ファンドレイジング道場

民間非営利組織(NPO)や社会起業家のファンドレイジング(資金調達)についての考え方、アイデア、事例などを発信しています!

カテゴリ: Workplace Giving

Workplace Giving特集4日目です。

今日は、社員寄附制度を設けるうえでの会社側のリスク管理について整理してみます。

社員寄附制度の概要やメリットの側面については既に述べてきましたが、では、トラブルを未然に回避するためのノウハウについて考察してみましょう。

”署ごとの寄附者分布、寄附金額分布を出さない。
 寄附集めをするCSR室などの立場では、統計情報的な整理をしたくなるところですが、いろいろ事例を分析していると、社員心理的には、個々人の寄附という行為を部署別や金額別に整理されると、どうも「ノルマ達成」とか「部署間比較」のようなイメージが出てきてしまうようです。そうすると、「会社にやらされている」という感じになり、心理的反発が起こりえます。

◆岷娠聴儖」の体制
 社員寄附制度を実態面で運用する鍵となる機能は、社員から募られる「運営委員」ということになります。この運営委員会が、職制に従って、各部部長で構成されるとかなっていると、寄附する社員は嫌な感じがするでしょうね。あくまで社員の階層を問わず参加できるようにしておく必要があります。また、運営委員会では、部長も一社員も、同等の立場で議論できるということをきっちり確認しておく必要があります。

「運営委員」となるモチベーションを確保
 社員寄附制度の鍵となる「運営委員会」ですが、運営委員となる人が、高いモチベーションをもって、支援先の選定などで能動的に情報収集や分析を行うようでないと
いいプログラムを選定することはできません。そのため、やはり「運営委員になってみたい」と思わせるような環境設定が重要です。ある会社では、運営委員になると、外部講師を招いた勉強会に参加できるとか、プロジェクト現場を視察できるといった、「自らを成長させられること」と感じられる要素を組み込んでいるそうです。

社員寄附制度ですが、企業にとって、メリットもリスクもあります。しかしながら、社員のモチベーション向上と会社の社会イメージ向上のためには有効な手段といえると思います。

Workplace Giving特集3日目です。

今日は、まず、社員寄附制度を設けるうえでの会社側のメリットについて整理してみます。

もし、皆さんが社会貢献(CSR)室の責任者だったとしたら、あるいはどこかの中規模企業の社長だとしたら、社員寄附制度の導入を検討するでしょうか?

企業は、基本的に、「ゴーイング・コンサーン」、即ち「継続してナンボ」の組織でありますので、きちんと法を守りつつ、利益をきっちりあげて社員を食わしていかななりません。

また、先日トヨタの社員の方と話してて、「トヨタというのも変わった会社で、社員一人一人が「いい車をつくる」ということが社会に貢献することだと信じている会社なんだよね」とおっしゃっているのを聞いていて、本業を通じて、きちんと利益をあげながら社会をよりよくしていくことができるということは本当に大切なことやなと感じました。

しかしながら、「社員寄附」というのは、会社の利益との直接的関係も分かりにくいという側面があります(先日のハーバードビジネスレビュー誌3月号でデイビッド・ボーゲルUCLA教授は、「CSRは業績に貢献しない」と宣言してましたが)。下手をするとマッチング・ギフトなんかをやると、却って福利厚生費が膨らんでしまったりします。本業と関連するのかも良く分かりません。

更に、折角善意で社員寄附を導入しても、「部長から無言のプレッシャーがあって、寄附せざるを得なかった」といったようなクレームでもこようもんなら逆効果となってしまいます。

こうした中、アメリカでは、社員寄附を導入している企業で働く人は、全労働者の25%(4人に1人)を超えているという数字や、社員寄附の総額は年間4800億円を超えているという数字もあります。また、日本でも、着実に社員寄附制度を導入する大企業が現れてきています。

この現象を踏まえながらも、社会貢献室長や社長の立場のあなたは、どのような判断根拠に基づき自らのスタンスを取るのがよいのでしょうか?

