地方って最近元気なところとそうでないところの格差が大きいような気がします。

地方発の地域振興方のビジネスって、いくつか成功事例がありますよね。
そうしたものって、強力なリーダーシップをとる人がいて、その人が明確な成功イメージを持っていたり、想いを持っていて、それが結果として地方発の成功物語になったりします。

有名どころでは、金沢21世紀美術館や旭山動物園の成功のような、「ニュービジネスじゃないけど、既存の発想から抜け出して成功した」というような事例もありますし、他方で、徳島県上勝町の「木の葉ビジネス」や北海道の「北の屋台」のように、その地方では全く新しいビジネスとして立ち上がり、大きな成功をおさめている事例などもあります。

こうした成功って、結果は結果として素晴らしいものがあるんですが、途中段階でどういう紆余曲折を経てきたのかという視点で分析することが常に必要ですよね。

徳島の「木の葉ビジネス」は2〜3年前くらいでしょうか、TVや雑誌でも相当取り上げられたので、有名になりましたが、人口2000人で、65歳以上の高齢者率47パーセントの何にもない田舎の町で、お年寄りが、落ち葉を集めて売ることで、多い人では1000万の年収にもなっているということで、注目を集めました。

ご存知の方も多いと思いますが、これは和食なんかに彩りとして添えられる季節の花や葉を「つまもの」といいますが、それを上勝町の出資した「株式会社いろどり」が商品化して全国に出荷しているというビジネスです。

この事業についてみてみると、意外と知られていませんが、この事業を考え始めた横石氏は、20年以上も前にこの「落ち葉の商品化」を発案し、地道に企画を検討してきてるんですよね。そして昭和61年に落ち葉を商品化し、農協を通じて販売を始めます。平成11年に株式会社化していて、いまでは2百軒前後の農家が参加して、300を超える種類のつまものを販売しているらしいですね。

最初に企画を考えた際には、「落ち葉なんて売れるわけが無い」という反応は、町民からも料理店側からもあったようです。町民がそう思うのはなんとなくわかります。しかし、料理店側からもそうした反応があったのは、料理店にしても今まで自分たちでなんとかかんとか集めてきたわけですから、面倒とは言っても、カネ払ってまで買うというものじゃなかったのかもしれません。

そこで、横石氏は、料理店に足を運んで、「つまもの」を使う人が何を考え、何を求めているのかを約2年間勉強したそうです。

ここで学べるのは、横石氏の「商品化するうえでの徹底的な顧客ニーズの把握」だと思います。通常、「タダでも手に入る」モノやサービスについて、対価設定をして商品化するなんて、ばかげている気がしそうです。しかし、「タダだけど、手間がかかる。タダだけど、品質がいまいち」というところに顧客ニーズを感じて、しっかりとした商品化をしているところがポイントです。

この「顧客ニーズの把握」ですが、いったん商品化して儲かることがわかると、いろんな代行業者が参入してきそうです。

しかし、「株式会社いろどり」の優れているところは、料理人のニーズを満たす上で、明文化できない「感性」のような部分まで大切にしているところだと思います。その部分にお客様からの信頼がついている。「料理人が使いたい!」と思わせる葉や花を集めるために、いろどりでは、生産者とともに旅行に行って、現場で実際の料理を見学して、求められる商品のイメージを感性として共有するようなこともやっているようです。町で「つまもの」の価値について、料理人を招いて学ぶようなこともやっています。

こういうアプローチ、参考になるところがあります。

NPOのファンドレイジングを考えるうえで、事業収入の部分をどう増やすかというのがひとつの重要な視点です。普通の感覚で、「タダでも手に入る」モノやサービスで、「でも、手間や品質が悩み」とユーザーが考えているものがあるとすれば、そこには事業チャンスがあるということがいえます。NPOによっては、「人手」はかけやすい団体もありますので、そうした団体にとっては、この木の葉ビジネスは、参考になるところがあるように思います。