法人としてのNPOの信用力をどうやって高めるか。

信用力やネームバリューと寄附行動の相関関係については、いくつか直感を刺激する統計があります。

「スマトラ地震の被害で、日本で集まった寄附は、
  日本赤十字   90億
  日本ユニセフ  30億
  NGO29団体 10億 である」

この数字、社会的認知や信用力と寄附行動の関係について、直感を刺激させるものじゃありませんか?日本赤十字やユニセフの持つブランドイメージと信用力について、改めて驚嘆させられます。

国際協力の業界でも、70年代から地道に活動していた日本の国際協力NGOが中々社会的な広がりをもった支持を集められない中、「外資系」の国際協力NGOである、フォスタープラン、ケア、ワールドビジョンなどが、企業からの支援や個人寄附を着実に集めることに成功していたのも、ある種の「(海外で既に獲得している)信用力」というものが影響しているものと考えられます。

大手のNPOであれば、マスメディアを通じた広報も可能で、大きなイベントをやったり、新聞や雑誌に広告を掲載することで、更に名前や活動を認知してもらい、そういう中で信用力を高めていくということもありますが、中小規模のNPOにとっては、どのような方法があるでしょうか?

NPOにとって、行っている事業が、意味があり、成果が達成され、社会が良くなるものであるということと、そのことを外部に表現していくことは当然重要です。NPOの活動(別の言い方をすれば、そのNPOが社会に提案する、特定の問題への「解決策」が付加価値のあるものでなければ、信用も何もありません。しかし、ここでは、そうした事業面のこととは別に、純粋に経営上のノウハウとしての信用力の強化のために、何ができるかを考えて見たいと思います。私は、「小規模なNPOが信用力を高める」ために、次の5つがキーポイントになると思います。

 峺楜辧粉麌媼圈砲隆蕕慮える活動紹介」を心がける
 企業マーケティングの世界でも、「顧客の顔が見えないものは売れない」といわれています。「顧客の顔」とは、その商品を購入している人の趣味、ライフスタイルや年齢・性別といったものを言い表しています。商品自体の宣伝で終わらず、その商品を購入している人のライフスタイルや価値観が見えることで、購入意欲が高まるというものです。小規模なNPOにとって、団体自体も提供するサービスのクオリティについてもまだ十分な信用力やブランド力がありません。そこで、パンフレット、事業説明、HPなどで、支援してくれている人の「顔」を見せるという方法で、「そうか、自分と似ているこうひう価値観の人が支援している活動なのか」と感じさせることで、親近感を持ってもらうという方法があります。「自らと近い価値観・ライフスタイルの人が支援している」ということを感じてもらうことで信用力を補う効果が期待できます。

▲好織奪佞痢峇蕁廚鮓せ、パーソナル・ストーリーを語る
 人間が、共感するのは、やはり、高邁なミッションや活動の成果だけではないと思います。むしろ、重要なのは、取り組んでいる人の個人的な想い、取り組もうと思ったきっかけなといったストーリーに共感するんだと思います。NPOのスタッフが、自らの活動を、個人的な体験や感動とつなぎ合わせてストーリーに出来ることが、NPOの信頼性を高める効果があると思います。「この人(スタッフ)ならお金を託せる」と信じてもらえることが、中小NPOの信用力につなげられます。「私は何故この活動をやっているのか」という話で人を感動させられる、自分でも話していて、鳥肌が立つというようになってください。また、文字通りスタッフの「顔写真」を各種HPやパンフに出すことや、スタッフが色々な集いや勉強会、イベントに出て「顔」を繋いでいくことは本当に重要だし、効果が大きいと思います。中小規模のNPOにとって、100人という単位で「顔」を知ってもらっている人が増えることは、寄附額の大幅な増加に繋がることがあります。

4覿箸箙埓との連携を明示する
 日本社会は、NPOに比べると、企業や行政の方がはるかに信用があります。「英国では、国民の6割がNGOを信頼している反面、企業を信頼していると答えた人は3割程度に留まっている」というデータがあるようですが、日本では一般社会の信用は、まだまだ企業や行政にあります。信用力の低い組織は、信用力のある組織の「信用」という経営資源を何とか「借用」する方法を考えることが必要です。

 今日、大手企業は社会貢献室を持っています。そうしたところと何でもいいので連携してやれることを探しましょう。イベントにコーヒーを差し入れてもらってもいいですし、使用済み切手をもらってもいいでしょう。実際に得られる金額的なメリットがたとえ少なくても、「トヨタと連携して○○しています」というメッセージが、NPOの信用力を補完する要素は非常に大きいと思います。こうした企業、行政との連携実績は、恥ずかしがらず、遠慮せずにパンフやHPに掲載しましょう。

づ按譴靴疹霾鶻示を印象づける
 どのNPOの経営者も、今日、情報開示や透明性の重要性を認識していない人はいないでしょう。しかし、「ウチはどこの競合他NPOより透明である」とまで言い切れる団体はどの程度あるでしょうか?「一応、きちんと開示しています」ということではなくて、「透明性」や「情報開示」をむしろ団体の「売り」にしてアピールできるくらいのものにしていくことが、特に中小規模のNPOにとって大切だと思います。普通の人から見たら、中小規模のNPOは、皆、正直いって胡散臭いんです。このタイトルが、「情報開示を徹底する」ではなく、「印象づける」とあえてしている意味は、外部の人に印象づくレベルでアピールできなければ、信用力の補完までにはならないという意味です。

ネ事会メンバー構成を真剣に考える 
 中小のNPOにとって、活用できるリソースは全て活用するというスタンスが必要です。信用力が無い中で、信用性を高めるために、理事会メンバーに社会的信用のある人を加えることも信用力強化に役立ちます。理事会には、実質的に経営を司る機能と、組織の信用力を高める機能の両面があることを忘れてはいけません。
 では、誰を入れるといいのか。まず、一般社会で「先生」と呼ばれる人。大学教授、学校の先生だけではなく、医師、弁護士、公認会計士、議員などの職業に就いている方々(ただし、議員だけは、党派色が強い組織と見られないように注意が必要)が考えられます。次に、宗教指導者(牧師、僧侶など)。宗派色の強さがマイナスにならない場合には、クリーンさを強調することに役立ちます。また、大企業(社会的に名前が知られていることが条件)や学会、連盟、協会といった組織の幹部(役員、理事など)が1人入るとずいぶん信用力に差がでます。
 但し、理事会メンバーというのは、組織の経営を左右する決定権のある人でもありますので、余り無理に著名人や信用力のある人を入れると、経営自体がしっちゃかめっちゃかにされる懸念もあります。しかし、数年も活動していれば、その中で、「あ、この人いいな」と感じることができて、かつ、上記の「先生」「宗教指導者」「企業、団体の幹部」という方に知り合うものです。そうした人には頑張ってエネルギーを割いて人間関係を構築して、支援者に巻き込んでいくという、戦略的な取り組みを常日頃から意識しておくことが肝要です。

信用力を強化するというのは、一朝一夕で出来ることではなく、かつ、成果がすぐには見えません。ですが、ファンドレイジングを考える場合、少なくとも向こう3年間で、信用力をどの程度高めていこうかといったイメージは経営陣は持ったうえで日々の業務に取り組むことが必要でしょう。

信用力の強化のために上記の5項目以外にも出来ることも沢山ありますが、とりあえず、私の考える、小規模NPOがやったほうが良いと思うことをあげてみました。