企業にとって、社員寄附導入のメリットは次のようなものがあると思います。

ー勸へのアンケート調査などの結果、「社員の一定数以上が社員寄附制度導入を望んでいる」という環境があることが確認された場合は、福利厚生充実の一環として社員に評価されます。

◆崋勸寄附」というのは、「企業寄附」に比べて、世の中の受け取り方が、より「善意」感が強いという側面があります。企業が売り上げの一部を寄附するというのも大切ですが、それ以上に、「社員の○○人の寄附が総額○○万円集まったので」という方が、その会社の従業員に社会的貢献意欲の高い人が多いという感じがします。企業イメージにとって、この点はプラスに働くと思います。

社員寄附の助成先の選定にあたって、社員が参加している活動の方が優先順位が高くなるようにしている会社は結構あります。その意図するところは、やはり、会社の仲間意識の醸成にあると思います。自分たちの仲間が社会のために一生懸命やっていることを「応援する」という感覚ですね。企業スポーツを社員みんなで応援しているうちに一体感が高まるというのと若干似た効果が期待できます。

ぅ瓮妊アへの露出機会や地域社会でのVisibility(可視性)が高まります。社員寄附というのは、企業寄附とちがって、関与する人間の数が多くなります。自分が寄附しているからこそ、報告会にも関心が集まりますし、そうしたつながりから、ボランティアとして活動に参加する機会も増えます。「お父さんの会社の人がいいことしてるって新聞に載ってたよ」というような状況を生み出しやすくなるということはありえます。「金のつながり目が縁のはじまり」ですね。

ゼ勸の会社に対する忠誠心を高める効果が期待できます。組織として社員寄附を仲介するという行為は、はっきりいって、企業にとっては手間です。そうしたことを組織として負担してでも、個々人の社員の社会貢献意欲を大切にしようとする会社であるというメッセージを社員に伝えることができます。なんというか、うまく言葉でいいあらわせないんですが、「ああ、この会社って、一人一人の社会を良くしたいと言う気持ちを大事にしてくれる会社なんやな・・」と漠然と感じてもらえるというか。

とりあえず、「社員寄附」導入の5つのメリットを列挙してみました。明日は、社員寄附のリスク管理について考察します。


Workplace Giving(社員寄附)3日連続編の2日目です。

今日は、実際にどうやって社員寄附制度を運用するのがいいのかを考察します。

ー尊櫃亮勸寄附の天引き方法
 実際の社員寄附の天引きにあたっては、「給料の端数を寄附」「一口100円とか定めて、その口数を寄附」の方法があります。経験談を踏まえると、「端数寄附」は、実は管理運用が非常に複雑になるのでやめておいたほうが良いようです。そうすると、一口100円とかの設定となりますが、若い社員の方の場合、もう少し低額の設定を希望することもあり、一口50円で設定しているケースもあるようです。

 ある大手企業のケースでは、寄附分野が「社会福祉」「自然環境」「国際協力」「文化教育」の4分野に設定されていて、社員寄附を希望する人は、予め主にどの分野にお金を使って欲しいかを指定できるそうです。実際には2割弱の人は「どれでもいい」とおっしゃるらしいですが、運営サイドでは、そうした社員側の希望を踏まえて、大まかな助成先の配分の目安をつけるそうです。(社員には、「寄附分野を指定したからといって、そのとおりに使われるとは限らない」ということは事前に周知してあるとのこと)

 社員の給料からの天引き寄附の場合、給与管理を行っている部署の負担を大きくしないことが大切ですね。特に給与計算を外部委託している場合、そのシステム改修コストが何百万もかかってしまうのではあまり意味がありません。また、会員の出入りが頻繁であるのも運用的には事務負担を増しますので、年1〜2回の参加時期を明確にして、その際に指定した口数は半年間は変更できないようにしないと、大変あ事務コストがかかりますね。

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 通常、運営委員を社員から募って、その運営委員会で決定するようにしています。ある会社の事例では、職制にかかわらず、社員が誰でも運営委員に手を上げられるようにしているため、希望者が多い場合は抽選で選定しています。
 運営委員は、予め定められた「寄附分野・寄附先基準」に基づき、協議のうえ、決定します。

 この運営委員が、フラットに選定されているというのは、非常に大切ですね。この運営委員の中に、役員がいてもいいんでしょうが、その人が職制に従ったリーダーシップを発揮するようではうまくいかないでしょう。他方、監査人は、別途、信頼と能力のある人を個別に任命するほうが良いようです。

