく職業の人(アナウンサー等)が、こうしたグッズを身につけることで、自らのライフスタイルを社会に対して明示することが可能となります。このこと自身が支援を行ううえでのモチベーションとなりえます。

やりやすさ
 寄附という行為は、もちろん直接的な見返りを期待せずに行うべきものでしょうし、寄附を受ける側も、相手が趣旨に賛同して寄附してくれるわけですから、堂々ともらえばいいんです。しかし、どうも寄附する側、される側というのは、施しをする側とされる側みないな感じがするときがあります。街頭募金でも、寄附を受けて、キャペーングッズをお渡しするというのは、なんとなく感謝を形で表している感じもして良いという場合もあると思います。

ぅャンペーンの分かりやすさ
 特に全国規模で展開するような募金活動では、「ブランド戦略」がとても重要ですが、グッズ・キャンペーンは、そのグッズそのものがメディアや一般の人にとってわかりやすい(一言で紹介できる)というメリットがあります。(「赤い羽根の共同募金」というのと、「中央共同募金会が毎年実施している、社会福祉活動を行う人々を支援するための募金キャンペーン」というのでは、イメージの浸透力が違います。)
 以前、私がかかわっていた団体でも、「ひまわり募金」というキャンペーンを行って、好成績を収めましたが、グッズを用いなくとも、一言で表現できるイメージ戦略は効果があると思います。





移植手術募金で最近で最も話題になったのは、全腸管壁内神経細胞未熟症という大変な難病で移植手術が必要となったA・Kちゃんのケースでしょう。このケースでは、手術費用が1億3千万円という途方もない金額であったうえに、非常に危険な状態で、早期手術が必要であったこと、そしてなにより、お父さんが鹿島アントラーズの設立時からの熱心なサポーターでもあり、アントラーズを中心に、大々的なキャンペーンがメディアの関心を集めました。

この募金活動は、11月16日に茨城県庁で記者会見を行い、募金活動を開始し、なんと11月30日には1億3千万を集めきることに成功しました。この成功にも、様々な要因が絡んでいることとは思いますが、私が関心を持ったことをいくつかご紹介します。

(膓盂始日にこだわっている点
上述のとおり、救う会の発足宣言と募金開始宣言は11月16日に一気に行っています。実は、その日以前から、当然救う会の事務所の準備や募金箱の準備、ちらしの準備や協力団体との連絡調整等の準備は進めているわけですので、その過程で、募金の申し出もあったそうです。しかし、救う会としては、意識的に、「募金解禁日は、記者会見の16日」という設定を行い、それまでは募金を待ってくれるようにお願いしています。「こうした募金活動、それも今回のようにより限られた時間の中でおこなうときは、ある種の特別な勢いが必要なんです。(同救う会のホームページから)」
11月16日に、募金活動に協力してくれる人々への説明会も一斉に行っていますので、この、「一気に波を起こして、一気に乗り切る」という勢いを重視し、成功につなげている点が、大変興味深いところです。

▲ぅ鵐拭璽優奪箸鯆未犬織船礇優覲拓に秀でていること
ホームページから募金お願いのチラシがダウンロードできるようにしているほか、リンクをはってもらうよう各方面に働きかけています。実際、鹿島アントラーズ等の訪問数の多い協力団体サイトからのリンクで救う会のホームページに訪れた方は相当あるそうです。また、多くの個人のブログでもリンクをはって応援していたようです。

C惨集中の物量戦
16日に募金活動解禁となった際に、チラシは、B2で1万枚、A4で3万2千枚用意していたそうです。私も自分の住む町で、別の子どものための「救う会」の募金活動に接したことがありますが、募金箱ひとつとっても、近所のスーパーではじめてみつけたときには、正直いって、「ふーん、可愛そうだなあ」と感じたくらいで、積極的に支援するという段階には意識が高まっていきませんでした。しかし、その数日後、子どもの通う病院に行くと、そこの受付にも募金箱があり、その週末には、駅前で街頭募金があり・・と、複数回目にするうちに、「本当に大変なんだな、支援しなきゃ」という気持ちと、「これだけ大々的にやっているなら、信頼できる活動かな」という気持ちになったのを記憶しています。潜在的寄付者の生活圏で、短期間に複数回目に触れるようなキャンペーンを行うことで、注意を喚起し、信頼性を高める効果があったものと思います。

こうした移植手術を必要とする家族のために、トリオ・ジャパンという組織が支援活動を行っていますが、その組織が、いろいろと救う会にノウハウを伝授しているようです。移植手術の募金活動は、日本社会の善意を非常にうまくくみ上げているなという印象です。

なお、K・Aちゃんを救う会の場合、11月30日をもって、積極的な募金活動は修了したそうですが、結局、2月6日現在で2億1千万円強集まったそうです。こうした目標額を超えた資金は、万一の再手術等の必要があった場合に備えたり、あるいは、他の救う会に振り分けたりすることとなるそうです。

