みなさん、中食(なかしょく・お弁当、総菜などの一次加工された食品)産業という言葉お聞きになったことあります?「外食」は、レストランなんかでの食事ですが、中食は、ウチや職場などのレストラン外で食べるんですが、既に「食べれる状態」になったものを売るものを指します。中食は、近年における女性の社会進出、核家族化、個食化等の消費者ニーズの変化やスーパー、コンビニエンスストア業界の発展等により、年々市場規模を拡大させており、15年は6兆1,410億円で、外食産業市場規模の4分の1にまで達し、食料消費における中食産業のシェアの比重が年々増加している状況にあります。

この中食産業の中でもお弁当分野での草分け的存在といえば、「ほかほか弁当」。数名の「温かいお弁当を提供したい!」という想いが、当時の「冷たい弁当」があたりまえ、お弁当は家庭で作るのがあたりまえの世の中に結実します。

先日のTVでこの話をやっていたんですが、開店当初は、保健所が来て、「温かい弁当は雑菌が繁殖しやすいので、駄目だ。冷たくして売りなさい」という「指導」を受けます。そこを徹底抗戦し、データも駆使して、「温かい弁当でも、雑菌は2時間は発生しない。購入者は2時間以内に食べるから問題ない!」という反論をしつつ、「温かい弁当を売る」というコンセプトにこだわり続けます。

この「ほか弁」ですが、第一号店は、産業用トラックの行き来の多い、街道筋に出店しています。トラック運転手の昼食ニーズをターゲットにしたんですが、これが予想に反して、さっぱり受けなかったそうです。

他方で、意外なことに、着実に伸びてきたのが、主婦層でした。働く女性や社会進出する女性が増える中で、昼食を作る時間を少しでも省略したいというニーズにマッチし、あっというまに主婦層の圧倒的支持を得て、急成長していきます。当時の創業者たちも、「主婦はかっこ悪いから買いに来ないだろう」というように考えていたため、全く意外なターゲット層に嬉しいオドロキを隠せなかったようです。

この話、マーケティグの題材として、とても面白い。この話は、顧客のセグメンテーションと顧客のジョブ着目という、以前にこのブログでもご紹介したテーマの好例ですね。

顧客のセグメンテーション(この場合は、トラック運転手を当初の対象としていました)が必ずしも的を得ていなくても、顧客のジョブ(温かい弁当を食べたい!)にこだわったからこそのヒットだったといえます。ほか弁が、保健所の指導に従って、冷たい弁当を売っていたら、間違いなくこれまでのヒットはなかった。しかし、顧客のこのジョブには徹底的にこだわったからこそ、其の後の成長と業界の発展につながったわけです。

今や、24時間営業のオリジン弁当などの進出で、ちょっと押され気味のほかほか弁当ですが、6兆円産業に成長させたきっかけとなっている、彼らの「顧客ジョブ」への注目は、とてもマーケティグの視点から参考になりますね。