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 基本的には、年1回の会計・活動報告ということになりますが、そこは社員寄附という特性を考えると、「職場」という共通空間を共有する寄附者が多くいるわけですので、寄附先のNPOの活動報告会や交流会が非常に効果的な報告スタイルであるといえます。

 活動報告会の場は、まさに社員にとって、見聞を広めることにもなり、社会や地域への関与のきっかけにもなる機会ともなります。
 

先日(3月10日)の「NPOと企業の対話フォーラム」の続編です。

今回、私がこのフォーラムに参加しようと思い立ったのは、分科会で「社員寄附」のセミナーがあったことにあります。このブログでもご紹介していますが、私の今年の目標にひとつに、私の働く組織で、社員寄附(Workplace Giving)を導入するというのがありますので、実際に日本で社員寄附を導入し、運用していく上での課題などについて確認したいという考えがありました。

セミナーでの事例紹介は、花王のハートポケット倶楽部と三井住友海上のスマイルハートクラブから、社会貢献のご担当の方々が行いました。この2つの企業の社会貢献活動としての社員寄附(給料からの天引き寄附)ですが、それぞれユニークな側面を持っていて、とても参考になりました。

今後、会社でこうした社員寄附制度を導入しようと考えておられる企業の方にも参考になりそうなポイントを以下のとおり整理してみました。

ー勸寄附導入にあたって、「会社として関与する」ことをどう整理つけるか
具体的な寄附金の収集と支援先の選定をどのように行うか
4覿箸砲箸辰討離瓮螢奪函社員寄附を推進するうえでのリスク管理


今日から、3日間連続で、上記の3点について、ひとつづつ考察してみます。

社員寄附導入にあたっての一番のハードル 
「寄附」とか「ボランティア」って言う行為って、やぱりどこまでいっても、「個人的なもの」であり、「自主的なもの」っていう感じがつきまといますよね。社員寄附制度導入ということになると、その寄附という行為のプロセスに企業が組織として関与することになりますから、直感的に非常にビミョーな感じがしますね。

 私自身、アメリカでCommunity Sharesという、「企業に対して社員寄附を導入するよう働きかけることを専門に行う」ことを目的としたNPOで、企業向けの新規開拓に携った経験があります。アメリカでは、United Wayがこの社員寄附キャンペーンで有名ですが、年間、4000億円以上の寄附をあつめるUnited Wayにとっても、企業の人事部が、社員の給料から天引きする寄附(Workplace Giving)が、収入の大きな要素を占めていました。私の滞在していたオハイオ州でも、1000社以上の企業がUnited Wayの「Workplace Givingキャンペーン」に協力していました。

 このように、社会の長年の歴史として、企業における社員寄附(Workplace giving)が社会でも一般的になっていることもありましたので、社員側や経営者側から、「企業が寄附プロセスに関与するのはおかしい」という感じの反発は無かったように思います。ただし、中規模の企業になると、管理部門はギリギリで仕事していますので、「面倒くさい」「仕事が増えるのはイヤ」というところは結構ありました。

 そうした際には、「調査によれば、Workplace Givingを行っている企業の従業員の会社への忠誠心は、行っていない企業の○○%増しである」というような調査データを提示しつつ、また、社員への説明資料や天引きのための書類などをNPO側で準備するなど、手間を最小限にして、新しく始めやすい環境をつくることも行っていました。

経営陣を説得する材料 
 日本においては、社員の寄附を企業が仲介するということ自体がそれほどの歴史がありませんので、事例紹介のなかでも、経営陣が「経営サイドは個々人のボランティアや寄附という行為に関与すべきではない」という意見も強かったケースもあるようです。その事例のケースでは、その中で、一人一人の社員が社会や地域に関わることによる会社としてのイメージ向上のメリットや、社員個々人の人間的な幅を広げる効果や、製品の改善へのメリットについて説明しながら説得したそうです。

 また、同じ事例の中では、最終的には、人事部などの協力を得て、社員アンケートをとったところ、32%が「導入した方が良い」と回答し、「制度があれば参加する」と回答した方が50%に至ったそうです。会社としても、そこまで社員の期待があるならと、社員の福利厚生的な側面も加味して導入を決定したそうです。実際お導入を考えるとすれば、こうしたアンケート調査も説得材料としては効果的ですね。