まず、こちらのサイトを見てください。http://www.ayanokouji.com/link/transplant.html
私にとっても発見でしたが、非常に多くの移植手術等のための募金活動があります。このサイトで紹介されている「○○さんを救う会」というのは43会(43人分)あり、目標額達成はなんと39会にのぼります。目標額に対して8割程度が集まり、手術⇒無事退院までこぎつけたものが2つありますので、それを含めると、紹介されている「救う会」の95%が目標額を集めるか、手術にいたっていることになります(但し、この中には、目標額は達成したけれども、間に合わず、永眠された方が10名が含まれます)。

この数字を見て、改めて日本社会の善意の持つ潜在的なエネルギーに震えるほどの感激を覚えます。私の長女も、幼くして心臓手術を行いましたが、このときの親としての不安や悩みは、とても一言でいいあらわせるものではありません。私の娘の場合は、移植は必要ではありませんでしたが、移植が必要だとすると、数千万という、自分の力だけではどうしようもないお金の前に、父親としての無力感の中で絶望したのかもしれません。そうした思いにある両親を、日本社会の善意が救っているという事実に、本当に、感激します。

こうした善意の橋渡しを、いろいろなNPOの活動で担い、感動を生み出すのがファンドレイザーの仕事だと思います。

さて、私の感傷はさておき、ここで、もう少し、実態を見ていきたいと思います。
ある、I・Y君を助ける会の会計報告を見てみます。このキャンペーンの目標金額は6000万円です。キャンペーン開始が9月12日の地元市役所記者クラブでの記者会見、12月には渡米しています。

収入内訳はこんな感じになります。
総収入 1億1943万4792円
内訳ヽ稿募金 667万9432円
内訳∧膓眸◆ 。隠沓横桔4706円
内訳持ち込み 1618万7246円
内訳た狭み  7931万3417円

このキャンペーンでは、千葉ロッテマリーンズが協力して、ホークス戦の3試合で募金活動を行っていました。その際の募金収入は424万円でした。もちろん、千葉ロッテマリーンズが協力しているという事実で、メディアの注目度が高まったという副次的効果があったことは間違いありませんが、全体の金額からすると、ロッテマリーンズでの募金活動はあくまで一部の収入であって、大部分はそれ以外の収入源から集めていることがわかります。 このキャンペーンの場合、約3ヶ月で1億円を集めたことになりますが、実は、別のケースでは、実質2週間で1億円を集めきった救う会もあります。

先日、TVで、心臓病を抱えている6歳の子どもがアメリカで移植手術を受けるという報道がありました。ご存知の方も多いと思いますが、今の日本の臓器移植法では、15歳以上でないと臓器提供者になれないため、子どもが臓器移植によってしか生命を維持できないケースでは対応できないこととなってしまいます(臓器のサイズがどうしても合わないため)。

私も、アメリカに滞在中に、身内が手術を受けることになったことがありますが、アメリカの医療は、べらぼうに高い。特に移植手術とかになると、5千万から1億以上の金額を払わないと受けることができません。ですので、普通のアメリカ人は、予め医療保険に自分で入っているわけですが、日本で生活する普通の人は、アメリカでは無保険で医療行為を受けることになりますから、全額を予め払わないと手術を受けることができないことになります。

そのため、小さな子どもが重病で、心臓や内臓の移植が必要となるようなケースでは、大金持ちでもなければ、当然、個人で負担できる金額ではなくなってしまっていますので、募金を募ってでも何とか手術を受けさせたいと考えるのが親の人情でしょう。

ときどき、TVなどでも見る、こうした移植手術募金では、例えば鹿島アントラーズがバックアップしたとか、千葉ロッテが支援したとかいう美談とともに、「無事1億円集まりました!」というニュースとして紹介されることがあり、「やっぱり有名人(有名組織)がバックアップしていると、寄付が集まるんだな。ウチのNPOの資金調達の話とは違いすぎる話だな」と考える方も多いと思います。

私も、個人的に、「どうして日本社会のように、寄付の集まりにくい社会で、移植手術寄付はこれだけの巨額を集めることに成功しているんだろう。」ということにとても関心を持っていましたが、「やはり鹿島アントラーズがバックアップしているんだったらね。」という印象から、通常のファンドレイジングとは「別世界」のものであると感じていたのも事実です。

ところが、改めてこの「移植手術費募金キャンペーン」をいろいろ調べてみると、まず、メディアで大々的に紹介されているもの以外にも、数多くの手術が必要な子どものための募金キャンペーンがあることが分かりました。しかも、その多くが、何千万という目標金額を見事集めきっているという事実に驚愕しました(なかには、集めている途中に残念ながらその病気の子どもが亡くなるケースもあります)。

その資金集めのノウハウは、実は多くの中小規模のNPOのファンドレイジングにも参考になるとこともあるなという印象です。明日以降、このノウハウについてご紹介します。

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