ねむの木学園、５億円の詐欺事件。

寄付集めでは老舗ともいえ、社会の想いを集めてきた組織だけに、大変残念なことです。

もちろん、これは、従業員の「詐欺」事件ですし、犯罪です。

でも、この事件は、「やっぱり、寄付ってどう使われるか分からん」という日本社会にくすぶる
ネガティブモードに正統性を与えてしまった事件であるのは間違いありません。

おまけに、犯人の一味の男性が、「寄付や歌で近づき」と、寄付ってやっぱり悪意あるつかわれ方もするんだというモードの記事が出ているのは残念です。

これって、見てみると、不可抗力なところがあったのかもしれませんが、それでも、疑問も残ります。

・何故、５億円もの支出を、個人ができたのか。

・何故、２年間にわたって、この不正支出に気がつかなかったのか。


詳しい事情は分からないので、理解が違っていると大変申し訳ないのですが、

報道を見る限り、報道が正しいとすれば、

・宮城さん個人を含む、１０数の口座を犯人の元職員が管理していた。

ということになります。

印鑑も偽造したというような報道もありますので、確信犯であったのは事実なんだと
思います。

完全に犯罪をふさぐことはできませんが、内部統制的にはどう考えるといいでしょうか。

第一に、出納担当者（入出金管理）と、支出決定者を分けるということの重要性。

第二に、口座管理の複雑化を避け、かつ、定期的に銀行から当座照合表を入手し、帳簿残高と照合する。

ということが考えられます。口座数が多いだけで、何がどうなっているのかって分かりにくい。

月に１回でも四半期に一度でも、残高と帳簿を誰かがチェックするという状態があるだけで、抑止力にはなるのかもしれません。

アメリカなどでは、こうした事件が起こると、理事会の監督責任が問われるケースもあり、賠償問題にまで発展することがあります。実際に州の検察が理事会の責任を追及して裁判に至るケースもあります。

税控除を受けているということ、社会の寄付者の権利を守るという視点では、納税者の権利を守るというのと同じだという発想もあるかもしれません。

今回の件、唯一の救いは、この事件があったあとに、全国から応援の声や寄付がねむの木学園に集まっているということ。

でも、民間非営利組織全体として、こうしたことが起こらないように、全力で取り組まないといけません。

２−３年に１度でも、こうしたことが起こってしまうと、結果として社会の空気は冷める。

身を引き締めていきましょう。

また、何故、こうなったのかを業界としてしっかり検証したいですね。