さて、過去2日間、金沢21世紀美術館の成功の秘訣の分析をしてきましたが、もう少し大事なところにも着目していきましょう。

過去2日で見てきたのは、キーコンセプトの重要性と、ハード面(建物)、ソフト面(展示内容)の取り組みについてでした。

今日は、まず、「人」について見てみます。
金沢21世紀美術館の初代館長として、企画段階からイニシアティブを取られたのは、蓑豊氏です。この方、海外美術館で20年以上の経験があり、そうした地域社会と一体となった美術館運営の経験が、思い切った発想をささえ、信念を持ってリーダーシップを取れる要因となったことは否めないようです。

私は、常々、良いリーダーには、ビジョニング力とマネジメント力が必要だと思っていますが、よいビジョンを持ったリーダーは、ヘンな妥協をせずに、物事を成就させることができるという好例なのではないかと思います。

次に、企画段階でのアイデア出しにあたっては、スタッフが内外の美術館の事例を徹底的に研究したそうです。そうした研究を通じて、入り口を5ヶ所設けたり、無料の市民ギャラリーのスペースを広く取ったりというアイデアが出てきます。また、周囲の商店街との共同イベントとして、学校に収蔵作品を持ち込む「出前美術館」などもトライしていったそうです。こうした、オープン前の仕掛けも、見逃すことのできない点です。

こうした、オープン前の人事、企画、そしてプレイベントを通じた「おらが美術館」ムードの醸成がオープン前の成功の秘訣といえるかもしれません。特に、プレイベントについては、単純な広報だけに頼らず、地元の既存のネットワーク(商店街など)とうまく連携して、「顔のみえる」広報を行っているところがいいですね。