さて、1%条例の続編です。

辻井さんのコメント、ありがとうございます。

1%条例に基づいた支援金が、事業遂行にかかる経費の2分の1に限定されています。そのため、寄付の使い道として、組織の基盤にあてたいというニーズに対応できていないのではないか、また、専従者の人件費が確保できれば、事業や寄付集めもうまくいくだろうと思われるNPOはたくさんあるのではないかというご趣旨のコメントです。

市川市の1%条例、初年度の取り組みを終えたところですが、辻井さんのコメントのとおり、いくつかの課題が指摘されています。それをここで整理してみましょう。

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 実は、初年度の支援希望団体の申請は、83団体あって、81団体が支援を受ける先としての承認を受けています。「市民が最終的には選択する」ということもあり、審査委員会では、よほどのことがなかったら審査を通したそうですが、その過程で、委員の間では、「年に1回か2回活動しているだけのボランティアサークルでも支援先となるのか」「町内会で蛍光灯を買うのも事業として認められるのか」「テニスサークルでラケットを買うのでもいいのか」ということについてかなり意見があったようです

∋業遂行にかかる経費の2分の1に限定されている
 NPO活動に対する助成・補助金の永遠のテーマがここでも出てきます。1%条例の補助金は、「団体の維持・運営にかかる経費(人件費・食料費・事務所家賃・光熱費など)」を一切みないことになっています。使途は、事業遂行に直接かかる経費(講師料、会場借料、設営費用、チラシなどの印刷費)に限定されています。
 私の働く国際協力業界でも、政府とNGOの間で、「どこまで運営経費を認めるか」というのは、常に議論になるところですが、昔はさておき、最近では、政府機関や助成財団の理解も進み、「いい仕事をするには運営経費も重要」という観点から、「助成申請の30%までは人件費などを計上してもよい」などの基準を定めるようなケースが多いようです。その観点からは、市川市の基準は、確かに大変厳しい。

 今度取材してみますが、恐らく、初回ということもあり、高額納税者が身内に利益を還元するような事態を避けるということや、市民の間に、NPOなどの活動の運営費を支援するという「発想」がまだ育っていないのではという恐れから、これだけの緊張した感じの基準になったのではと推察します。(私も寄附集めをしていて、寄附者から、「途上国の子どもに直接使ってください。NPOの運営のために使わないでください」というようなことを言われることは、残念ながら、まだまだありますね。)

G疾納圓靴選択権がない
 「非課税者(非納税者)の意思が反映されないのは、市民の行政参加にあたっての平等の権利を侵害しているのではないか。」という指摘があります。これは、結構、根本的な問題です。現に、これまでもいくつかの自治体で、こうした批判があって、導入を見送っているところがあります。
 特に、貧困世帯などでは、納税を免除されていますので、そうした世帯では、この支援金の支援先を選定することは出来ないわけです。これまでどおり行政が決めれば、一応、建前上は、議会がそれをチェックすることができ、市民は議員の選挙を通じて、「平等」にそれをチェックできるということになります。

 この3つめの点については、制度論としては、反論の余地なしです。うーん、しかしなあ・・・なんか、なあ・・・
 私見ですが、日本のNPOセクターの弱さも、日本の納税者の納税意識の低さも、日本のように経済的にも社会的にも成熟した社会としては、ちょっと考えられないくらいのレベルだと(残念ながら低いという意味で)思います。日本で生活する我々がもっと幸せになるために、なんか、そんな悠長なことを言っている場合ではないようにも思っています。日本における資金仲介機能は、弱すぎで、NPOと地域社会との間の距離も開きすぎです。もし、こうした状態を改善する一助となるならば、行政としても果たすべき役割があるのではないかと思います。

 主な課題の整理としては、こんなところでしょうか。この市川市の1%制度、チホウ政治ジャーナルに調査レポートが掲載されています。大変包括的に分かりやすくまとめていますので、一読の価値ありだと思います。