先日(3月10日)の「NPOと企業の対話フォーラム」の続編です。

今回、私がこのフォーラムに参加しようと思い立ったのは、分科会で「社員寄附」のセミナーがあったことにあります。このブログでもご紹介していますが、私の今年の目標にひとつに、私の働く組織で、社員寄附(Workplace Giving)を導入するというのがありますので、実際に日本で社員寄附を導入し、運用していく上での課題などについて確認したいという考えがありました。

セミナーでの事例紹介は、花王のハートポケット倶楽部と三井住友海上のスマイルハートクラブから、社会貢献のご担当の方々が行いました。この2つの企業の社会貢献活動としての社員寄附(給料からの天引き寄附)ですが、それぞれユニークな側面を持っていて、とても参考になりました。

今後、会社でこうした社員寄附制度を導入しようと考えておられる企業の方にも参考になりそうなポイントを以下のとおり整理してみました。

ー勸寄附導入にあたって、「会社として関与する」ことをどう整理つけるか
具体的な寄附金の収集と支援先の選定をどのように行うか
4覿箸砲箸辰討離瓮螢奪函社員寄附を推進するうえでのリスク管理


今日から、3日間連続で、上記の3点について、ひとつづつ考察してみます。

社員寄附導入にあたっての一番のハードル 
「寄附」とか「ボランティア」って言う行為って、やぱりどこまでいっても、「個人的なもの」であり、「自主的なもの」っていう感じがつきまといますよね。社員寄附制度導入ということになると、その寄附という行為のプロセスに企業が組織として関与することになりますから、直感的に非常にビミョーな感じがしますね。

 私自身、アメリカでCommunity Sharesという、「企業に対して社員寄附を導入するよう働きかけることを専門に行う」ことを目的としたNPOで、企業向けの新規開拓に携った経験があります。アメリカでは、United Wayがこの社員寄附キャンペーンで有名ですが、年間、4000億円以上の寄附をあつめるUnited Wayにとっても、企業の人事部が、社員の給料から天引きする寄附(Workplace Giving)が、収入の大きな要素を占めていました。私の滞在していたオハイオ州でも、1000社以上の企業がUnited Wayの「Workplace Givingキャンペーン」に協力していました。

 このように、社会の長年の歴史として、企業における社員寄附(Workplace giving)が社会でも一般的になっていることもありましたので、社員側や経営者側から、「企業が寄附プロセスに関与するのはおかしい」という感じの反発は無かったように思います。ただし、中規模の企業になると、管理部門はギリギリで仕事していますので、「面倒くさい」「仕事が増えるのはイヤ」というところは結構ありました。

 そうした際には、「調査によれば、Workplace Givingを行っている企業の従業員の会社への忠誠心は、行っていない企業の○○%増しである」というような調査データを提示しつつ、また、社員への説明資料や天引きのための書類などをNPO側で準備するなど、手間を最小限にして、新しく始めやすい環境をつくることも行っていました。

経営陣を説得する材料 
 日本においては、社員の寄附を企業が仲介するということ自体がそれほどの歴史がありませんので、事例紹介のなかでも、経営陣が「経営サイドは個々人のボランティアや寄附という行為に関与すべきではない」という意見も強かったケースもあるようです。その事例のケースでは、その中で、一人一人の社員が社会や地域に関わることによる会社としてのイメージ向上のメリットや、社員個々人の人間的な幅を広げる効果や、製品の改善へのメリットについて説明しながら説得したそうです。

 また、同じ事例の中では、最終的には、人事部などの協力を得て、社員アンケートをとったところ、32%が「導入した方が良い」と回答し、「制度があれば参加する」と回答した方が50%に至ったそうです。会社としても、そこまで社員の期待があるならと、社員の福利厚生的な側面も加味して導入を決定したそうです。実際お導入を考えるとすれば、こうしたアンケート調査も説得材料としては効果的ですね。

 実際問題、寄附というのは、「実施するコスト」というのが結構かかります。郵便振込みでは、書類を記入して、郵便局へ足を運んで、並んで待って、手数料腹って振り込まないといけません。この社員寄附制度は、毎月の給料から天引きされるというのがミソで、寄附する際の時間的、労力的、金銭的(振込み手数料)コストを軽減する効果があります。寄附に関心を持っている社員が一定数いるのであれば、その寄附行為のプロセスを仲介するというサービスは、確かに社員向け福利厚生となりえます。



 








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