ここまで、各国比較において、非営利セクターの成長を左右する10の要因について見てきました。これらの要因は、多くの場合、複合的に関連していますが、試しに、私が長く滞在して、NPO分析を行ってきたアメリカとインドネシアと日本との比較で、この要因を照らし合わせてみるとどういうことがいえるでしょうか?

 かつて私がアメリカで各国比較研究をしていた時の分析の結果だけご紹介します。
(なお、ここでは、各国の比較の視点から、それぞれの要因が+(相対的にNPOセクターにポジティブ)、△(平均的でどちらともいえない)、−(相対的にNPOセクターにとってネガティブ)という形で整理しました)


非営利セクターの成長を支える10の要因 10の要因の適用状況
             
1.経済的要因         米 +/ イ△/ 日+
2.法体系要因         米 +/ イ−/ 日−
3.個々の法律要因         米 +/ イ−/ 日−
4.政策的選択要因         米 +/ イ−/ 日−
5.需要側(多様性)要因     米 +/ イ+/ 日−
6.供給側(社会的動機)要因1   米 +/ イ+/ 日−
7.供給側(競合関係)要因2     米 +/ イ+/ 日−
8.文化的(宗教的)要因     米 +/ イ+/ 日−
9.営利セクター要因         米 +/ イ+/ 日−
10.歴史的要因         米 +/ イ−/ 日−

この表の内容についての個々の分析についての詳細は、後日www.npocenter.orgでも紹介していきますのでそちらをご参照ください(ちょっと長くなりますので)。

ここでのポイントは、上記の表のように、アメリカという、NPO大国として知られている国は、10の要因の全ての項目で+の評価をすることができます。他方、インドネシアでは、宗教的要因や民族的多様性の要因等では+ですが、法体系や政策選択(中央集権的な国家体制を長年とってきていた)の視点ではマイナスが出てきます。

他方、日本について分析すると、経済的要因以外ではほとんどマイナスがつくことが分かります。私の実感値でもそうですが、相対的にみて、日本では、非営利セクターの成長について社会的、制度的、歴史的にディスアドバンテージが多くあるということがいえると思います。

ファンドレーザーの視点から、この状況をどのように理解すると良いでしょうか。私の理解では2点あります。第一には、実は、詳しく見ていくと、ひとつひとつの要因は、時間をかけて克服可能なものが数多く含まれています。ですので、こうした各国の違いや日本のユニークさを理解しつつ、ひとつひとつの課題を克服していくことが
まず重要です。「日本社会が成熟していないから・・」という言葉で寄付が集まらないことを嘆いていた方を見たことがありますが、その言葉を因数分解するとこの10の要因の克服ということになると思います。

第二には、ファンドレイジングを行う際や外国のファンドレイジングスキルを日本に導入する際には、こうした背景の違いをきちんと理解する必要があるということです。各国の歴史や文化にあったやり方というのが必ずあると思います。