アサザプロジェクトというのをご存知でしょうか。

1995年にはじまったこのプロジェクト、茨城県の霞ヶ浦という、日本でも2番目に大きな湖の湖岸植生帯の復元、放棄水田を生かした水質浄化、水源の山林の保全などを、環境教育や保全生態学お先端研究と一体化しながら流域全体で展開しています。

このプロジェクト、「市民型公共事業」と呼ばれていて、これまでに国土交通省や林野庁などの行政、企業、学校、市民が様々な形で関わってきています。

この取り組みの面白いところは、アサザプロジェクト自体が、協働の「場」の提供をするネットワークとして機能しようとしている点です。NPOが流域の木材を使った消波施設を提案し、国の公共事業として採用されます。実際の国土交通省の発注は地元の組合組織が受けて、NPO法人アサザ基金と協同して公共事業を実施します。あわせて、水源地を保全のために酒造会社と連携した地酒つくりや、地方自治体と連携した流入河川の環境改善、農家との連携による休耕田を活用した水質浄化、水源地となる池の復元などを行っています。

このように、「本来つながっているはずの湖、川、水田、森林等に対して、行政がばらばらにおこなっていた公共事業をNPOが相互に連携させることで、事業の効率化と新たな事業展開が実現しています。」(NPO法人アサザ基金代表理事の飯島博氏のNEC環境フォーラムでの講演から)

このアサザプロジェクトの話は、有名なのでお聞きになられたことのある方も多いかと思いますが、NPOが行政と協働することで効果をあげるうえでの重要なヒントがあると思います。

「行政の枠」を超える
 それは、「行政の枠」と「NPO」との関係です。
 特に行政と仕事をするうえで、「行政の枠」という話はとてもよくでてきますね。行政機関には、法律で定められた所掌事務範囲があって、どうしても心理的にも制度的にもその壁を越えにくいところがあります。しかし、えてして問題はその壁をまたがるところにある。NPOが提供する「機関を超えた協働の場」は、そうした行政の枠を超えた取り組みを行うことができるという点で効果的です。行政からの委託や助成を得るNPOが、その問題解決の取り組みの中で、こうした「枠を越えた問題解決の場の創設」を提案・実践していくことの重要性を改めて感じます。
 NPOと行政との連携における、NPO側の社会的な付加価値はまさにここにあるように思います。

 いきなり、中小規模のNPOで、アサザプロジェクトのような大規模な連携事業は難しいと感じられるのは当然だと思います。しかし、どんな小さな委託・助成事業でも、何かひとつでも、これまでの行政の実施している社会サービスでは達し得なかったネットワーク利用型問題解決を提案することはできるのではないかと思います。地域に眠っている有能な人材の活用や学校との連携、企業とのタイアップなど、こうしたちょっとした付加価値が、行政ではなかなかつけにくい(これには、行政には、地元企業1社とだけ関係するとかが公平性の観点からもやりにくかったりという側面もありますが)。

 アサザプロジェクトの事例から考えて見ました。