 実際問題、寄附というのは、「実施するコスト」というのが結構かかります。郵便振込みでは、書類を記入して、郵便局へ足を運んで、並んで待って、手数料腹って振り込まないといけません。この社員寄附制度は、毎月の給料から天引きされるというのがミソで、寄附する際の時間的、労力的、金銭的(振込み手数料)コストを軽減する効果があります。寄附に関心を持っている社員が一定数いるのであれば、その寄附行為のプロセスを仲介するというサービスは、確かに社員向け福利厚生となりえます。



 








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昨日、第一歩として、同僚の中で、市民社会との連携に関心の高いNさんにWorkplaceGiving(職場における給与天引き型の寄附)の導入についての相談をしました。

話ているうちに色々発想が盛り上がり、単に給与天引き寄附を実現するだけではなくて、いくつかのしかけを組み合わせると面白いのではという話が出てきました。

第一に、公開起業オークションのアイデアを取り入れて、集まったお金の助成先を決定する際に、助成を希望するNPOの方に、Workplace Givingに協力した職員全員の前で5分プレゼンをしていただいて、その場で職員がプラカードで支援するか否かを意思表示するようにして、助成先を決定するというもの。普段デスクワークもたくさんやっている職員にとっては、生のNPOのリーダーのパッションを感じてもらうことで、「支援したい」という気持ちや支援した成果のイメージを持ってもらえる効果があります。

第二に、私の職場(職員は1300人くらいですが)には、海外経験や特殊言語能力のある人間が沢山いたり、経理や総務的な能力のある人材も多いので、東京ソーシャルベンチャーのコンセプトのように、資金支援のみならず、人的な支援も上記のオークションのプロセスを通じてコミットしていくことが考えられます。
私の職場は、国際協力関係なので、海外には現場がありますが、なかなか国内ですとデスクワーク中心で実感のある仕事がしにくいのが実情です。そうした「飢えた」気持ちを国内のボランティアで充足させるフローを作っていくのもいいなと思いました。

また、Nさんが調べていただいて、アメリカンファミリーがworkplace givingを日本でもやっていることも分かりました。

さらに組織内での営業活動を進めて、案を練っていきたいと思います。

本日参加したSVT(東京ソーシャルベンチャーズ)のネットワークミーティングでは、多くの方々と知り合うことが出来て、大変有意義でしたが、その中で、改めて日本の社会におけるファンドレイジングを支える風潮をつくっていく必要性を強く意識しました。

このブログも、そういう観点から作っているわけですが、それに加えて、やはり日本企業にWorkPlace Givingの文化(習慣)を定着させていくことが必要だと感じました。

私がアメリカ滞在中に働いていたCommunity Sharesは、地元の企業や官公庁、学校の人事部と協力して、毎月の給料の一部を天引きしてもらって寄附金として集め、地元のNPOに助成するという事業だけを行っていました。地元の180の企業や行政機関や大学が協力し、クリーブランド市だけで1億円以上を集めていました。

アメリカでこうしたWorkplace Givingのガリバー的存在であるUnited Way(UW)は全米で3000億円以上を集めますが、UWはオハイオ州だけでも、1000社以上の人事部の協力を得て資金調達を行っていました。

日本では、何故かこのWorkplace Givingの習慣が無いんですよね。アメリカよりもよほど企業(組織)社会であるので、定着すれば、非常に大きなキャッシュフローを生むと思います。

そこで、決意表明です。

これから、私の働く組織(従業員は、正社員で1300名くらいいます)で、このWorkplace Givingを導入するため、全力を尽くします。具体的には、人事部と協力して、職員の希望者の毎月の給料から、一口1000円づつ天引きさせていただき、集まった資金を社会に貢献するNPOに支援していく枠組みを構築します。

果たしてうまくいくのか。やってみないと分からないこともありますが、まずは、有志職員で実行委員会を立ち上げて、組織内で10%(130人)の同意を取り付けて人事部側に制度導入を働きかけるというように取り組んでいきたいと思います。

日本ではまだまだ新しいコンセプトであるworkplace givingをまずは私の組織から。
このブログでも、この取り組みが日々どう進むのか、報告していきます。

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